これまで「ホテル」と「旅館」は別々だったが…
ホテルオーナーと聞くと、なんかすごそうなイメージが湧きますよね。大富豪的な…。
宿泊施設がホテルなのか、旅館なのか、簡易宿所なのか、民泊なのか。前述の通りそれらは法律上の要件に沿って申請した上での、許認可の種別で決められます。しかし、70年の歴史を経て培ってきた法律が、なんと2018年6月に改正されました。今まで四つに分けられていたカテゴリは次の三つに変更されました。
改正後
・旅館ホテル
・簡易宿所
・下宿
今までは、「ホテル」と「旅館」は別々でしたが、改正後にそれらは統合されて「旅館ホテル」として一本化されました。つまり、これからは「ホテルに泊まる」や「旅館に泊まる」という概念がなくなります。正式には、「旅館ホテルに泊まる」ということになるのです。
そして、ホテル営業最低10室、旅館営業最低5室からであった客室数の要件が撤廃されました。つまり、これからは1室からでもホテルとして開業できることになったのです。
これはすごいことです…。
戸建てでも、3室しかない小さいアパートでも、ホテルとして開業が可能です。さらには、ワンルームマンション(管理規約や条例がOKな場合)でも可能性が見えてきます。加えて、建物構造の「洋室である必要性」、「和室である必要性」といった要件も撤廃されました。「1室あたりの最低床面積」も一律化されました。
あなたも、今すぐ、ホテルオーナーになれるのです。サイドビジネスでホテルオーナー。ちょっとカッコよくないですか?
時流に乗っていて国が後押ししてくれるビジネスは、いい方向へ向かうものです。どんどんやりやすい方向に進んでいきます。国も、あなたが宿泊施設のオーナーになって、たくさんのお客様を笑顔にすることを望んでいるのです。
こちらはまだ始まったばかりの法律運用で、取り組めている人は全国的にはほとんどいない最新の手法となりますので、本記事を見て下さったあなたに、情報としてご提供しますね。
「法律」を活用すれば利回りが上がる⁉
なお、今回の法律改正により、昨年の拙書でおすすめした「簡易宿所」の開業手法よりも、「旅館ホテル」の方がメリットが大きい戦略だと、塗り替えさせて頂きます。
前回お伝えした通り、「簡易宿所」の場合は最低客室数が「1室」から開業可能で、戸建てなども含まれるために一般の方にも取り組みやすく、再現性が高いために大変おすすめの手法でした(関連記事「「ホテルと旅館」明確な違いは? 民泊開業でキーとなる法律3つ」参照)。しかし、2018年6月以降、今後は、1室からでも「簡易宿所」ではなく、「ホテル」として開業できるようになりました。
簡易宿所の場合は、相部屋(同じ部屋を多様人が利用する)であることを前提とした施設であり、トイレや手洗いの数など、人数ごとに設備がたくさん必要です。たった3人しか収容できない部屋にも、ニつ以上のトイレや手洗いの設置が必要であると決まっています。
ホテルの場合は1グループに部屋を丸々貸すわけで、相部屋である必要がないため、1室につきトイレや手洗いが一つで大丈夫なので、それらを増設するための工事費が節約できるというコスト上のメリットもあります。
さらに大きなメリットは、そもそも、今まで、現実的には狭い物件は簡易宿所にすることができませんでした。狭い部屋の中に、たくさんのトイレや脱衣所などの諸々のスペースを作らなければいけないとなれば、それだけで物件の面積を食い切るからです。
物件の延べ床面積のうちほとんどがトイレや脱衣所で、泊まるスペースよりそれらの面積が大きく、寝るための場所はほとんどない…となれば、普通に考えて宿泊施設として営業するのが難しいです。そのため、戸建てでもオフィスビルのフロアでも、広い物件でしか成し得ませんでした。
もちろん、収益化できるのはトイレではなく泊まるためのスペースなわけです。ホテルであれば相部屋の要件がないので、小さな物件でも開業しやすくなったことは大きなメリットです。
イニシャルの工事費などが下がり、さらに収益化できる部分の面積が広くとれる。つまりは利回りが上がる。利回りを上げるためには、小手先のテクニックに目を眩ませるのではなく、全ての根底にある「法律」を制することが重要です。