「東武東上線vs.西武池袋線」ライバル路線、住むならどっち?

どこの街に住むかの選択は、仕事やプライベートに大きな影響を与える。さらに家賃が家計支出の大きなウェイトを占めることを考えると、居住地は資産形成までも左右するといえるだろう。総合的に考えて住みやすい街はどこなのだろうか? 今回取り上げるのは、東武東上線。

「池袋の人気上昇」で注目が高まる東武東上線

「池袋」駅と埼玉県寄居町の「寄居」駅を結ぶ東武東上本線。埼玉県坂戸市の「坂戸」駅と埼玉県越生町の「越生」駅を結ぶ越生線とともに東上線を構成するが、東武東上本線単体で、東武東上線、東上線と呼ばれることが多い(以下、東武東上線という)。

 

その歴史は1914年、東上鉄道が「池袋」~「田面沢」(埼玉県川越市小ヶ谷周辺にあった駅)で営業を開始したことにさかのぼる。「川越町」~「田面沢」は軽便鉄道として開業したが開業から2年後に廃止され、「川越町」~「坂戸町」間で営業開始。1920年に現東武伊勢崎線などを走らせていた東武鉄道と東上鉄道が合併し、東武東上線に。1925年「小川町」~「寄居」間が開通し、東武東上線は全線開通となった。

 

当時、東武東上線は東急などの施設沿線に比べて不動産開発は進まず、戦後、深刻な食糧難時代には、埼玉県の名産であるサツマイモを買い求める人であふれたため「イモ電車」と呼ばれることもあった。

 

1987年には、営団地下鉄有楽町線(現、東京メトロ有楽町線)と、2008年には東京メトロ副都心線と直通運転を開始し、都心方面や横浜方面へダイレクトにアクセスできる路線へと発展。利便性が飛躍的に高まったことで、近年は大型マンションの開発が進んでいる。

 

 

そんな東武東上線の住み心地はどうだろうか。20~30代の一人暮らしの会社員が賃貸マンションに住むことを想定し、沿線の街を見ていこう。

 

まず平日通勤時間帯の「池袋」までの所要時間を見てみよう(図表1)。平日8時に駅を出発とした際、10分圏内であれば「中板橋」まで、20分圏内であれば「朝霞」まで、30分圏内であれば「みずほ台」までがボーダーとなる。さらに主要駅である「川越」から「池袋」は36分と、「池袋」周辺の勤務であれば十分、居住地候補にできる距離である。

 

ちなみに東京メトロ有楽町線で「池袋」~「有楽町」は20分弱、東京メトロ副都心線で「池袋」~「渋谷」も20分弱でアクセスできる(ともに平日8時出発と仮定)。

 

さらに東武東上線線の混雑率は、150%ほど。これは吊革につかまったり、楽にスマートフォンを操作できるレベルである。

 

次に各駅の平均家賃(駅から徒歩10分圏内/1K~1DK)を見ていこう(図表1)。沿線で一番平均家賃が高いのが「池袋」の8.36万円で、「中板橋」の7.0万円を除き、都内駅でも5~6万円台で推移する。都内を超えて埼玉県下に入ると「和光市」で5.74万円となるが、ほかは4万円台となり、なかには3万円台の駅も見られる。

 

出所:平均家賃、公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会調べ(3月16日時点)、各駅より徒歩10分圏内の物件を対象とする。物件数が少ない駅は数値に()をつけて表記。今回の調査期間内で対象物件がほぼない駅はーと表記している。
[図表1]東武東上線各駅の「池袋」までの所要時間と、駅周辺の平均家賃 出所:平均家賃、公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会調べ(3月16日時点)、各駅より徒歩10分圏内の物件を対象とする。物件数が少ない駅は数値に()をつけて表記。今回の調査期間内で対象物件がほぼない駅はーと表記している。

 

同じく「池袋」から伸びる西武池袋線と比較すると、「池袋」駅10分圏内駅の平均家賃が、東武東上線6.66万円、西武池袋線6.78万円、20分圏内駅では東武東上線6.03万円、西武池袋線6.61万円となる。西武池袋線のほうが都内を走っている区間が長いという事情はあるものの、どちらの路線も東京メトロ有楽町線と副都心線と直通運転をしており、交通利便性は同等と評価できることを加味すると、家賃面では東武東上線の有利性が際立つといえるだろう。

 

出所:平均家賃、公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会調べ(3月16日時点)、各駅より徒歩10分圏内の物件を対象とする
[図表2]東武東上線と西武池袋線の平均家賃 出所:平均家賃、公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会調べ(3月16日時点)、各駅より徒歩10分圏内の物件を対象とする

