住む場所がない…高齢者の入居が「敬遠されがち」な現実

不動産投資アドバイザーでCFPファイナンシャルプランナーの大林弘道氏の著書、『儲ける不動産ビジネス 7つの新規事業アイディア』より一部を抜粋し、投資をはじめとした不動産ビジネスをめぐる課題を解決するための具体的なアイデアを提案していきます。

相続資産としての現金は子どもに「負担」を残す⁉

孤独死や老老介護といった高齢化社会を象徴するようなワードを頻繁に耳にします。住まいに関して言えば、高齢者向け住宅もいろいろな種類があるものの、費用面で現実的でない場合も少なくないし、公的な施設だと入居待ちで、しかも居住スペースとしては今ひとつだったりするようです。

 

健康面での不安はさしあたって無いとしても、離れて暮らす老親がいる人は心配です。郵便局員による高齢者見守りサービスや、ドアの開閉センサーによる遠隔見守り機器もでていますが、万一のことを考えると、老親にはやはり近くで住んでいてほしいものです。

 

一方、賃貸営業の現場からすると、高齢者の入居は敬遠されがちであるのも現実です。近くに住んでほしいと言いながら、賃貸による住み替えは少しハードルが高いかもしれません。親に近くに住んでもらうために「レントクリップ」の活用を提案します(関連記事『マンション購入後の「住み替えリスク」解消のアイデアとは?』参照)。これは老親用の賃貸物件がないから消去法的に親の住まいを購入しようというものではなく、個人のアセットアロケーションを考えた時に不動産資産は複数あっていいということです。

 

そして、そのうちの一つのマンションについて暫定利用で親の住まいとして検討するのです。自分の所有資産であればバリアフリー工事なども可能ですし、賃貸では難しいペット飼育も分譲マンションであれば可能な物件も多く、選択肢がひろがります。将来、親と同居することになったり、親がケアホームに入居したりで、そのマンションが空室となった際には「レントクリップ」を活用、賃料保証を受けられます。もちろん値上がりしていたら売ってもいいのです。

 

子ども目線で話をしましたが、親の立場から考えても、自身の老後の住まいに「レントクリップ」を活用できます。地方の自宅を売却して、都心のマンションを購入、いつでもお孫さんと買い物に出かけられる近所に引っ越すのです。

 

相続税が改正され、一様に課税負担が重くなりましたが、現預金で多額の資産を持っていながら、万一のことがあったとすると大変です。相続資産としての現金は額面で評価されてしまい、その結果子ども(相続人)に納税負担をのこしてしまうのです。その現預金を都心のマンションに変えておけば、不動産は公的評価額が低く設定されていることから、相続税負担を軽減することが可能となります。

 

子どもの近くで余生を過ごし、いつか相続のフェーズに差し掛かった時にも、次世代へ迷惑をかけずに済むのです。そしてマンションは「レントクリップ」で借り上げてもらい、子どもたちを経済的に援助する資産へと形を変えて引き継いでいけるのです。

不動産会社で「空室リスク」を保証する場合もあるが…

ところで最近では、住まいを借りようとする際、連帯保証人をたてるという従来の方法はあまり取られていません。誰も連帯保証人になりたがらないのと、オーナーも連帯保証人となる人(親族など)の資力を見極められないのがその理由です。

 

現在ではこれに代わり、賃貸保証会社が入居者の保証人となるのが一般的です。入居時に保証料として月額賃料の50%程度の支払いを求める会社が多いようです。賃貸保証会社というと、大手保証会社がリーマンショック後に破綻してしまい、オーナーへの送金が滞ったという社会問題が思い出されます。

 

ただ、この事例は同社がファンドバブルの時代に、中国進出など多角化した事業の悪化が原因といわれています。本来の、賃貸保証業務は適切なリスクヘッジがなされていれば安定収益を得られる業務だと考えられます。

 

最近では、マルイのクレジット子会社である「エポスカード」が、会員のクレジット払いの履歴をベースにした信用情報を用いて業績を伸ばしています。賃貸保証会社が、主に入居者の滞納リスクを保証するとすれば、「レントクリップ」では空室リスクを保証することになります。

 

ワンルームマンション投資を勧める不動産会社では、空室リスクを保証する会社もありますが、募集を一任されていることをいいことに、再募集賃料について安めに設定して、賃料保証そのものを回避するか、負担額を軽減しています。保証額は再募集賃料の80%程度が多いようです。これでは賃料保証そのものの意味が薄くなってしまいます。

 

「レントクリップ」によって、マーケット賃料と保証賃料における最適な相関関係を蓄積していけば、賃料保証会社としても機能していくことになります。その延長では滞納保証も手がけられるでしょう。滞納保証と賃料保証は似ているようでいて、双方を同時に手がける会社は多くないはずです。こうして、住まいに関するハイブリッド保証を担っていく事業を目指します。

 

さらにシニアの賃貸についても保証を絡めていくことを検討します。先述の通り高齢者の賃貸については業界全体が及び腰であることは否めません。しかしながら、高齢者がマジョリティとなる世の中はもうすぐそこに迫っています。レントクリップを軸にして、シニアの賃貸保証とシニアの住まい購入双方を取り込みながら包括的に担うパイオニアとして事業を展開していければ、社会的にも意義の高い仕事になるでしょう。

スター・マイカ・アセット・パートナーズ株式会社代表
不動産投資アドバイザー
CFPファイナンシャルプランナー 

1967年生まれ、岐阜県出身。慶應義塾大学商学部卒業後、三井不動産グループや三菱地所グループを経て、現在はスター・マイカ・アセット・パートナーズ株式会社の代表を務める。不動産仲介や新築分譲戸建ての販売、リフォーム営業、オフィスや商業施設の管理運営、複合施設の開業コンサルに従事。不動産全般にかかわる多様な知識と経験をもつ。宅地建物取引士、ビル経営管理士など多数の資格を持つ。前著に『金融視点で考えるハイブリッド不動産投資法』『節税・年金・相続を考える人のディフェンシブ不動産投資』『資産運用・節税・相続のための新・不動産投資メソッド「じぶんリート®」』(いずれも幻冬舎ルネッサンス刊)がある。

著者紹介

連載新時代を切り開くビジネスアイデアとは? 儲かる「不動産投資」講座

本記事は、筆者の個人的な解釈、見解を踏まえて書かれたもので、情報提供を目的としたものです。各種法規、税制に照らして検証されたものではなく、記載の内容と実際とが異なる場合もございます。筆者ならびに当社関係各社は、これにより生じた損害について一切の責任を負いかねますのでご了承下さいますようお願い申し上げます。

儲ける不動産ビジネス 7つの新規事業アイデア

儲ける不動産ビジネス 7つの新規事業アイデア

大林 弘道

幻冬舎

取引価格が大きい、賃貸借をはじめとする法制が複雑、ファイナンス環境との相関の高さ、日本人固有のメンタリティによる「不動産の取り扱いにくさ」に流動性を与えれば商機が生まれる?マイナス要素を取り除くための新たなビジ…

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