賃貸アパート3棟を購入したサラリーマン…想定外の費用とは?

アメリカ不動産投資の魅力というと、「キャッシュフロー」を最大化できる点があげられるでしょう。そのためには、国内不動産投資と同様に、物件の価値を見極める「目利き」が必要となります。そこで重要となるのが、物件を正しく目利きする「アメリカ人の目」を持つことです。本記事では、書籍『日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話』より一部を抜粋し、日本の不動産投資の実情を見ていきます。

融資姿勢が厳しくなってから、買い手不足のアパート

筆者は、個人で日本の賃貸アパートを3棟購入し、その後、アメリカ不動産を1棟購入し、自分の身をもって両方への投資を経験しました。その経験からの個人的な感想が、「日本での不動産投資にはあまり魅力がない」ということです。

 

まず、新築不動産は買った瞬間から中古になってしまい、そうなるといきなり平均2割ほど価格が下落すると言われています。新築から中古になると価格が下がること自体は仕方がないかもしれません。

 

しかし、中古物件価格が、(都心の一部地域などのわずかな例外を除いて)その後上がることが(めったに)ないという事実は、価格が上がり続けているアメリカ不動産を知ってしまった今では、非常にむなしい感じがします。価格が下がっていくか、良くて横ばいのものをひたすら持ち続けるしかないのです。

 

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もちろん、入居者がいれば家賃収入は得られて、キャッシュフローは回ります。しかし、余裕を持った自己資金を入れていない場合、残債の大きさを考えると、得られた収入を自由に使ったり、他の投資に回したりすることは怖くてなかなかできません。

 

特に、金融機関の融資姿勢が厳しくなった2018年からは、アパートは買い手が不足しているため、筆者が持っているのと同じような築浅中古物件の価格が下落するのではないかと危惧しています。

 

もちろん今は売るに売れませんし、おそらく物件価格の下がり方のほうが残債の減り方より大きいため、いくらキャッシュフローは回っていても、使うことができないのです。最悪、将来の残債割れにあてるために取っておかなければなりません。常にそうやって心配を抱えているのは、非常にストレスを感じることです。

 

もちろん、2018年からは、特に銀行の融資姿勢が厳しくなっている時期だという事情もあります。長期的に見れば金融情勢には波がありますから、将来は融資姿勢が積極化し、そこから物件需要が喚起されて不動産市況が良くなる時期もくるでしょう。

 

ただ、いつそうなるかは誰にも分かりません。いつか市況が良くなることを信じて、いまは「後始末をどうつけるか」ということを考えているのが、私の日本における不動産投資の状況です。せっかく投資をしているのに、下がり続ける物件の価格と残債割れを気にして、後ろ向きというか、後始末をつけることばかり考えなければならない日本の不動産投資は、やはり夢がないと言わざるを得ません。

空室が長期化することへの恐怖から「広告料」を支払う

それでも、きちんと入居者がいて安定的に賃料が入り、キャッシュフローが回っている物件なら、まだ良いほうです。この点でも、日本の不動産投資の状況はオーナーにとって非常に厳しいものがあります。

 

まず、アパート投資で、2年の更新時期ごとに賃料を引き上げるということは、ほぼ不可能です。というより、周辺に新築アパートが増え、中古となった所有物件の競争力が相対的に落ちる中では、むしろ賃料を引き下げなければならないことのほうが普通でしょう。

 

オーナーとしては「せめて現状維持で」と思っても、周辺の同じような築年の物件が賃料引き下げをすれば、競争上、自分の物件も引き下げざるを得ません。オーナーとしては、多少賃料を引き下げてでも、入居し続けてもらうほうが、空室になるよりはずっといいからです。

 

筆者は、空室が長期化することへの恐怖から、客付け(入居者募集)をしてくれる仲介業者に、広告料を支払って募集の促進をしました。自分がアパート投資をする以前から、仲介をしてくれる業者に、仲介手数料が支払われることは、当然知っていました。しかし、「広告料」という費用を支払うことは予測していませんでした。

 

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広告料については、賃貸物件のオーナーになったことのない人には、あまり知られていないと思いますので説明しておきます。

 

不動産の仲介業者が受け取っていい手数料は、貸主と借主とをあわせて最大一カ月分という上限が法律で定められています。原則的には貸主と借主が半月分ずつ支払うことになっていますが、実際には、借主が一カ月分の手数料を支払うことが半ば慣習になっています。その場合、オーナーが支払うものはありません。

 

しかし、空室をなくしたいと思うオーナーが仲介業者に広告料を支払い通常の広告以上の広告を行うことで、客付のインセンティブとせざるを得ないことがあります。また、仲介業者からも「広告料」という名目でオーナーに広告の必要性を訴えかけるケースも見かけます。

 

実際にはこれを支払ったからといって思い通りの客付けができるわけではありません。通常の募集活動上、オーナーは特別な広告をする必要はありません。しかし、競合物件が多いエリアで、際だった特徴がない物件の場合、やはり客付けは仲介業者に頼らざるをえないのが実情です。

 

もし支払わなければ、仲介業者が客付けに力を入れてくれず、いつまでも空室のままになるかもしれません。そこでオーナーは仲介業者に言われるままに広告料を支払うしかないのです。広告料が賃料1カ月分ならまだ良い方で、最近では賃料二~三カ月分の広告料がかかるケースも増えています。

 

仮に、入居者の退去後、次の入居者が決まるまで、二~三カ月の空室になるとしましょう。これは日本の中古アパートでは普通の数字です。すると、二~三カ月分の賃料が入らないことに加えて、賃料二~三カ月分の「広告料」を支払わなければなりません。

 

つまり、キャッシュフローとしては四~六カ月間分の賃料が入らないのと同程度のインパクトがあるのです。当然、実質利回りは大きく下がります。仮に、2年の更新期ごとに入居者が入れ替わり、三カ月の空室、三カ月の広告料支払いがあるとすれば、単純計算で満室想定から25%分のインパクトがあります。

 

日本の投資用不動産の販売では、「表面利回り」という数字が大きく打ち出されて、投資家もそれを見て判断するケースが多いのですが、表面利回りでは、こういった費用部分のインパクトは、まったく分かりません。

 

 

高山 吏司
株式会社オープンハウス ウェルス・マネジメント事業部 部長代理
 

株式会社オープンハウス ウェルス・マネジメント事業部 部長代理

東京大学卒業後、財閥系商社入社。
国内にて分譲マンション、オフィスビル、不動産証券化等関連業務、米国駐在中には、主に各州での住宅開発事業に従事。
その後2017年にオープンハウスに入社し、ウェルス・マネジメント事業部の立ち上げに参画、現在に至る。
自身でも、日米双方の不動産投資を実践中。
公認不動産コンサルティングマスター、CCIM(米国認定不動産投資顧問)。

著者紹介

連載日本人が絶対に知らない「アメリカ不動産投資」の話

本連載は、2019年3月13日刊行の書籍『日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話』から抜粋したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話

日本人が絶対に知らない アメリカ不動産投資の話

高山 吏司
ブロドスキ・ザクリ
豊岡 昂平

幻冬舎メディアコンサルティング

2年間で約700棟の物件を仲介する今もっとも注目の最強集団が 本邦初公開の知識を惜しげもなく明かす! アメリカ不動産投資の知名度は、以前と比べれば上がっているとは言え、やはり「投資目的で、海外の不動産を購入する」…

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