実家の農業を継ぐ兄が「頑固に農地を譲らない末弟」と調停争い

誰でも一度は経験するであろう相続。しかし、「争続」の言葉が表すように、相続に関連したトラブルは尽きない。なかには、生前の対策によっては避けられたであろうトラブルも多く、相続を見越した行動が求められる。本記事では、法律事務所に寄せられた相続事例を紹介する。

すんなりと相続分を譲ってくれて解決かと思いきや…

<相談内容>

 

生前、農業を営んでいた父が死去しました。父は農地を所有しており、そちらも遺産に含まれています。

 

我が家は5人兄弟で、長男である私は、父の農業を手伝っていました。ありがたいことに、3人の弟たちは、私が農地を相続すべきだと言ってくれたため、3人の弟たちには代償金の支払いを行い、農地の相続分を譲渡してもらいました。

 

ここまでは、兄弟間で遺産分割の話し合いは上手くいっていたのですが、忙しくて時間が取れないと言って、家族会議の場になかなか現れなかった末弟が登場してから、状況が一転してしまいました。

 

ようやく現れた末弟に、今までの流れを説明し、代償金を支払うので、農地における末弟の相続分を私に譲渡してくれないか、と打診をしました。

 

3人の弟たちがすんなりと同意してくれていたので、私は末弟も賛成してくれるものだ、とばかり思い込んでいました。

 

しかし、そうはうまくいかず、末弟は絶対に農地を譲らないと主張してきたのです。思いもしなかった末弟の言葉に、私は何も言えなくなってしまい、その場はお開きとなりました。

 

その後、落ち着いて考えると、私も末弟が同意してくれるものだとばかり思っており、事情説明が不十分で、末弟は自分に不利な条件を突きつけられていると誤解してしまったのだろうと反省しました。

 

そのため、何度か話し合いの場を持ち、私なりに懸命に説明をしたつもりではありますが、末弟は「農地は譲らない」の一点張りです。

 

それ以上、相続の手続きが進まなくなってしまい、同意の上、相続分を譲渡してくれた弟たちにも申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 

末弟を説得するには、どうすればいいのでしょうか。

 

末弟はなぜ農地を譲らないのか?
末弟はなぜ農地を譲らないのか?

「高額な代償金でないと合意しない」と主張

<結果>

 

農地をお持ちの被相続人が亡くなり、兄弟間で相続がまとまらないケースでした。


ご兄弟の大半は、農業をしているご相談者が農地を相続することに賛成で、すでに代償金の支払いも終えて相続分の譲渡をしてくれていましたが、一部の兄弟が反対していたため、それ以上手続きが進まないという事案です。

 

すでに、当事者間で相当交渉が進行していたので、依頼を受けてすぐに、遺産分割調停を申し立てました。


こちらの提案は、農地を依頼者が取得する代わりに代償金を支払うというもので、代償金の算定も合理的でしたが、相手方は、当該農地について、行政による開発計画があるとして、相当高額の代償金でないと合意しないと主張してきました。

 

行政による開発計画については、当事務所の弁護士も役所に確認し、そのような開発計画がないことを調停で伝え、相手方も、代償金については、合理的な金額まで譲歩しました。


その結果、依頼者においても譲歩することになり、少々高額の代償金を支払うことで調停が成立しました。

 

遺産分割は、感情的なしこりがある場合もあれば、財産評価で争いがある場合もあります。


本件では、調停手続で話し合うことで感情的なしこりを取り除き、財産評価についても、合理的な金額で納得してもらうことが出来ました。


このように、遺産分割の場合には、調停の方が早く進む可能性がありますので、交渉とするか調停にするかの見切りを上手くつけることが必要だと考えております。

 

グリーンリーフ法律事務所 弁護士

昭和55年 早稲田大学法学部卒
昭和59年 弁護士登録
著書に「決定版原状回復 その考え方とトラブル対処法」(にじゅういち出版)、「誰にもわかる借地借家の手引」(新日本法規出版、共著)など。論文に「相続税の負担減少を目的とした養子縁組の効力とその対応策」(月刊税理)、「相続が発生した場合の預貯金の取扱い」(月刊不動産フォーラム21)など。

著者紹介

連載トラブル事例から法律問題の最新事情まで!法律事務所こぼれ話&耳より情報

本連載は、「弁護士法人グリーンリーフ法律事務所」掲載の記事を転載・再編集したものです。

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