社員が「億単位」の金を横領していた…刑事告訴をする前に

社員の横領が発覚。どこの会社でも起きる可能性のある事件だが、会社は一体どのように対応すべきなのだろうか。本記事では、横領行為が発覚したあとの対応について見ていく。

まず「横領をした証拠」を集める

社員が億単位の金を横領・・・このような事件は、それなりに大きな会社でも起こるものです。このような横領行為が発覚したあと、会社としては、どのような対応を取ればよいのでしょうか。

 

◆証拠の収集

 

いきなり、横領をしたと思われる社員を詰問しても、自分はやっていないというに決まっていますから、まず、証拠を集めてください。会社の経理・税務をやってもらっている税理士の方の協力を得ながら、契約書、発注書、請書、請求書、領収書などの調査、会社の預金通帳との比較、問題ある社員のメールの調査、取引先となっている会社への聞き取りなどを行います。

 

聞き取りを行った場合、どのような聞き取りを行い、どのような回答があったのかを、詳しく文書で残してください。

 

まずは「横領をした証拠」を集める
まずは「横領をした証拠」を集める

 

◆問題社員からの聞き取り

 

そして、ある程度事実を固めてから、問題社員から聞き取りを行います。社員から聞き取りをする場合、1人ではなく3人程度いたほうがよいと思います。そして、1人は、問題社員とのやり取りを、できるだけ詳しくメモにします。

 

問題社員が横領行為を認めた場合、その場で、横領をした金額(詳しい金額が分からなければ概算でよい)、いつからいつまで横領行為をしたのか、横領の手口、横領した金額の弁済方法などについて、手書きでもよいですから文書を作り、横領をした社員の署名捺印をもらってください(捺印は三文判でもよいですし、署名だけでも構いません)。

 

横領行為があった場合に問題になるのは、次の3つです。

 

①業務上横領罪による刑事告訴

 

②就業規則に基づいた懲戒

 

③民事の損害賠償

 

まず、①の刑事告訴ですが、刑事告訴をするにしても、ある程度の証拠がなければ警察は告訴を受け付けてくれません。1で述べたように、証拠の収集をできる限り行う必要があります。

 

その後、告訴状を作成して警察に出向き、告訴をすることになります。

 

次に、②ですが、就業規則にもとづいて懲戒処分を行います。金額にもよりますが、多くの場合は懲戒解雇になると思います。

 

③は、裁判所に損害賠償請求訴訟を起こすことです。

刑事告訴をするか、被害弁償をさせるか?

◆具体的な進め方

 

横領行為が発覚したときは、問題社員を自宅待機にし、前述のとおり証拠の収集を行います。

 

その上で、刑事告訴をするのか、どのような懲戒処分にするのかを決めなければなりません。刑事告訴はせずに、横領した金額を会社と問題社員とで決めた上で、頭金としてある程度の金額を支払わせ、残りは分割払いとして被害弁償をさせる、問題社員は懲戒解雇にするというようなやり方もあると思います。

 

問題社員に真摯な反省がない、横領した金額を返す気がない(あるいは返せない)という場合は、刑事告訴をする、懲戒解雇をする、場合によって、(結局回収することはできないかもしれないが)損害賠償の民事訴訟をするということもあり得るでしょう。慎重な対応が求められます。

 

グリーンリーフ法律事務所 弁護士

昭和55年 早稲田大学法学部卒
昭和59年 弁護士登録
著書に「決定版原状回復 その考え方とトラブル対処法」(にじゅういち出版)、「誰にもわかる借地借家の手引」(新日本法規出版、共著)など。論文に「相続税の負担減少を目的とした養子縁組の効力とその対応策」(月刊税理)、「相続が発生した場合の預貯金の取扱い」(月刊不動産フォーラム21)など。

著者紹介

連載トラブル事例から法律問題の最新事情まで!法律事務所こぼれ話&耳より情報

本連載は、「弁護士法人グリーンリーフ法律事務所」掲載の記事を転載・再編集したものです。

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