経済産業省の取り組みにより注目が集まる「健康経営」。健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することと定義され、「国民の健康寿命の延伸」を目的として、企業の取り組みが期待されている。本記事では、ボディスタイルプロデューサー・社員自走型健康経営アドバイザーである田中素美氏が、仕事の効率にも影響を与える「食事」の取り方について解説する。

健康でいたいはずなのに…なぜ、医療費42兆円超え?

◆もう古い!医療費を使うという考えから脱却しよう!

 

医療費が42兆円を超えている⽇本は、病気にお⾦をせっせと費やしている国なのです。医療機関と製薬会社が密接な関係であることは周知のことでしょう。しかも、製薬会社の株主は海外投資家が⼤きく占めています。⽇本⼈が病気になればなるほど、彼らが潤うのです。それを抜きに考えても、歳を重ねても医療に頼らず、自⼒で健康でいることが、⼀番幸せで浪費を防ぐ状態であることはいうまでもありません。

 

国はいま、厚⽣労働省主体で医療費抑制への施策をいろいろ打ち出していますが、効果的なものは出てきていません。2025年には、医療費が54兆円を超えるとの恐ろしい予想もあります。⼈⽣は「⽣⽼病死」ですから、誰しも最後は病気になって死にます。その「病気という期間を最大限に縮めること」こそが、あなたの⽬指すべき「健康で幸せな⼈⽣」ではないでしょうか。

 

◆病気になりたい⼈はいない!

 

100⼈に「病気になりたいですか?」と質問したら、全員が「NO!」と答えるでしょう。あなた自⾝にも問いかけてみてください。しかし、⾵邪くらいは「仕⽅ない」と思っていませんか? これは、⾵邪のウイルスに「負けている」あなたがいる、ということなのです。

 

⼀番残念な⼈は「お⾦持ちで不健康な⼈」です。病気にではなく、健康にお⾦を使うほうが気持ちがよいはずです。簡単なことですが、できていない⼈が多いのが現実です。企業にとっても医療費削減や⽣産性向上に繋がりますので、社員が健康になる健康経営への建設的な投資をしていきましょう。

「体の資産価値」に気づいていますか?

◆体のシステムの凄さは「供給と回収」にある

 

800万年におよぶ⼈類の歴史のなかで、様々な難題を乗り越え、命をつないできた先祖たちがいます。当然、様々な病気やウイルスとも戦ってきました。そしてそれを受け継いだ「強いあなた」がいるのです。

 

健康のテーマは「循環のよい体を⼿に⼊れること」です。⾎液やリンパ液の流れの良い体です。⾎液は体内のインフラです。指の先まで、⽔分、栄養素、酵素、ホルモンなどを送り込み、戻ってくるときに古い細胞や細菌やウイルスの死骸や⼆酸化炭素などの⽼廃物を回収してくれます。

 

この「供給と回収」がうまくできていない状態を想像してみてください。交通渋滞している道路のようなものです。どこかで⽕事が起こっても、消防⾞や救急⾞が現場にたどり着けません。戦う戦⼠の⽩⾎球たちが、現場に⾏きたくてもなかなか辿り着きませんから、病気にもなってしまいます。

「⾷事」とは「⼈をよくする」基本

◆循環のよい体を作る「⾷事」のファーストステップ

 

⽣活習慣は、10個にカテゴライズしていくとわかりやすいです。⾷事、運動、睡眠、⼊浴、姿勢、呼吸、⾐服と居住空間、モチベーション管理、ストレス管理、タイムマネージメント。健康はその10個のバランスの上に成り⽴っています。どれか1つだけ頑張っても結果は出ません。

 

10個のなかでも、⾷事・運動・睡眠が3⼤習慣と呼ばれるものです。その1つである「⾷事」を考えてみましょう。⼀⽇3回ということは年間で1000回以上のチャンスがあるのが⾷事です。つまり、ちょっとした改善でも、継続すれば⼤きな効果があらわれるということでもあります。

 