 

厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」によると、都内勤務の男性会社員の平均給与/月は、20~24歳で23.01万円、25~29歳で26.01万円、30~34歳で29.34万円、35~39歳で32.22万円となっている。企業規模によって平均給与は異なるが、そこから住民税や所得税などを差し引いた手取り額は、20代であれば18~20万円、30代で22~24万円程度と考えられる。また、手取り月収の1/3以内を適正家賃と考えると、20代会社員の適正家賃は6万~6.7万円、30代会社員の適正家賃は7.4万~8.1万円となる。

 

これをもとに各駅の平均家賃を見ていくと、20代会社員で「池袋」や「中板橋」を除き、30代会社員であれば「中板橋」を除き、すべての駅が居住地候補となる。また「池袋」も平均家賃8.36万円であり、隣駅である「北池袋」駅は平均家賃6.23万円で、「池袋」まで徒歩で20分弱という近さ。物件によっては「住まいは池袋」といえる範囲だろう。東武東上線はニーズや好みに合わせて居住地を選ぶことのできる、パフォーマンスの高い路線といえそうだ。

生活利便性は東京近郊の私鉄沿線のなかでもピカイチ

平日通勤時間帯の「池袋」までの所要時間と各駅の平均家賃を見てきたが、実際の暮らしはどうなのだろうか。それぞれをみていこう。

 

■「池袋」~「中板橋」

「池袋」まで10分圏内のエリア。「北池袋」は駅前に商店の集積はみられないが、「池袋」を生活圏内にすることができる。場所によっては、普段使いの駅も「池袋」にしたほうが便利な距離感である。「下板橋」の駅前も商店の集積はみられないものの、駅北口に中規模のスーパーマーケットがあるほか、埼京線「板橋」駅も徒歩圏内。物件の場所によっては商店の集積が進む「板橋」駅を普段使いにしたい。

 

「大山」の南口には「ハッピーロード大山」、北口には「遊座大山商店街」と、都内でも有数の規模の商店街あり、沿線のなかでも生活利便性の高いエリアである。

 

大山の商店街
大山の商店街

 

■「ときわ台」~「朝霞」

「池袋」まで20分圏内のエリア。各駅周辺は単身者が暮らしには十分なほど商業の集積が進み、生活利便性は高い。

 

「和光市」は東京メトロ有楽町線、副都心線の始発駅で、この駅より「池袋」寄りの駅を利用して都心や渋谷方面にアクセスする場合、「池袋」での乗り換えが必要となる。しかし「成増」と「地下鉄成増」は徒歩4分、「下赤塚」と「地下鉄赤塚」は徒歩2分の近さで、実質、都心や渋谷にダイレクトにアクセス。交通利便性にも長けているエリアである。

 

■「朝霞台」~「みずほ台」

「池袋」まで30分圏内のエリアで、どの駅の周辺にも商店の集積がみられる。ファミリー層を中心に開発されたエリアで、大規模なマンション群も多い。

 

そのなかで選ぶなら「朝霞台」と「志木」。「朝霞台」はJR武蔵野線と交差する駅で、JR線を活用すれば行動範囲がぐんと広がる。近年、商業の集積も進み、生活利便性も高まっている。「志木」は古くからの急行停車駅で、商業の集積が進んでいる。駅ビル「st.TOSCA」や「マルイファミリー志木」などファミリー層の中心とした商業施設が立地するほか、近隣に立教大学新座キャンパスや慶應義塾志木高等学校などがあることから、学生をターゲットした店舗も多い。

 

「志木」駅前
「志木」駅前

 

副都心線との直通運転で交通利便性が飛躍的に向上したこと、また始発となる池袋の人気上昇に伴い、東武東上線への注目は高まっている。また沿線には、地域の核となる駅が多く、生活利便性の高いエリアが続く。さらに都内私鉄沿線と比較しても家賃はリーズナブルであり、同じ「池袋」を起点とする西武池袋線と比較してても優位性が際立つ。人気でいえばほか路線に軍配はあがるかもしれないが、実際の利便性でいえば、東武東上線はトップクラスの路線だといえるだろう。

 

GGOとは、GENTOSHA GOLD ONLINE(幻冬舎ゴールドオンライン)の略称。『あなたの財産を「守る」「増やす」「残す」ための総合情報サイト』を掲げ、企業オーナー・富裕層を主要読者ターゲットとして運営している(写真は編集長の立本正樹)。

著者紹介

連載データから紐解く「住みやすい街」

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