企業型DC(変動型)移換手続き中、コロナショックで大暴落!

新型コロナウイルスの影響で株価が低迷しています。企業型確定拠出年金を運用している方は不安な思いで過ごされているのではないでしょうか。本記事では、プレ定年専門FPとしてアラフィフ世代から多くの家計相談を受ける三原由紀氏が、今回のような株価暴落のタイミングで変動型の企業型確定拠出年金(企業型DC)の移換手続きが発生した場合どうすべきか、わかりやすくアドバイスします。

移換は「運用資産を売却→預け替え」の手順となる

先日筆者の元に、59歳で早期退職をされたAさんが相談に訪れました。ライフプランを含めた退職金や企業年金の受け取り方法について面談したのですが、企業型確定拠出年金についてどうするか、頭を痛めていました。

 

企業型確定拠出年金では、資産を運用しているのはAさんなのですが、制度の運営は勤務先企業になります。退職した場合でも、確定拠出年金の資産から老齢給付を受けられるのは原則60歳になってから(一定の基準を満たせば60歳より前に脱退一時金や障害給付金を受け取ることもできます)です。Aさんの場合、59歳時点で加入資格を失うことになるため、資産をどこかへ移す(移換)必要がありました。

 

早期退職の場合、退職後の状況により選択肢が変わります。

 

 ●転職する場合 

 

(1)    転職先に確定拠出年金制度があるパターン

(A)転職先に資産が移換され転職先の制度に従い運用を継続する。

 

(2)    転職先に企業年金制度があるが、確定拠出年金制度はないパターン

(B)転職先の企業年金に資産を移換できない場合、個人型確定拠出年(iDeCo)へ資産を移換、自分で掛金拠出を行うかあるいは運用のみを行う

(C)確定給付企業年金へ資産を移換

 

(3)    転職先に企業年金制度がないパターン

(B)個人型確定拠出年金(iDeCo)へ資産を移換、自分で掛金拠出を行うかあるいは運用のみを行う

 

 ●自営業者・公務員・専業主婦(夫)になる場合 

 

(B)個人型確定拠出年金(iDeCo)へ資産を移換、自分で掛金拠出を行うかあるいは運用のみを行う

 

転職する場合には、転職先の企業年金制度によって選択肢は(A)(B)(C)の3パターンがあります。退職後、失業給付をもらいながら次の職場を探す、あるいは起業して自営業者になる場合には、「(B)個人型確定拠出年金(iDeCo)へ資産を移換」の一択となります。

 

ご相談者Aさんは、退職後は失業給付を受けながら求職をされるとのことでしたので、(B)の個人型確定拠出年金へ移換が必要となります。そこで起きたのが、今回のコロナショックによる大暴落でした。

 

実は確定拠出年金の移換は、運用している資産をいったん解約して預け替えることになります。解約=売却ですから、いままで元本変動型の商品で運用していた場合には、今回の大暴落で少なからず資産額が目減りしているはずです。

 

厄介なことに、移換手続きをしてもすぐに売却されるわけでなく、手続きの流れに沿うことになるため、自分で売却のタイミングを指定することはできないのです。株式市場が大きく暴落した時に当たれば損失が膨らむ可能性もあります。

 

Aさんに限らず、企業型DCの加入者であれば60歳前に転職や退職をした場合には移換を行うことになるため、元本変動型の運用には留意をしておく必要があるのです。

 

企業型DC加入者の早期退職・転職は、運用資産の移換に注意
企業型DC加入者の早期退職・転職は、運用資産の移換に留意

60歳以降の定年退職なら、移換は不要

60歳以降に定年退職をする場合には移換は不要です。確定拠出年金の老齢給付は、60歳以降働いているかどうかは関係ありません。加入期間が10年以上であれば、60歳〜70歳までの間で自分の好きな時期に受け取ればいいのです。

 

ただし、60歳までの通算加入期間が10年に満たない場合には、加入期間によって受け取り開始年齢が決められています。また、勤務先の資格喪失年齢が65歳の場合には、60歳以降であっても退職後に受け取ることになるので、勤務先の規定を確認しておくことです。

出口戦略を考えておきたい「元本変動型」の運用

さて、話を戻しますが、Aさんのように50代で確定拠出年金の運用を元本変動型商品で行っている場合、出口戦略を考えておく必要があります。

 

50代になったばかりの方は、ご自分が60歳前になってから退職や転職をすることをまったく想定していないかもしれません。しかし、社会情勢その他の面からも、可能性としては十分考えられることなのです。

 

もしそのような状況になった場合、まず行なっていただきたいのが、現在の運用利回りの確認です。とくに、退職金制度が企業型確定拠出年金へシフトした人の場合、勤務先の規約で決められた想定利回り以上であれば、変更前の退職金と同水準です。概ね約2~3%の運用利回りが出ていれば大丈夫でしょうが、勤務先の退職金規定などを確認してください。

 

次に行うべきことは、定期預金など元本確保型へ資産の預け替え(スイッチング)です。これで株式市場の暴落といったマイナス影響を受けずにすみます。ただし、株式市場の上昇によるプラス影響も受けられなくなりますので、その点も理解しておきましょう。

 

なお、元本確保型へのスイッチングを行う前に暴落が来てしまう可能性もあるでしょう。その際には、スイッチングを行わずに元本変動型で拠出と運用を継続、資産額の回復を待つのも選択のひとつです。株式市場が回復した場合には、数年で損失を取り戻せる可能性があります。

 

また、移換時に暴落が来てしまった場合は、いったん現金化されるため、損失が確定してしまいます。その場合も、移換後に運用を継続し、毎月の積立を行いながら資産額の回復を待つという選択もあります。

 

その際にいちばん気をつけたいのは、資産額が回復するまで家計が持つかどうかという点です。「60歳以降も働くのか」「確定拠出年金以外の退職金の支給額はいくらか」「公的年金を何歳からいくら受け取るのか」等々、資産全体を見渡したうえで、家計が耐え得るかを確認する必要があります。

 

元本変動型で運用している50代の方には、コロナショックが起きてしまったこの機会に、今後の運用について考えていただきたいと思います。

 

 

三原 由紀

合同会社エミタメ代表

プレ定年専門ファイナンシャルプランナー

「FP相談ねっと」認定FP

 

合同会社エミタメ 代表
プレ定年専門ファイナンシャルプランナー
「FP相談ねっと」認定FP

バブル期にOLを経験、子育て中で外に出られないときに同じアパートに住むママ友3人で株のネットトレードを始め、夫にナイショのままコッソリ1000万円以上の利益を達成。子供の小学校入学を機に保険代理店でパート開始し、FP資格を取得。「無知はリスク(知らない=損をしていることもわからない)」を実感して、自らの家計を再生。

40代・50代に向け、プレ定年専門FPとして「お金で揉めない夫婦関係を構築」「50代からでも間に合う家計立て直し」を提案・実行支援する。保険や金融商品を売らない独立系FPとして活動中。

著者紹介

連載山中塾所属の気鋭FP陣が解説!必ず知っておきたい「お金」の有益情報

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