経済産業省の取り組みにより注目が集まる「健康経営」。健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することと定義され、「国民の健康寿命の延伸」を目的として、企業の取り組みが期待されている。本記事では、ボディスタイルプロデューサー・社員自走型健康経営アドバイザーである田中素美氏が、仕事のパフォーマンスに影響を与える「10個の生活習慣」について解説する。

あなたは「体」という会社の社長です

◆誰でもできる! 健康資産のコントロール

 

あなたは「体」という会社の社⻑です。この会社の特徴は、社員たち(内臓)がとても優秀で、⾃分がやるべきことをこなす能⼒がすでに備わっているということです。つまり、社員教育のいらない素晴らしい会社なのです。この会社の社⻑であるあなたの仕事は⼀つしかありません。優秀な社員たちが「喜んで働ける環境」を提供するだけです。

 

しかし、ブラック企業がとても多い! 例えば、夜遅くに⾷事をして寝たとしましょう。あなたの「体」の社員たちはこう⽂句をいっています。

 

「社⻑ばかり寝て、私たちは残業じゃない!」

「しかも、仕⼊れを頼んだのに、また同じもの取り寄せるから在庫が余ってるし!」

「寝る時間もないし、働く環境が悪すぎるからストライキでも起こす?」

 

社⻑の唯⼀の仕事「社員が喜んで働ける環境作り」は、⽣活習慣と⽣活環境の改善のことです。これは後天的であるからこそ、誰でもできる健康資産のコントロールなのです。

 

◆本能だけでは太⼑打ちできない現代社会でのサバイバル

 

⼈間は動物ですから本能があります。800万年前に、チンパンジーから猿⼈として⼈間の歴史がスタートしたことは研究により発表されています。

 

⾃然災害、弱⾁強⾷や飢餓などを乗り越え、ありとあらゆる進化を遂げてきていますから、私達⼈間は相当強い本能を持っています。脳を発達させたことで、知恵を技術に変え、便利な世の中を形成してきました。

 

しかしここに来て、問題が山積みになっています。便利さと引き換えに「運動」という項⽬が増えたのです。

 

⽣活⾃体が運動だった時代から、あえて運動しなければならない時代になりました。そして、ITの発達により脳だけでなく体のストレスが増⼤し、複雑な⼈間関係で⼼のストレスも増え続けています。

 

しかし、今さら野⽣のジャングルには戻れませんよね? この現代社会のジャングルで⽣き抜くためには、本能だけでなく、体の健康をしっかりと⼿に⼊れて⼼も強くすることは最重要課題です。楽しみながら、現代のストレスに耐え抜く⼒強い⼈間になっていきましょう。

 

現代のストレスに耐え抜く⼒強い⼈間に
現代のストレスに耐え抜く⼒強い⼈間に

仕事のパフォーマンスは80%「⽣活習慣」で決まる!

◆遺伝⼦は変えられない! ⽣活習慣こそ変えられる!

 

たくさんの先祖たちが地球上でサバイバルしてくれたからこそ、今のあなたがいます。その数、20歳で次の世代を産み出したとしても、2の40万乗にもなります。あなたはその膨⼤な遺伝⼦情報を持っているのです。

 

現在、欧⽶はもちろん⽇本でも、遺伝⼦の研究はすばらしい進歩を遂げています。DNAの内容が解析されても、それをたやすく変えることはできません。

 

ところが、⾯⽩いことに、DNAのスイッチが何千とあり、そのスイッチを押せたら健康になるということがわかっています。そのスイッチを押す⾏為が、⾷事や運動を含む「⽣活習慣」なのです。

 

よく例として取り上げられる実験研究で、⼀卵性双⽣児のその後の⽼い⽅の⽐較があります。DNAレベルではほぼ同じである⼀卵性双⽣児ですが、後天的である「⽣活習慣」の違いで、⾒た⽬も健康レベルもまったく違うことになるという研究結果です。

 

特に、喫煙に関しての結果には驚愕します。体に影響を与えている割合は、遺伝⼦が2割、⽣活習慣が8割ということも発表されています。つまり、変えられない遺伝⼦に⽬を向けるより、8割もの影響を及ぼしている「⽣活習慣」の改善にこそ⽬を向け、⾏動していけばいいのです。

 

◆10個の⽣活習慣のバランスは取れていますか?

