アメリカ不動産の「キャピタルゲイン」
不動産投資において、重要なのは、売却計画をあらかじめ想定しておくことです。売却時、物件の市場価格がいくらになり、キャピタルゲインがどれくらい得られるのか、正確なところは誰にも分かりません。できるのは、過去の実績を見て、それがこれからもだいたい同じように続いた場合にはこうなるという推測です。
アメリカの代表的な不動産価格指標であるS&Pケースシラー全米住宅価格指数によると、2000年を100とした全米の住宅価格は2017年には199.7と、ほぼ2倍に上昇しています。これは年平均の上昇率に換算すると4%強となります。
今後、アメリカ経済に大きなマイナスを及ぼすような突発的な事態(戦争など)が生じなければ、多少の差はあっても、おおむね同じように推移するのではないかと考えるのが、合理的な推測でしょう。仮に毎年4%ずつ不動産相場が上がるとすれば、6年後には26.5%、7年後には31.6% の上昇となります。
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しかし、先ほど見たように同期間(2000~2017年)のアメリカのインフレ率は約2.2%です。それを基準で考えると、不動産価格の上昇率はやや高すぎたと考えることもできます。そこで、保守的に見てインフレ率と同程度、2.2%の上昇率が続くとしましょう。すると6年後には約14%、7年後には約16.5%の値上がりとなります。
いずれにしても、それらはあくまで不動産価格指標値の上昇予測です。指標がそれだけ上がっても、自分の保有する物件の市場価格が、それとぴったり正比例することはまれです。保有物件の上昇率が指標よりも高い場合もあるでしょうし、逆の場合もあるでしょう。
私たちは、日本水準の丁寧な物件管理を行うので、物件の価値が指標値より下に乖離する蓋然性は低いはずです。しかし、私たちにコントロールできない周辺環境の変化(学区のランクが下がるなど)が、保有物件の価格上昇率に悪影響を与えることが、絶対にないとは言い切れません。
さらに、不動産価格の市況は一直線に上がり続けることはなく、必ず上げ下げの波があります。なにかの要因により、一時的に市況が冷え込むということも考えられます。そのため、たとえば出口を6年後と想定していたとしても、そのときの市況が悪ければ、そこから2~3年保有し続けるという判断が必要になるかもしれません。
そうしたときに、保有を続けてもインカムゲインが着実に得られるということが非常に重要になります。インカムゲインとキャピタルゲインは、車の両輪なのです。なお、保有物件の現在の市場価格イメージ(あくまで見積)については、ZillowやRedfinでチェックすればいつでも分かります。
メイン商品に据えるべきは「売れやすい」物件
出口戦略を考える場合には、価格の変化とともに、売りやすさも重要なポイントとなります。いくら物件の評価額が高くなっても、実際に買い手がつかなければ絵に描いた餅だからです。
私たちが、取り扱っている物件のほとんどをシングルファミリーハウス、つまり一戸建てにしているのは、まさにそれが大きな理由なのです。修繕や管理の手間の面では、一戸建てよりも集合住宅の方が格段に効率的です。
しかし、アメリカでは、ニューヨーク中心部などの例外的なエリアを除いて、コンドミニアム(分譲マンション)の購入需要は、そう強くはありません。賃貸需要はありますが、実需の売り先が限られるのです。そのため、お客様の出口戦略のためには、コンドミニアムではなく、一戸建てをメイン商品に据えるべきだと考えたのです。
想定される売り先としては、まず現地で自宅を探しているアメリカ人がいます。それに加えて、投資用物件を探している日本人投資家もいます。オープンハウスはその両方を対象としたネットワークを築いているため、どちらか一方にしか対応できない仲介業者よりは、マッチングによる売り先のご紹介はしやすいと考えています。
高山 吏司
株式会社オープンハウス ウェルス・マネジメント事業部 部長代理