管理規約で民泊が承諾されている建物は少ないが…
今回から、物件のパターン別に戦略を考えていきます。
民泊施設には色々なタイプがあります。1室、戸建て、1棟、自宅、二世帯住宅型、ゲストハウス型。どんなタイプで始めたいか、あなたの好みで選びましょう。
♦マンションの1室—手軽に始められる
比較的多いのは、マンションの1室を賃貸して民泊にするケースです。借りるだけなので低資金から気軽に始められます。
ポイントは、マンションの管理規約で民泊が禁止されていない物件であることです。禁止されているマンションでは開業することができません。民泊で使うためには、管理規約での承諾と大家さんの承諾の両方が必要です。そのため、分譲マンションではなく、1棟オーナーの賃貸用マンションを借りてやるなどが現実的でしょう。
「分譲マンション」とは、一棟のマンションを一戸ごとに分割して販売しているマンションのことで、部屋ごとに所有者が違います。一般的に投資用で購入するのではなく、自分たち家族が住むためにマイホームとして購入することが多く、「管理規約」という快適なマンションライフを維持するための規約が定められています。
ちなみに日本全国のマンションで、管理規約で民泊が承諾されている建物は全体の内3.8%しかありません。96.2%は民泊で使うことができないわけです(SUUMOジャーナル http://suumo.jp/journal/2018/07/30/157961/)。
対して、1棟オーナーの賃貸用マンションは、小ぶりのアパートやマンションを、個人の大家さんが不動産投資家として所有し、その大家さんが全権なので管理規約がないことが多いです。この場合、大家さんの許可だけがあればいいのでラクです。
部屋のタイプはワンルームから5LDKなど様々ですが、部屋は広い方が民泊にした場合に収益性が高くなり、集客するのもラクです。狭いワンルームはビジネスホテルと被るため競合の層が厚く、知名度や信用力の高いチェーン系ホテルも多く(アパホテル、東横インなど)、勝ち残っていくのが至難の技だからです。
外国人は「和室や押入れ」に日本の伝統を感じる⁉
◆戸建て—再現性が高く、外国人に人気
これが一番、再現性が高いと思います。マンションのように管理規約がなく、独立して建っているため、自分の裁量で管理しやすいです。マンションと比べて物件に広さがある傾向にあり、集客にも強いです。
また、戸建ては海外の人から見ると日本の伝統を感じられるようで人気があります。現代の日本人からは住居として不人気な和室や押入れなども、外国人にとっては旅行の記念になります。海外でもドラえもんなどのアニメは人気があり、「ジャパニーズハウス」に対する知名度は高いようです。
あなたが戸建て大家で、和室の賃貸付けに苦労している場合は、この機会に民泊に切り替えるのも良い手なのではないでしょうか。新規で投資用に戸建てを購入か、賃貸して用意するのもいいでしょう。1棟マンションに比べて戸建ては建物自体が小さいため、消防設備工事などのイニシャルコストも安く済み、再現性が最も高い手法となります。
注意点として、戸建てと言っても昔の古いままの状態ではクレームが出やすいので、リノベーションしてきれいにする必要はあるでしょう。外壁はそのままでいいですが、内装はきれいにしてください。自分でDIYをするのもありです。休日にご夫婦で楽しみながら作り上げているという方もいます。
♦1棟—団体も受け入れでき、コスト面でもスケールメリットがある
1室だけ運営していれば、受け入れ可能な収容人数は限られ、大人数には対応できないですが、たくさん客室があれば、少人数のゲストも、団体のゲストも、どんな問い合わせでも受け入れられます。
「大は小を兼ねる」という言葉の通りです。2人組ゲストであれば1室だけ予約してもらい、15人なら5室ほど予約してもらう。対応できる幅が増え、小さな施設にはできないことが可能となってきます。
管理もしやすいでしょう。同じ建物にあるので、何かあった際にも対応がしやすいです清掃業者に清掃を委託する場合など、同じ場所にたくさんの部屋があるので業者としても業務効率が上がり、スケールメリットでディスカウントの交渉ができる可能性があります。
1棟を運営する手法として購入とサブリースがありますが、どちらにもメリット、デメリットがあります。