「壁の中に人がいる」…薬物使用が疑われる入居者トラブル事例

不動産投資において、最大のリスクは「空室」ではなく「家賃滞納」であるといっても過言ではありません。本記事では、株式会社CFネッツ代表取締役兼CFネッツグループ最高責任者・倉橋隆行氏監修の書籍『賃貸トラブル解決のプロと弁護士がこっそり教える賃貸トラブル解決の手続と方法』(プラチナ出版)より一部を抜粋・編集し、実例とともに「賃貸トラブル」の予防策や解決法を具体的に解説します。

入居者の意味不明な言動にスタッフが対応すると…

【入居後のトラブル事例】

申込内容

・40代男性 無職(日雇い)

 

よく文句をつけて暴力を振るう人がいます。

 

たとえば「玄関から虫が入ってくる、壁の中に人がいる」。意味不明な言動ですが、当社のスタッフが現地に行ったところ、何かと文句をつけられて、殴られそうになって退散してきました。

 

「上町さん、怖いから、僕行けませんよ」

 

結構大柄のスタッフですが、現地に私を同行させようとします。

 

「上町さん、一緒に行ってくださいって」

「俺も怖いから嫌だよ」

「大丈夫ですよ。上町さん、十分怖いから」

「俺は全然怖くないよ。見かけだけだから、怖いのは」

「いや、大丈夫ですよ」

 

そんな会話をしながら、仕方がないので一緒に行ったところ、身長が170から173センチぐらいで、体重60から65キロぐらいが出てきました。ちょっとしまった感じの、結構顔のいい40代の男性でした。何でそんなところを見るかというと、やっぱり戦ったときに勝てるかどうかというのを見なきゃいけないので、そういうのをまず見ます。

 

最初の「玄関から虫が入ってくる」ことについては、ポストの目張りをして、とりあえずこれで様子を見てくださいと話をして帰って来ました。

 

するとそれからまた連絡があって、「洗濯機の水をこぼしちゃって、床をぐしょぐしょにしちゃったから、張り替えてくれ」という連絡でした。実際、行ってみると、そんな形跡は全くなかったので、

 

「張り替えるのはいいけど、そのかわり、あなたの実費で張り替えることになりますよ。お金を払ってくれるのでしたら張り替えます」と言ったら、

 

「俺がやったんじゃなくて、洗濯機を設置した業者がやったから、その洗濯機を設置した業者に請求書を出すから、請求書をつくってくれ」という始末。

 

「張り替えもしないのに請求書なんてつくれない」ときっぱりと言いました。

不思議なことをいうだけでは契約違反にならない⁉

最初は「何だ、おまえ、それが客に対する態度か」なんて言っていましたが、話をしているうちに意外と仲良くなってきて、今度はちょくちょく電話がかかってくるようになりました。

 

「上町さん、部屋に部屋があるでしょう」

 

この人は何言っているのかという状態です。

 

「人がいるんだよ」

「そんなのあるわけないでしょ」と言って、現地に行ったら、屋根裏の点検口をめくって

「ほら、人がいるんだよ」と説明します。もちろん、そんなところに人はいないのですが。

 

これは完璧に〝薬〟だなと思いました。最初の虫も覚せい剤等の薬の幻覚症状だったんです。

 

「ひょっとして薬やっているんじゃない? これから警察に行こう」

 

「いや、やっていない、やっていない」

「じゃ、病院へ行こう」

「いや、大丈夫、大丈夫」なんて言っていて、

「今度何かあったらすぐ警察呼ぶからな」って言って帰ってきました。

 

一応、警察に通報しておいたほうが良かったかなとも思いましたが、この日以降、自分から退去してくれて、それで何とか事なきを得ました。

 

こういう人もたまにいます。当社の場合、オーナーチェンジで売買することが多く、その物件を買ってくれた新たなオーナーから委託を受けて賃貸管理を行いますので、当社で入居審査をしていない物件も多いのです。だいたい比較的条件の良い物件を取引しようとすると、こういった人が入っているケースが多く、我々は根気よくこのような対応をしているのです。

 

また法的な手続では、賃料の滞納なら契約違反が認められるのですが、このような人に対する契約違反はなかなか認められないものです。「屋根裏に人がいる」という不思議なことを訴えているから契約違反になるというものではなく、仮に麻薬取締法に基づいて逮捕でもされれば、信頼関係の破壊を理由に契約解除が認められるかもしれません。

 

また、暴力的な入居者の対応については、1人で対応しないで必ず2人以上で対応するようにしています。一応、証拠として写真や動画で記録する場合もあります。以前に別の担当者が、滞納する高齢者に殴られて警察を呼んで傷害事件にして退去させたことがありましたが、これも割が合わない仕事です。いちいち殴られながら仕事をするというのも危険な話ですから、証拠をとらえて、コツコツと法的手続を取っていくというのが我々の仕事です。

 

また、このような人の多くは、何らかの金銭的な要求をしてくるケースが多いので、相手にしないで断る勇気を持つというのが非常に重要です。一度応じてしまうと、さらに要求をしてきます。「本当に損害があるなら裁判所に訴えていただいて構いません」という姿勢で取り組めば、裁判所に提起されるようなことはありません。

 

株式会社CFネッツ代表取締役
兼CFネッツグループ最高責任者 

1958年生まれ。株式会社CFネッツ代表取締役兼CFネッツグループ最高責任者であり、グループ企業18社を率いる現役の実業家。20社を超える起業に携わり、複数の事業再生案件も成功させている。また、自ら渡米して国際ライセンスのCPM(Certified Property Manager)を日本人で初めて取得しており、現IREM‐JAPANの創生に携わり、2002年の会長に就任している。また、1995年には日本で初めてPMマニュアルを出版、プロパティマネジメントの近代化に取り組んでいるPM業界の第一人者でもある。

著者紹介

株式会社CFネッツ
プロパティマネジメント事業部マネージャー 

神奈川県横須賀市出身。専門学校卒業後、IT企業にSEとして6年間勤務。その後、横浜市にある不動産会社にて17年間勤務。2011年8月CFネッツに入社。不動産業界でも経験は20年を超え、特に投資用不動産の資産管理を得意としている。中でも的確なバリューアップ(資産価値向上)提案・空室対策は、多数の投資家オーナーより絶大な支持を得ている。プロパティマネジメント事業部マネージャーとして日々業務に従事し、社員の育成にも力を発揮している。

著者紹介

有限会社シー・エフ・ビル
マネジメントリーダー 

大学卒業後、不動産会社へ入社。分譲マンション販売営業に携わる。その後、賃貸仲介営業を経て、賃貸管理業務に興味を抱き、2011年4月、CFネッツへ入社。CFネッツの管理部門である、シー・エフ・ビルマネジメントでリーダーを務める。保有資格:貸金業務取扱主任者、職業紹介責任者、宅地建物取引士、ビジネス実務与信管理検定。

著者紹介

連載管理会社のプロが実例で教える「賃貸トラブル」の解決ノウハウ

賃貸トラブル解決のプロと弁護士がこっそり教える賃貸トラブル解決の手続と方法

賃貸トラブル解決のプロと弁護士がこっそり教える賃貸トラブル解決の手続と方法

倉橋 隆行 上町 洋 片岡 雄介 世戸 孝司

プラチナ出版

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