全国民泊同業組合連合会 理事・大神麗子氏の著書、『民泊2.0~事業と投資のハザマだからオイシイ』(みらいパブリッシング)から一部を抜粋し、民泊運営のポイントについて見ていきます。

訪日外国人旅行者の約7人に1人が民泊を利用している

観光客の場合は個人旅行者が約9割で、同行者は家族・親戚、友人がそれぞれ約4割と言われています。(観光経済新聞調べ)このような人々のことを「FIT(ForeignIndependentTourの頭文字の略)」と呼びます。旅行会社の団体旅行やパッケージツアーを利用することなく、個人で海外旅行に行く人々のことです。

 

昔は、海外旅行ならパッケージツアーや団体旅行で行くことが多かったのですが、海外旅行の経験者が増えるに従い旅行目的も多様化し、不特定多数を対象としたパッケージツアーなどではなく、自分の目的に合わせた旅行をしたいという要望が高まり、世界的にFITが増えました。

 

観光・レジャー目的の訪日外国人旅行者の約7人に1人が、日本滞在中に少なくとも1泊、民泊を利用しているようです。観光庁の訪日外国人消費動向調査の2017年7~9月期分から、宿泊先に関する質問に民泊の選択肢が設けられたことで明らかになりました(観光経済新聞調べ)。

 

民泊を1泊以上利用した観光客の、日本での合計の滞在日数は平均7.6泊で、まったく利用しなかった観光客の5.9泊に比べて長かったのです(観光経済新聞調べ)。つまり、民泊はロングステイのゲストに好まれているということになります。

日本滞在中の外国人ゲストのスケジュールとは

物件に用事があって立ち寄ってみたところ、ゲストは外出中で、壁に紙(メモ用紙)が貼ってありましたので少し紹介しましょう。

 

 

 

「うーん、すごい忙しい……笑」

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7/2 築地・銀座

7/3 ハローキティワールド(ピューローランド?)

7/4 六本木

7/5 来客と遊ぶ日

7/6 ディズニーランド

7/7 渋谷・原宿

7/8 箱根に1泊

7/9箱根から帰ってくる

7/10 saman博物館?

7/11 科学博物館

7/12 京都へ

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この方は2週間近く滞在するので、スケジュールのタイトさはまだマシな方です。もっと強靭な方の場合は、

 

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東京着

一日銀座などで買い物

翌日朝6時発の新幹線で京都へ

数時間ぶらっと観光

そののち夕方の新幹線で京都から東京に帰って来る

夜は渋谷でディナー

深夜から六本木で朝まで遊ぶ

翌日は富士山へ

夜 富士山から帰る

その夜は新宿で遊ぶ

翌日は早朝から築地の市場へ

昼から浅草に

夕方 原宿

夜 お台場

翌日から横浜

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こんな方もいます。「すごすぎるでしょ」って毎回思いますが…。

 

日本人も海外に行けば同じような感じかもしれません。やっぱりせっかく来たからには色々と見たいですよね。日本を楽しんでくれて、素敵な旅行になれば嬉しいなと思います。

トラブルに備えて「保険に加入する」のが有効

「民泊って、トラブルないの?」

 

これ、よく聞かれます。

 

確率としては低いですが、あるにはあります。2人のはずが11人だったという話をしましたが、まあ、いろんな方が来ますので…。

 

壁のクロスを汚されたり、ポケットwifiの画面を割られたり、エアコンのリモコンを無くされたり、部屋の鍵を無くされたり、壊れたスーツケースなどを捨てて帰られたり……などなど。それでも、そんなに大したことは起こっていません。すぐに対応できるレベルのことばかりです。

 

物品を壊された時に備えて対策できることとしては、保険に加入しておくことです。何かあった際には心強いですので加入をおすすめします。

 

またこちらの責任によるトラブルもあります。

 

新規物件のオープン時、ライフライン(電気・ガス・水道)の契約を忘れてしまい、ゲストはお風呂に入れず、迷惑をかけてしまったことがありました。給湯器が壊れるというトラブルもありました。そのような場合は、近隣の銭湯を案内したりして対処しています。

「ベッド」によって客層をコントロールする方法とは

宿泊客数アップのための施策として重要なのが、ゲストが快適に過ごすためのベッド等の寝具回りの工夫です。

 

・枕

枕には人それぞれ、高さや硬さの好みがあります。枕が合わないとゆっくり眠れず、疲れが取れないと、全体的なお客様満足度が下がることにもつながります。「枕が合わないから替えてくれ」と要望が来ることもあります。

 

そのため、高級ホテルなどでは、大きい枕、低い枕、高い枕、柔らかい枕、硬い枕と、部屋に枕が何種類も置いてあったりします。効率的な対策としては、やや柔らかくて低めの枕を、1人あたり二つずつセットしておくことです。低いと思う人は二つ重ねて応用が利きます。

 

・安いベッドを使う場合の工夫

シモンズのような高価なブランドベッドを使用すれば、もちろんゲストからも評判がよく大満足してもらえるのでしょうが、コスト的に難しいという方もいるでしょう。

 