 

さて、⽣活習慣とは何でしょうか? 筆者は19年間の個別ボディプロデュースの経験から、⽣活習慣を10個にカテゴライズしています。この10個の⽣活習慣のバランスを⾝に付ける過程で体を健康に変えることができ、⾝に付けた⽣活習慣によりその後を維持していくことが半⾃動操縦になります。

 

①⾷事

②運動

③睡眠

④⼊浴

⑤姿勢

⑥呼吸

⑦服装や居住空間

⑧モチベーション管理

⑨ストレス管理

⑩タイムマネジメント

 

さて、あなたはすべてうまくいっていますか? もしうまくいっていれば、体も肌も健康で美しいはずです。結果が出ていない場合は、10個のバランスが取れていないということです。どれか⼀つだけ頑張ってもダメなのです。

 

◆体のシステムがわかると腑に落ちる! これが重要なモチベーション

 

体を変えようと何かを始めても、続かないというケースをよく⽿にします。それは継続する⼒がないというより、モチベーションのかけ⽅が上⼿ではないということです。では、どうやってモチベーションを上げたらいいのでしょうか?

 

とても簡単なことです。⼤⼈になると、⼦供のように「何も考えずにやる」ということができなくなってきます。今までの経験が邪魔をしてくるのです。

 

これを逆⼿に取りましょう。⼤⼈は腑に落ちないことはやりません。「⽣活習慣」を変える際に、「体のシステム」を合わせることで納得しやすく、腑に落ちるのでやり始めます。

 

「なるほど」は重要なのです。仕事は⼈間の体と⼼で⾏っています。仕事のパフォーマンスを上げて収益を上げるには、社員⼀⼈⼀⼈が健康を⾝に付けることが不可⽋です。健康経営の投資価値は、世界中でさらに上がっていくことでしょう。

大企業こそ悩んでいる!「やっている」だけの健康経営

◆ゆっくりだが大きく返ってくる社員の健康への投資リターン

 

2014年から、健康経営への取り組みが日本でやっと始まりました。その取り組みとは、経済産業省と東京証券取引所が共同で「健康経営銘柄」を選定し、健康経営に積極的に取り組んでいる企業を「健康経営優良法人」とする認定制度です。

 

しかし、健康経営の優良銘柄に選定されている⼤企業の、健康経営への具体的な取り組み内容を⾒ると、残念ながら「⿂を与える」だけになっています。⼤企業にありがちな、「やっているだけ」「取り組んでいるだけ」という状況なのです。これでは、時間や資⾦を投⼊していても、肝⼼な社員の健康にはつながりません。つまり、有効な投資にはなっていないということです。

 

⼤企業もそれに気づいていますが、どうしたらよいか⽷⼝が⾒つからず悩んでいるのが現状です。コンサル業の知⼈から⼤企業の悩みを聞くとまさにこの通りで、「表向き健康経営には取り組んでいるけれど、結局、⽣活習慣は改善できず健康にはなれていない」というものでした。

 

⼤企業こそ今模索中なのです。あなたが中小企業のオーナーであれば、このタイミングを逃してはいけません。社員の健康は経営資産。今こそ、社員⾃⾛型健康経営を開始するチャンスです。

 

「One for All, All for One」 ラグビーW杯ではないですが、お互いの幸せのために、健康という結果を⼿に⼊れ、試合で戦える社員を増やすことは、もう待ったなしではないでしょうか。

 

 

田中素美

ボディスタイルプロデューサー/社員自走型健康経営アドバイザー/ジェロントロジスト/Origin&Beauty代表

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