ぜひ3回⾷事をとってください。間隔があくと、途中でエネルギー切れを引き起こすこともあります。そして、⼈類の過去の記憶から「飢餓」を思い出し、体に⾮常⽤の備蓄(特にエネルギー源となる栄養素の過剰備蓄)をするスイッチを押してしまいます。

 

量は個⼈差があるので加減していただければ結構です。しかし、満腹にはしないこと。満腹は胃が疲れるだけでなく、消化という仕事量が増えることで胃腸などに⾎液が集中してしまい、確実に脳は休⽌状態になります。⾷べ過ぎのランチ後に、まったくといってよいほど仕事にならないのはこのためです。腹8分⽬とは⼈類の経験則なのです。

 

食べ過ぎたランチ後は仕事にならない…
食べ過ぎたランチ後は仕事にならない…

 

◆2つの⼤きなポイント「偏らせない!」「中毒を自覚する!」

 

「⾷事」で気をつけたいポイントは、主に2つあります。1つは「偏らせないこと」。バランスの悪い⾷事であれば、バランスの悪い体になります。私たちは、⼀⽇に約50種類の栄養素という「体の部品」が必要なのです。菜⾷主義、⾁⾷主義、炭⽔化物主義など、偏っていてよいことは1つもありません。体は物体であり、なまものです。「You are what you eat」体は⾷べたものでできているのです。

 

2つめは「中毒を自覚すること」。地球が私たちにくれているものだけを⾷べていた時代はよかったのです。しかし、この100年150年ほどで⾷事はある意味崩壊してきました。加⼯⾷品や調味料の添加物が横⾏しているからです。脳科学に基づいたマーケティングに乗せられ、欲求を促され、私たちは加⼯⾷品や調味料を警戒することなく、⾷べてきていることも⼤きな悪影響を及ぼしています。これにより、⽢いもの、⽶⼩⻨など炭⽔化物、⾁、揚げ物、お酒などに、中毒的な状態を起こしています。

 

ポイントは、それに気づくことです。脳に刷り込まれている状態をわかった上で、減らしていく必要があります。悪い薬物と同じで急にやめようとすると禁断症状が起こるので、好きという気持ちを傷つけず徐々に減らし慣らしていき、正常な量にしていくのです。悪い薬物と違って、⾷べ物に関しては、最終的にゼロにする必要はありません。

 

「⾷事」とは「体の材料仕⼊れ」。自然で体によい材料をバランスよく仕⼊れていきましょう。

企業オーナーの資産は会社ではなく社員です

◆「なぜそれをすると体が変わるのか」の重要性

 

不動産や株や為替や⾦など様々な分散投資先がありますが、これらはすべてお⾦ベースの資産です。それ以外にも資産はあります。そう、「あなた自⾝」です。今も昔もこの資産からすべてはスタートしています。

 

なぜ今、企業が健康経営に取り組む必要があるのか。なぜ「社員自走型」がよいのか。あなたはどう思いますか? 企業は、リーダーや社員⼀⼈⼀⼈の集合体です。その集合体が、⽣産性を上げ収益を上げるのです。

 

周りを⾒渡してください。偏ったネガティブ思考の⼈は、企業のブレーキや障害になってはいないでしょうか。実はそういう⼈は、体が不健康なケースがほとんどです。メンタルトレーニングの前に、自分自⾝の体への自覚やマネージメントを覚えるほうが、実は簡単で建設的な⽅法なのです。

 

⽣活習慣を改善し健康になるには、誰でも1年はかかります。だからこそ、モチベーションである「なぜそれをすると体が変わるのか」を理解せずに継続することはできません。

 

腑に落ちる社員自走型にする価値は⼤きいのです。これから取り組もうとしている企業は、ぜひ最初から社員自走型を選んで欲しいと思います。「やらされる」から「やる」への変換で、企業と社員の相思相愛を⽬指しましょう。企業オーナーの資産は、会社ではなく社員なのですから。

 

 

田中素美

ボディスタイルプロデューサー/社員自走型健康経営アドバイザー/ジェロントロジスト/Origin&Beauty代表

 

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