不動産投資において、最大のリスクは「空室」ではなく「家賃滞納」であるといっても過言ではありません。本記事では、株式会社CFネッツ代表取締役兼CFネッツグループ最高責任者・倉橋隆行氏監修の書籍『賃貸トラブル解決のプロと弁護士がこっそり教える 賃貸トラブル解決の手続と方法』(プラチナ出版)より一部を抜粋・編集し、実例とともに「賃貸トラブル」の予防策や解決法を具体的に解説します。

「私が代わりに支払うしかないのですね…」

それから数日後、私宛に、聞きなれない女性から電話があり、「すみません。私は、借主IEの母親です。どうやら私の娘の家賃が入っていないということで、先ほど、ずいぶん前に離婚した連帯保証人ITの親せきが、突然うちに来まして。封筒をたたきつけて帰っていったのですけれど。その封筒の中を見ますと、これまで見たこともないような恐ろしい書類が入っていまして。その書類に片岡さんの名前と連絡先が書いてありましたので電話しました」。

 

私は、そんな恐ろしい書類を作った覚えも送った覚えも全くありませんでしたため、「言いがかりはやめてください。そのようなものを、送った覚えはありません!」と、少しムッとしながら言い返したのですが、この借主IEの母親を名乗る女性からよくよく内容を聞いてみますと、「もしかしたら、あの内容証明郵便で送った請求書のことかな?」と思いあたります。

 

 

私は、何百通と、似たような書類を作成し、内容証明郵便で郵送していますので、もうすっかり見慣れてしまって、恐ろしいという感覚が全然ないのです。だから、最初はわからなかったのですが、初めてこの書類を見た人は恐ろしく感じるのかと思い、反省しました。

 

借主IEの母親は、「連帯保証人ITとはずいぶん前に別れていまして、連帯保証人ITの親族とも、もう縁が切れていますので、あちらの方たちに請求するのを、止めて欲しいのですけれど?」。弱り切った様子で、懇願されますが、私は当然断ります。

 

「やっぱり、私が代わりに支払うしかないのですね。私の娘のことですから、仕方がないですよね…」ということで話は落ち着き、借主IEの母親が滞納家賃を全額支払い、無事全額回収となりました。

 

今回は、連帯保証人の相続人へ滞納家賃を請求したにもかかわらず、これまで全く登場しなかった借主IEの母親が、親族間の関係性から、全額支払うという、稀なケースです。「相続」は「争族」といったところでしょうか。

 

なお、相続人へ滞納家賃を請求したものの、相続放棄をされてしまい、相続人から回収ができないケースもあります。それでも、今回のように、相続人以外の思わぬ人物から、回収できることもありますので、請求対象者の死亡が判明しましたら、まずは相続人を調査し、請求することが第一歩かと思います。

 

【利用した法的手続】

・支払督促(滞納家賃請求)

賃貸トラブル解決のプロと弁護士がこっそり教える賃貸トラブル解決の手続と方法

賃貸トラブル解決のプロと弁護士がこっそり教える賃貸トラブル解決の手続と方法

倉橋 隆行 上町 洋 片岡 雄介 世戸 孝司

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