仲良し家族が崩壊…相続争いの「火種」はどんな家にもある!?

裁判所の司法統計によると、遺産分割事件は年間16,016件(平成28年度)発生し、その3割は、遺産額1,000万円以下といわれています。誰にでも起こりうる相続トラブルに巻き込まれないためにも、相続対策はしっかりとしておきましょう。今回は、相続トラブルが起きやすい5つのパターンと、その回避法を見ていきます。※本記事は、円満相続税理士法人の橘慶太税理士の語り下ろしによるものです。

「あの子には内緒」の生前贈与が、後にトラブルに

「相続トラブルなんて、うちには関係ない」「うちには金はないから、相続トラブルなんて起きないよ」と思っている方は多いのではないでしょうか。しかし、現実に、たくさんの相続トラブルが起きています。しかも相続トラブルの3割は、遺産額1,000万円以下といわれているので、一般の家庭でも、決して他人事ではないのです。

 

事情はそれぞれ異なるものの、相続トラブルには起きやすいパターンがあります。そのパターンを知っておけば、トラブルを起こさないように対応できるはずです。一つひとつ、見ていきましょう。

 

◆火種1 不公平かつ内緒の生前贈与

たとえば、長女と次女、2人の娘がいる場合のケースで考えてみましょう。長女は、結婚して家を建てるときに、両親から住宅資金として生前贈与を受けていました。しかし次女は、そのような生前贈与を受けていません。問題は、長女への生前贈与を次女には内緒にしていた……そのようなケースです。

 

「内緒の生前贈与なんだから、バレなければいいのでは?」と考えるかもしれませんが、過去の生前贈与はかなりの確率でバレます。

 

どのようなときに発覚するかというと、まずは、相続税の申告のとき。過去に生前贈与を受けたことがあるのなら、申告書に記載しなければなりません。そして内緒にされていた人が申告書を見て「この生前贈与ってなに?」と聞いてきて発覚してしまうのです。

 

また税務調査のときも、生前贈与がバレやすいタイミングです。税務調査官は家族の事情など知らないので、内緒にされている人の前で、「過去に生前贈与、受けていますよね」と確認のために聞いてきます。そして内緒にされていた人が「さっき、生前贈与っていっていたけど……」と発覚するわけです。

 

家族ごとに事情があるので、兄弟の片方には生前贈与をして、もう片方にはしない、ということはあるでしょう。その際には、生前贈与は内緒にしないことが、トラブル防止の第一歩になります。

 

家族なのに、隠し事なんてひどくない⁉
家族なのに、隠し事なんてひどくない⁉

 

◆火種2 亡くなった人との口約束

「もし私が死んだら、あの土地はあなたにあげる」と父親と約束をしていたとか、「孫が生まれたら生前贈与をする」と母親と約束をしていたなど、口約束だけして、約束をした相手が亡くなってしまうパターンです。

 

遺言書がなければ、本当にそのような約束がされていたかどうか、誰にもわかりません。「本当に、そんな約束したのかな?」と、他の相続人はいぶかしく思うだけです。また口約束だけでは法的な拘束力もありません。

 

このような口約束をするのであれば、まず、きちんと遺言書を残してもらいましょう。また生前贈与の約束をしたのであれば、約束だけでなく、実行してもらうようにしましょう。

 

◆火種3 遺産隠し

誰かが亡くなり、「悲しいけれど相続の話し合いをしましょう」、というときに、遺産を隠してしまうパターンです。

 

遺産隠しは大きく2パターンあります。まず、亡くなる前に預金からお金を引き出して、残高を低く見せるようにしたりとか、そもそも銀行口座を教えなかったりなど、「財産そのものを隠してしまう」パターンです。もう1つが、本当は1億円の価値がある土地を、「5,000万円の価値しかないよ」と低く伝えるような、「評価額を低く伝える」パターンです。

 

このように、亡くなった方に近い相続人が遺産額をいつわり、遺産分割協議を進めてしまうのです。

 

すべを鵜呑みにせず、遺産分割協議書にサインと押印をする前に、他に遺産がないのか、その評価額は適正かどうか、検討することも必要です。

介護、認知症…高齢化で増える、相続トラブル

◆火種4 親の介護をした子どもvs.親の介護をしなかった子ども

最近、特に増えているのが、このパターンです。親が認知症になってしまったケースや、在宅介護でがんばったケースなど、介護は本当に大変です。

 

しかし、法律的には、介護をしていても、していなくても、法定相続分は変わりません。「寄与分」という、「介護をたくさんした人は、たくさん相続できますよ」という制度はありますが、過度に期待をしてはいけません。寄与分として認められる金額は、実際に介護士にお願いした際の金額よりも、少し低い程度です。筆者が一度計算したところ、時給2,000円程度の換算でした。また、介護施設に入居している間というのは、基本的に、寄与分は認められません。

 

不公平感はトラブルのもとです。親に意思能力があるのであれば、多めに分けてもらえるような遺言書を作ってもらうとか、生前贈与で先に財産を分けてもらうなどして、不公平感をなくすようにすればいいでしょう。

 

◆火種5 認知症の方が残した遺言書

これも、最近増えているパターンです。たとえば、「遺産のすべてを長男に」という遺言書があった際に、次男が「いやいや、遺言書を作ったときには親は認知症だったじゃないか」と、遺言書の無効を主張してくるようなケースです。

 

遺言書には、自筆証書遺言と、公正証書遺言がありますが、後者のほうが無効になるリスクは低いです。しかし、公正証書で作っているから絶対安心というわけではありません。公証人立会いのもと作成した遺言書でも「本当の気持ちを反映していない」と無効になった判例はあります。

 

このようなトラブルが起きないように、遺言書を作成する前後、1ヵ月以内に、主治医から「意思能力がある」という診断書をもらっておくといいでしょう。

 

【動画/筆者が「相続トラブルの原因」について分かりやすく解説】

 

橘慶太

円満相続税理士法人

 

 

円満相続税理士法人 代表 税理士

中学・高校とバンド活動に明け暮れる。大学受験の失敗から一念発起し税理士を志す。大学在学中に税理士試験に4科目合格(法人税法の公開模試では全国1位)し、大学卒業前から国内最大手の税理士法人山田&パートナーズに正社員として入社する。

税理士法人山田&パートナーズでは相続専門の部署で6年間、相続税に専念。これまで手掛けた相続税申告は、上場企業の創業家や芸能人を含め、通算300件以上。また、三井住友銀行・静岡銀行・ゆうちょ銀行を中心に、全国の銀行で年間130回以上の相続税セミナーの講師を務め、27歳という若さで管理職に抜擢される。

税理士の使命は、難解な法律や税金をできる限りわかりやすく伝えることだと考えている。平成29年1月に表参道相続専門税理士事務所を設立し、平成30年より法人化に伴い、円満相続税理士法人に商号を変更した。

著者紹介

連載家族が集まる年末年始だから本気で考えたい!「相続」特集 ~2020

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