前回は、事業資金を調達する方法として株式の発行と銀行融資の違いなどを説明しました。今回は、債券投資の仕組みについて見ていきます。

債券は返済期限と金利を決めた「借金の借用証書」

会社にとっての借金は、細かく分けると2種類あります。それが直接金融と間接金融です。直接金融とは、個人や法人の投資家から会社が直接借金をすることで、間接金融とは、銀行などの金融機関から借金することです。金融機関が貸してくれるお金は、元をたどれば個人や法人の預金なので、間接的に個人や法人から借金していることになります。

 

逆から見ると、私たち個人投資家も会社に対して直接、資金を貸し付けることができるのです。それが債券投資です。

 

債券とは、借用証書です。返済期限と金利とを決めて借金をする、その借用証書が債券です。会社が発行した債券を社債と呼びます。ちなみに、国が発行した債券は国債、地方自治体などが発行した債券を公債と呼びます。いずれも発行元が破綻や倒産しない限り、元本と金利が保証されているので、比較的、安全な投資方法だといえます。

個人投資家による社債への投資はハードルが高い!?

破綻するかどうかのリスクでいえば、一般的に国債、公債、社債の順番で安全度が高いようにも思えますが、ギリシャやアルゼンチンのように破綻のリスクが高い国もありますし、日本でも夕張市のように破綻してしまった地方自治体があるので、国債や公債といえども安全・安心とはいいきれません。アフリカなどにある発展途上国、紛争国の国債よりも、グローバルな大企業の社債はずっと安全といえるでしょう。

 

ただし、会社の数は国や自治体の数よりもずっと多いので、社債の安全度はピンキリです。株式市場に上場もしていないような小さな会社は、直接金融で資金を調達しようとしても難しい(社債を発行しても誰も買ってくれない)ので、間接金融に頼るしかないでしょう。

 

裏を返せば、銀行が資金を融資してくれるのであれば、わざわざ社債を発行する必要は会社にはないかもしれません。もし企業が社債を発行してまで資金を調達しようとしているのであれば、それは銀行で借りるよりも低い金利で資金を調達しようとしているか、あるいはもし高い金利がついているのであれば銀行が貸してくれないようなリスクの高い新規事業に手を出そうとしているかのどちらかである可能性が高いと思います。

 

ここまでの説明からも分かるように、個人投資家が社債に投資するのはなかなかハードルが高いです。なぜならば、社債はいつでも発行されているわけではありませんし、条件のよい社債が発行されたときにはプロやセミプロの投資家があっというまに買っていってしまうからです。それは株式も同じことです。新規に発行された値上がりの可能性が高い株式はあっというまに売り切れてしまいますし、そもそも非上場の会社の株式(未公開株)は市場に出てこないので、仲間内だけでしか取引されません。

 

そのため、一般の個人投資家は、すでに発行された上場会社の株式について、株式市場で売買を希望している株主がいる場合に限り、売買をすることができることになっています。といっても、たいていの会社の株については、常に売り注文や買い注文が出ていますから、市場が開いている時間であれば、いつでも売買できます。

本連載は、2014年7月29日刊行の書籍『インフレ時代の投資入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

インフレ時代の投資入門

インフレ時代の投資入門

杉浦 和也・前野 達志

幻冬舎メディアコンサルティング

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