都心は「西低東高」傾向?マンションの割安感を計る指標とは

不動産投資アドバイザーでCFPファイナンシャルプランナーの大林弘道氏の著書、『儲ける不動産ビジネス 7つの新規事業アイディア』より一部を抜粋し、投資をはじめとした不動産ビジネスをめぐる課題を解決するための具体的なアイデアを提案していきます。

「城北・城東エリア」の投資効率が高い理由

先日、メディアに「これからのマンションは西低東高だ」なる記事が出ていました。

 

いわゆる城南・城西エリアのほうが、城北・城東エリアよりも、地ぐらい(※土地の格、ブランド力)が高く、人気・価格ともに高い「西高東低」というのが従来の認識だったのですが、インフラ整備、商業施設の集積とともに城北・城東エリアのイメージがぐっと良くなったのです。そもそも都心部への通勤アクセスも良いし、価格的にも割安感があるので、今後は注目すべきエリアになっていくだろう…という訳です。

 

私も前に書いた本等ではこれまで「不動産投資をするなら城北・城東エリアの方が実は投資効率が高い」と述べてきました。ちなみに城北・城東エリアの物件ほど投資効率が高いもうひとつの理由に、建物割合が高くなることで節税対策に効果的であることがあげられます。

 

ところでマンションの割安感といえば、マンションデータの収集分析を行う東京カンテイという企業をご存じでしょうか。分譲マンションであれば、分譲当時のパンフレットや価格表をおおかた入手できるので、不動産業界ではとても重宝されている存在です。

 

その東京カンテイが、マンションの割安感の参考指標として、「マンションPER」という尺度を出しています。PERとは株価収益率(Price Earnings Ratio)のことで、一株あたり利益に対し、株価が何倍まで買われているかを表したものであり、株価/一株あたり利益で算出されます。このPERが低ければその株価は割安であるということができます。

 

これをマンションにあてはめ、その価格と(賃貸した場合に得られるであろう)年間賃料との相関を表したものが「マンションPER」であり、何年分の賃料で、売買金額を回収できるかといった尺度で、マンションの資産価値を測定することができることとなります。先の例でいうと、「マンションPER」が低い(割安感がある)のは城北・城東エリアといえるでしょう。

 

ちなみに[売買価格/年間賃料]で求められるマンションPERは、賃料利回り計算[年間賃料/売買価格]の逆に過ぎないのですが、居住用マンションを検討する人の場合には、「買ったほうがいいか? 借りたほうがいいか?」という古くて新しい命題に対し、自分の答えを導くのにわかりやすい指標になるのです。

従来のマンション評価は「取引事例比較法」で算出

また、東京カンテイは「マンションPBR」という指標も出しています。

 

PBRとは株価純資産倍率(Price Book-value Ratio)のことで、企業の時価総額が純資産額の何倍であるかを表したものであり、[株価/一株あたり純資産]で算出されます。このPBRが低ければその株価は割安だということができ、仮に1倍を下回っているようであれば、企業の解散価値をも割り込んでいると言えることとなります。

 

これをマンションにあてはめたのがマンションPBRなのですが、東京カンテイのそれは[現在価格/分譲時価格]で求められています。これだと分譲時からの騰落率を表すことになってしまうので、本来のPBRとは少しずれているような気がします。ちなみに騰落率とは、ある期間の始めと終わりでどれだけ価格が変化したかを示すものです。

 

特に不動産価格は、そのときの経済情勢・金融環境に大きな影響をうけます。リーマンショック前に、新築マンションがマンション新価格、新・新価格などと言われ高値圏にあったときなどは、分母の分譲時価格が大きく変わってしまいます。景気循環は必ず一定周期で存在するという前提のもとで、新築時から保有するマンションを今売るかどうかを検討する場合には「マンションPBR」は使えるかもしれませんが、マンション購入にあたって、分譲時期が異なる物件Aと物件Bどちらがいいか比較する際に、「マンションPBR」を援用して判定を導くのはミスリードとなるでしょう。

 

そのかわり、公的評価(固定資産税評価や路線価)をベースにして「マンションPBR」を算出してはどうでしょうか。エリアの違いによりどのくらい公的評価からかい離しているか(価格にプレミアムが乗っているか)がわかりやすいし、相続税対策を考えている人にとっては評価の圧縮率を測るのに良い指標になります。

 

もし、マンションが西低東高の傾向にあるのだとすれば、城北・城東エリアの物件のマンションPBRは上昇基調にあると映るでしょう。

 

従来のマンション評価は、もっぱら取引事例比較法で算出されることが多くなっています。「類似のマンションが〇〇万円で成約しているから、当該マンションは〇〇万円だ」とするものです。比較に用いた事例に何らかの特殊な事情が存在していると、導かれる価格にもバイアスがかかってしまいます。

 

また、マンションにはその利用方法により評価が異なることもありえます。自ら使用する人が考える価値と、人に貸して賃料を得ようとする人が考える価値は異なります。より多くのサンプルと、多角的な側面をもってマンション評価、価値判断を行いたいところです。

スター・マイカ・アセット・パートナーズ株式会社代表
不動産投資アドバイザー
CFPファイナンシャルプランナー 

1967年生まれ、岐阜県出身。慶應義塾大学商学部卒業後、三井不動産グループや三菱地所グループを経て、現在はスター・マイカ・アセット・パートナーズ株式会社の代表を務める。不動産仲介や新築分譲戸建ての販売、リフォーム営業、オフィスや商業施設の管理運営、複合施設の開業コンサルに従事。不動産全般にかかわる多様な知識と経験をもつ。宅地建物取引士、ビル経営管理士など多数の資格を持つ。前著に『金融視点で考えるハイブリッド不動産投資法』『節税・年金・相続を考える人のディフェンシブ不動産投資』『資産運用・節税・相続のための新・不動産投資メソッド「じぶんリート®」』(いずれも幻冬舎ルネッサンス刊)がある。

著者紹介

連載新時代を切り開くビジネスアイデアとは? 儲かる「不動産投資」講座

本記事は、筆者の個人的な解釈、見解を踏まえて書かれたもので、情報提供を目的としたものです。各種法規、税制に照らして検証されたものではなく、記載の内容と実際とが異なる場合もございます。筆者ならびに当社関係各社は、これにより生じた損害について一切の責任を負いかねますのでご了承下さいますようお願い申し上げます。

儲ける不動産ビジネス 7つの新規事業アイデア

儲ける不動産ビジネス 7つの新規事業アイデア

大林 弘道

幻冬舎

取引価格が大きい、賃貸借をはじめとする法制が複雑、ファイナンス環境との相関の高さ、日本人固有のメンタリティによる「不動産の取り扱いにくさ」に流動性を与えれば商機が生まれる?マイナス要素を取り除くための新たなビジ…

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