コロナにより「健康経営」の重要度が増している
◆在宅ワークや外出⾃粛で、健康対策がより重要になっている
4⽉7⽇、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象に「緊急事態宣⾔」が出されました。他国のロックダウン(都市封鎖)とは性質の違うもののようですが、向こう1ヵ月は、さらに限られた空間、場所で暮らさなければなりません。
4⽉2⽇時点のデータとして、新型コロナウイルスの対策として⾃宅待機を求められている⼈の数が39億⼈を超えていると、フランスの通信社が伝えています。これは世界の人口の約半数にもなります。
外出するときに、空間の密閉や密度にこれほど気をつけなければならないとは、新型コロナの問題以前は、誰も考えませんでした。東京近県では地上を走る鉄道も、地下鉄も、風通しをよくするために、⾞両の窓の半分は交互に開けられています。
3月から、多くの企業が在宅勤務を推奨するようになっています。⽣活必需品や⾷品の買い出し、医療機関への外出以外は、なるべく外に出ることを⾃粛するよう、政府や地方自治体から要請されています。
多くの⼈は限られた空間の中で、移動もままならない環境にあり、ストレスがどんどん溜まっているのではないでしょうか。
ISS(国際宇宙ステーション)で204⽇過ごした宇宙⾶⾏⼠のニック・ヘイグ⽒が、こういった状況をを乗り切るためのコツを紹介していました。⾁体的にも精神的にも厳しい経験からのアドバイスとは、「毎⽇のルーティンを決め、それを守り管理すること」、「⾃分を元気にすることを持つこと」だそうです。
毎⽇のルーティンにしている⽣活習慣を、すでにお持ちの⽅もいらっしゃるでしょう。ポイントは「⾃分で決めたルールを守り管理する」という点です。
◆勤務時間のウヤムヤがストレスにつながっている
⽶国系グローバル企業に勤める友⼈は、1カ⽉以上も前から在宅勤務になっています。会社の⽅針で、このままゴールデンウィークまで続く予定とのことです。
海外との電話会議がもともと多かったのですが、時差のために、この在宅ワークによって勤務時間と残業の境⽬がなくなっていると嘆いていました。レポートなどの仕事も増えていて、この環境は相当なストレスになっているようです。
これは外資系だけでなく、⽇本の企業にお勤めの方でも、少なからず似たような状況ではないでしょうか。
「あなたの健康をあなた⾃⾝で維持すること」が、⼀層重要になっています。
◆肝は「ストレス管理」と「モチベーション管理」
⽣活習慣を⾷事、運動、睡眠、⼊浴、呼吸、姿勢、服装と居住空間、ストレス管理、モチベーション管理、タイムマネジメントと10種類のカテゴリーに分け、その全体的なバランスを取ることが、健康と美しさの維持につながります。健康系アプリを利⽤するのもよいですが、基本的なバランスのとり⽅を知らないままでは、効果は薄くなるでしょう。
この10種類に分けた⽣活習慣は相互にネットワークを構築しているため、運動だけがんばっても、⾷事だけでも、うまくいきません。結果が出にくくなります。
三⼤習慣とは、⾷事、運動、睡眠ですが、⼟台で⽀えている3つの習慣は、ストレス管理、モチベーション管理、タイムマネジメントです。特に、ストレス管理とモチベーション管理をうまくできている⼈は、物事を運ぶのが上⼿です。
ストレスを理解して上手に発散し、それをモチベーションに変えていく、そして、ストレスに強い体質になっていくことが重要です。企業であれば、仕事ができる社員であるはずです。
言い換えれば、⿂を与えるばかりではなく「⿂の釣り⽅を⾝に付ける」教育をすることで、⾃分で健康マネジメントができるようになるのです。そのような社員を増やすことこそ、勝ち続ける企業に必要な、強固な⼟台作りと言えます。
アフターコロナに向けて企業が考えるべき「健康経営」
◆⾃律神経というアンテナを正常に保つことが重要
