経済産業省の取り組みにより注目が集まる「健康経営」。健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することと定義され、「国民の健康寿命の延伸」を目的として、企業の取り組みが期待されている。ボディスタイルプロデューサー・社員自走型健康経営アドバイザーである田中素美氏が解説する。

健康経営で強みを作るカギ「ジェロントロジー」

◆ジェロントロジーを知らなければ人生も損をする!

 

人生100年時代といわれて久しいですが、あなたの人生は何歳が目標ですか?

 

この質問にすぐに答えられるかどうかは、あなたの人生だけでなく、家族や会社にも影響していきます。売上目標は立てられるのに、⼤事なあなたの人生の目標を数字で表せないならば、本末転倒ということです。

 

もしすぐに答えられた方は、それに対して今何を努⼒していますか?

 

生活習慣が体に対して8割の影響⼒がある以上、2割のDNAの影響に頼ることはできません。「先天的」因⼦のDNAは変えることはできません。それに対して「後天的」因⼦の生活習慣は、あなたが変えることができます。

 

これが、医療や健康⾷品にまっさきに頼ってはいけない理由です。

 

ジェロントロジーは、そこに⼤きなヒントを⾒出す学問です。社会学、心理学、生物学、遺伝学、医学、人⼝統計学、経済学などの科学と連動していて、100年の人生をどう生きるか、社会への貢献としてどう仕事をしていくのか、「あなたの未来」への明るい羅針盤になっています。

 

◆ジェロントロジーと社員自走型健康経営

 

Gerontology(ジェロントロジー)は、1880年にフランスの医師イリヤ・メチニコフが提唱しました。その後、第2次⼤戦後にアメリカで先程述べたように体系化され、すでに南カリフォルニア⼤学で⼤きな学問として研究が進んでいます。

 

⽇本では、2012年から⼭野学苑がその窓⼝を担っています。私は仕事柄、復習も兼ねて2016年にGerontologyコースを修了しました。その内容は、机上の理論ではなくまさに現実とリンクしていました。

 

アメリカでは当たり前になっていますが、⽇本での健康経営のムーブメントにはなくてはならない知識と知恵だと思います。私が提唱する社員自走型の健康経営の⼟台は、このジェロントロジーと私の19年の経験値に基づいています。

 

◆20代・30代・40代の社員育成は難しくない

 

社員育成に関しては、⼤企業のみならず、中⼩企業も取り組んでいることでしょう。その現状は、社会人としての⾏動やマナー、目標やモチベーション、そして、仕事に関する技術や知識などだと思います。次世代リーダー候補の社員に対しては、さらに能動的に考え、成果を上げる技術やリーダーとしての人格形成に⼒をいれていることでしょう。

 

そこに、体のセルフマネージメントを加えてみてはいかがでしょうか?

 

多くの企業でまだ取り⼊れていないのが現状ですが、実はこれを取り⼊れるとポジティブな体と心がすんなり⼿に⼊るのです。当然、能⼒は120%発揮できます。なぜ100%ではないかというと、人は進化します。

 

つまり、今持っている能⼒以上の能⼒が発揮できます。この状態を引き出す際に、健康な心⾝が不可⽋なのです。

 

持っている能力の30%も発揮できていない例
持っている能力の30%も発揮できていない例

 

◆QOLの向上が仕事への活⼒

 

あなたのQuality of Life(生活の質)が向上したら、仕事への活⼒も増し能⼒も発揮できるのです。精神論だけでは、人間は健康にも幸せにもなれません。

 

頑張るということは、精神だけでは決して続かないからです。「そんなことは知っている」という人もいるでしょうが、知っているのとやっているではベクトルは真逆だということを肝に銘じないと、企業の発展は絵に描いた餅レベルになってしまうでしょう。

 

「いかにすぐれた才能があっても、健康を損なってしまっては十分な仕事もできず、その才能もいかされないまま終わってしまいます」<松下幸之助>

「20歳から始まるエイジング」を逆⼿に取る企業戦略

◆⼤企業の経営者すら悩んでいる自分自⾝の健康管理

 

健康経営への取り組みは、待ったなしの状況です。2014年から経済産業省主体にいろいろな施策が⾏われてきています。

 

それは、経営者にとっても⼤きな取り組みです。松下幸之助⽒は自らこれを理解し、病弱であったにも関わらず94歳で亡くなるまで現役でした。

 

「社員の健康への投資」は、企業の悩みを解決し、企業の信頼も増すことができる取り組みです。生産性の向上と人材確保が企業の問題としてありますが、この2つとも解決していける道です。経営者も社員も、企業の財産と認識しないと企業の未来はありません。どうか正しい投資を選んでほしいと思います。

 

◆「社員の健康への投資」が1年で生み出す最⾼のリターン

 

人間の体は60兆個の細胞でできています。そのすべての細胞が「約1年」かけて生まれ変わります。そして、地球は24時間かけて1周する自転をしていますが、同時に、太陽の周りを「1年」かけて公転しています。

 

つまり、この投資は少なくとも「1年」はかかるという自然のルールの上にあります。だからこそ、健康経営に早く取り組んでください。そして、毎年取り組むことで健康な社員がどんどん増えていき、その素晴らしい能⼒を発揮し続けるという状況を作り出すことができます。

 

もうおわかりですね。この投資は、ゆっくりですが⼤きなリターンを生み続けるシステムを、あなたの企業に根付かせるという取り組みなのです。

 

◆なぜ生活習慣が⾝につかないのか?

 

生活習慣は10個にカテゴライズして考えるとわかりやすくなります。それは、⾷事、運動、睡眠、⼊浴、呼吸、姿勢、服装と居住空間、ストレス管理、モチベーション管理、タイムマネージメントです。

 

しかし、「やれない理由」と「やらない理由」を考え出すのが⼤人はとても上⼿です。では、これを「やる」「やってみよう」に変えるヒントを少し公開しましょう。それは、「なるほど」と腑に落とすことです。これしか方法はないと⾔っても過⾔ではありません。それくらい、⼤人はずる賢いのです。「なるほどそうなのか」となると動き出すのが⼤人なのです。方法に体のシステムを合わせて知ることが重要なポイントです。

 

◆社員自走型健康経営は「勝ち続ける企業」への突破⼝!

 

なぜ「社員自走型」がよいのか、ご理解いただけたでしょうか。魚を与えるタイプの取り組みではなく、社員⼀人ひとりに体のマネージメントの教育をしながら、一人ひとりが自らの体のマネージメントを通して仕事のマネージメントをできるようにすること。魚の釣り方を伝えることにこそ、2020年「勝ち続ける企業」のための社員自走型健康経営があるのです。

 

 

田中素美

ボディスタイルプロデューサー/社員自走型健康経営アドバイザー/ジェロントロジスト/Origin&Beauty代表

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