「ゴミ部屋」炎上の原因はタバコの不始末
入居後トラブル事例①
30代男性
これは30代の男性の部屋で、分譲マンションの一室から火災が発生したケースです。消防車が5台ぐらい来ていて、無事に消火が終わりました。大隊長がきて、「ボヤでしたから大丈夫ですよ。ただ、室内が凄い汚かったですよ。見てみますか?」と言われ、「はい。見てみます」と中に入りました。
エアコンが溶け、照明も溶けていて([図表1]、[図表2])、下はこんな感じでした([図表3]、[図表4])。いわゆる「ゴミ部屋」で、[図表3]の囲んだ箇所が火元なのですが、タバコの不始末が原因だったということです。
いわゆる完全な「ゴミ部屋」で、本当に凄かったです。消防署の人が消火活動で水を放水すると、普通であれば、下のフロアに水が漏れてビシャビシャになりますが、皮肉なことに、この部屋の場合ゴミが全部水を吸ってくれたので、下の部屋に一切水が漏れずに奇跡的に被害が少なくて済んだのです。
この入居者は火災保険に入っていませんでした。結局、オーナーが物件購入する際に火災保険に入っていたので、それでカバーしたというのが現状です。オーナーチェンジの場合、その建物賃貸借契約に火災保険が付保されていないケースが多く、このような処理の場合、いろいろと苦労することが多いのです。
入居審査でNGを出したはずだったのに…
入居後のトラブル②
・20代 男性
・元会社員、現在無職
・空室募集中の部屋
これは珍しいケースですが、この部屋、当社のスタッフが現地へ行って、鍵を開けてみると、部屋の中は写真のとおりでした([図表5]、[図表6])。空き部屋にも関わらず、誰かが引っ越してきて普通に住んでいたのです。
これは、ある仲介業者から連絡があり、「案内に行ったら募集中の部屋に誰か住んでいます」という電話がきっかけでした。カーテンもついているし、パイプハンガーで服を飾っているし、ポスターみたいなのも置いてあります。
仕方がないので当社のスタッフが現地で張り込みをし、念のため、警察も呼んで立ち会ってもらいました。
すると女性が現れ、普通に鍵を開けて入って行ったので、取り押さえました。事情を聴くと、「彼が『引っ越ししたので遊びに来てくれ』って言うんで、合鍵をもらって来ました」ということでした。「ところで、あなたたちこそ、いったい何なんですか?」と逆に我々が怒られる始末…。
「この部屋は賃貸の募集中で誰にも貸していません。そこへ勝手にあなたが入ってきたという状況です。もしあなたの言うことが正しいとすれば、あなたの「彼氏」が勝手に住み込んじゃっているんですよ」
「そんな!」
こっちが、そんなです。結局、調べてみると、その彼氏とは、もともとこの物件に入居申し込みをしていた会社員でした。会社をやめて転職するからという理由で申し込みを入れてきた人で、入居審査でNG、契約のお断りをした人でした。
そんな関係でこの物件の再募集していましたが、その再募集中に合鍵が保管されている場所と暗証番号をどうやって調べたのかわかりませんが、そのカギを利用し、普通に引越しをし、彼女に引越しをしたことを伝えて合鍵を渡して招待しているのですから呆れるほかありません。
警察には被害届を出すかどうかを聞かれましたが、今回は穏便に済ませるようにしてあげました。入居申込書には、緊急連絡先である親の電話番号がありましたので、連絡をしたところ、すぐに本人から連絡がありました。現場にきてもらい話をし、すべての荷物を撤去してもらい、賃料と清掃費用などを支払わせ、解決することができました。
本人は、既に引っ越すことを周囲に告げてしまった関係で、引くに引けなくなって引越しをしてしまい、改めて当社と交渉して契約をするつもりだったといっていましたが、このような実力行使的な態度の人と契約するつもりはありません。
実際に、このようなケースも見受けられるようになり、また前例で示した通りの空室物件をつかった詐欺事件も増えています。当社でも、空室物件の定期巡回の頻度を高めたり、鍵の保管や暗証番号等の情報の取り扱いには更なる注意を図るようにしています。
そして仲介業者との付き合いにも、注意をするようにしています。問題のある会社をリストアップして共有し、取引をお断りするようにしています。