私も、イケアなどで購入した普通のベッドを使っています。実際に、あまり寝心地は良くありません。格安のベッドを使う際の工夫として、ベッドマットの上にさらに敷布団を重ねるようにしています。ベッドマットと敷布団を二つまとめて上からシーツで整えます。すると、ゲストから「ベッドがふわふわだった」とレビューによく書いてもらえます。低コストで高い満足度をゲットできるのでおすすめの方法です。

 

・タオル

厚手のものや薄手のものと様々あります。メリット・デメリットとしては、厚手の方が見た目は高級そうに見えますが(実際としてその通りのことも多い)、薄手の方が洗濯や乾燥がラクで、コインランドリーに大量に入り、すぐに乾きます。厚いと3枚くらいでランドリー内がいっぱいになるので複数台使用することになり、コストがかさみます。洗濯の作業自体は業者がしてくれますが、コインランドリー代などの経費はオーナーが支払うため、コストアップにつながることもあります。

 

大きさについても同じく、大判の方が高価に感じますが、小さい方が洗濯のランニングコストがかからないです。そもそも小さいものの方が安く売っています。結果、中肉中背な感じがいいですね(笑)

 

・リネンの色

白色だと汚れが目立ってすぐダメになるので、色の濃いものを買った方がいいと思うかもしれませんが、そうとも言えないのです。確かに、白は消耗が早いですが、黒や紺といった濃い色は毛玉や小さなホコリが目立ちやすいです。リネンの色は薄すぎず、濃すぎずがいいでしょう。

 

・寝具(ベッドターゲッティング)

シングルベッド、セミダブルベッド、ダブルベッド、クイーンベッド、2段ベッド、布団、ソファベッド、一言に寝具と言っても様々です。

 

スペースに余裕があるなら、大きなベッドであればあるほどもちろんゆったり寝られてゲストも嬉しいと思います。しかし、部屋が狭ければそうもいきません。自分が「どういったターゲット層を狙いたいか」をもとに逆算するのがいいと思います。これをベッドターゲティングと呼んでいます。ベッドによって客層をコントロールするのです。

 

ビジネス客:シングルベッド

男性同士が多いため、ダブルベッドでは寝られない。最近はビジネスユースの二、三人で民泊部屋を予約する方も多いです。

 

カップル:ダブルベッド

一緒に寝たい。シングルベッド二台は嫌がられます。

 

若者グループ:二段ベッド

仲間のグループでみんな友達同士。ダブルベッドで二人で寝るよりも、それぞれ別々で寝たい。宿泊費を安く抑えたいので、グレードの高いベッドでなくても構わない。

 

富裕層:クイーンベッド

ベッドも高い値段のものになりますが、部屋自体も高グレードである必要があります。それなりの部屋でないと富裕層は選ばないです。

 

このように、ベッドによってターゲティングして、狙ったお客様層に選んでもらいやすくするのが効率的です。

ゲストの喫煙率は日本人が想像するより高い⁉

次に、「集客が少しだけラクになる」部屋の宿泊条件の例を紹介します。

 

・集客がちょっとラクになる部屋①:ペットOK

ゲストの中にはペットを連れてきたい方がいて、その一方で受け入れてくれる施設は少ないため、結構な高単価でも予約が埋まります。需要に対して供給が下回っているのです。しかし、壁を引っかかれたり、布団を汚されたり、マットが毛だらけになったりと、室内のものがすぐダメになるので、コストもかさみます。賃貸でやる場合は、大家さんの許可をとらずに受け入れるのは絶対にやめましょう。

 

・集客がちょっとラクになる部屋②:喫煙OK

禁煙の施設が比較的多いため、これも人気があります。民泊の部屋もほとんど禁煙です。需要に対して供給が大きく下回っています。

 

ホテルの場合、部屋が禁煙でもロビーなどに喫煙スペースがありますが、民泊の場合はそのような共有スペースがないため、困っているゲストも多くいます。複数人での予約で、予約した本人が非喫煙者で禁煙ルームを選んだとしても、他のメンバーが喫煙者だったということは多いです。

 

日本も昔は、喫煙率が80%といった時代がありました。現在は先進国として、喫煙者を減らそうという方向に向かっています。しかし、海外から来るインバウンドは同じ状況ではありません。周辺諸国は経済発展をしている真っ只中であり、喫煙率は私たち日本人が想像するより高いものなのです。

 

・集客がちょっとラクになる部屋③:パーティOK

宿泊部屋で、女子会、お泊まり会、サークル旅行などをしたいグループもいます。受け入れてくれる施設が少ないため人気です。「宅飲みをしたいが、自宅に招くのは面倒くさいし、民泊部屋でやろう」というようなニーズもあります。

 

これをする場合は防音対策をして、近隣に迷惑をかけないように気を付けください。やはりパーティなどはうるさくなりがちです。

 

さて、民泊の集客といえばAirbnbが有名ですが、実は他にもたくさんの集客サイトが存在します。たくさんのサイトに掲載すれば、そのぶん集客のチャンスが広がります。これをマルチチャネル戦略と言います。

 

大体のサイトは無料で掲載できますので、とりあえず予約が入ればラッキーというくらいの気持ちで、片っ端から色んなサイトに載せまくるのも手です。

 

大神麗子氏

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