日本円とスイスフランの共通点
円とスイスフランは市場がリスク高のときに買われる二大通貨であり、金利が低くなりがちである。
ロイターの報道によると、UBSは200万スイスフラン以上の預金口座を「マイナス金利」にすることに対し、次のように続けた。
「UBSは幅広い投資商品を持っているので、顧客には別の解決策を提案できる。スイスフランで高額を持ち続けたい顧客には、UBSグループまたは他の金融機関への魅力的なフィデューシャリー預金を提案する」
つまり、預金を「他の投資商品に移行させたい」という考えであるわけだ。
同じく政策金利では「マイナス金利」が続く日本も、似たような状況である。現状、日本において、銀行預金の金利は限りなくゼロに近いが、それでも預金残高の合計は1000兆円を超える。つい先日話題となった金融庁作の「2000万円レポート」などが出てくる背景には、結局この莫大な預金をどうするか?が、そもそも日本の課題となっていることが大きい。
スイスUBSを皮切りに「預金に対してマイナス金利をかける」ということがタブーでなくなってくると、日本にも「その方法を使っていいなら……」と続きたい銀行は多いはずだ。融資で稼げなくなり、投資信託などを推していくしかない金融機関の思惑とも合致しており、突然ということは考えにくいが、いずれ日本の預金がマイナス金利になったとしても決して不思議ではない。
銀行預金が「マイナス金利」になったらどうするか?
もし、日本でも銀行預金が「マイナス金利」になったら、どうすればいいのか? 残念ながら、そのときには、他の資産に振り替えていかねばならない。
銀行預金も「元本割れ」するリスクのある投資商品の一つとして捉えて、自分の資産のポートフォリオをしっかりと見直すきっかけにはなるだろうが、そのときに初めて「投資」について学ぼうとしても、それは遅すぎる。
金融機関に勧められるがまま、手数料の高い、不利な投資信託などで資産を目減りさせながら、学んでいくしかなくなる。「手痛い勉強料だった」と思えるならばまだいいが、それとは気づかせないように、長期的に少しずつ資産を奪っていくような金融商品もあるのだ。
ただでさえ初心者なのに、マイナス金利の実施が決まり「急いでなんとかしよう」と焦っている心理状況で、冷静な判断ができるとはとても思えない。そのときになって慌てないためにも、いまのうちから知識だけでもしっかりと身につけておこう。