それでは、どのようにストレスを処理していけばよいのでしょうか。実際のところ、上手に処理するのは難しいと思います。
⼈によっては、⾷に⾛る⽅もいらしゃるでしょう。特に、⾷料を買い溜めしている今のような状況では、家で時間に関係なく、なんでも⾷べてしまうという「中毒」になっている⽅もいると思います。
だからこそ、先ほどのルーティンの1つとして、「⾷事の時間を決めておく」とか、「野菜2:タンパク質1のバランスを守る」、「夜の炭⽔化物は控える」、「お菓⼦に⼿を出さないように、そもそも買わない」といったことを決めておくべきです。
あなたの⾃律神経というアンテナを正常に保つためのホリスティックな⽅法は、10種類の⽣活習慣について、バランスを取ることなのです。
◆「家でできる有酸素運動」で体と⼼のストレス発散
ストレスをいちばん発散できるのは「運動」です。体のストレスと⼼のストレスの両⽅を解決してくれる素晴らしい習慣です。
毎朝のラジオ体操やストレッチをやられている方は、そのまま続けましょう。体の縮みを開放し、循環を良くしてくれます。
問題は、週に2~3回の有酸素運動をどうするかです。⾃宅待機や外出⾃粛を要請されている状況では、ジムに通っていた⼈はもちろん、屋外で週3回の朝のランニングをしていた私のようなランナーには、相当のストレスが溜まっています。
そこで、「家でできる簡単な有酸素運動」をご紹介しましょう。それは「エア縄跳び」
です。皆さんも⼦どもの頃に、⼆重跳びやクロス跳びを練習したと思いますが、そのような難しい技も「エア」ですから、軽くできてしまいます。
「エア」をオススメする理由は、縄の必要がないという点です。縄を持っているかのごとく縄跳びをするので、家の中でもベランダでも、近くに⼈がいても安全にできます。
そして、10分ランニングと10分縄跳びでは、消費カロリーが同じということです。内臓の上下運動もでき、⼼肺機能だけでなくインナーマッスルも鍛えられます。
ただ、ランニングより縄跳びのほうがきつく感じると思いますので、週3回で30分や1時間は難しいでしょう。縄跳びの場合は、毎⽇10分でよいと思います。⾳楽に合わせると続けやすく、1曲3~4分ですから、何曲やろうかなと⽬標も⽴てやすくオススメです。
両⾜同時に跳ぶ⽅法や、ボクシング選⼿のように⾜踏みするようにする⽅法もあります。ぜひ、取り⼊れてみてください。
◆アフターコロナに向けて今がまさに、⾏動を起こすとき
現在、飲⾷店やジム、カラオケ店など、⼈が集まる場所を提供したり、店舗を展開している企業は、相当厳しい事業環境を余儀なくされています。1⽇も早く新型コロナを終息させるために、終わりの見えない休業や、営業縮小を強いられています。
歴史を振り返ると、パンデミック後に⽂化的、社会的変⾰が来ることを私たちは知っています。14世紀のペスト、1918~1919年のスペイン⾵邪のときもそうでした。
新型コロナウイルスは、いま⽣きているすべての⼈間にとって、脅威です。しかし、「必ず夜明けは来る」のです。
アフターコロナを⾒据えて、経営者は今まで以上に「社員の健康は経営資産」ということを再認識すべきです。「社員⾃⾛型」という、社員⼀⼈ひとりが⾃分で健康管理をできるように教育する「健康経営」が重要です。今がまさに、⾏動を起こすときです。
これを機に、社員の働き⽅が出社せずに、在宅ワークやリモートワークになっていく企業は増えるかもしれません。しかし、社員がどこにいようとも、会社のメンバーです。ともに企業の社会的理念や理想を追求し、⽣産性を上げ、収益を上げていくことを目的とする⼤切な仲間なのです。
「健康経営」は、社員の健康という経営資産への「投資」です。アフターコロナに、⾶躍する企業になる要因となります。
あなたはこの1ヵ月をどう準備しますか、⾏動しますか?
田中素美
ボディスタイルプロデューサー/社員自走型健康経営アドバイザー/ジェロントロジスト/Origin&Beauty代表