令和2年度11月に国税庁によって公開された「令和元事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」より、富裕層の脱税額を紹介します。

申告漏れが深刻に…追徴税額は「1,132億円」

令和元年度に国税庁が行った所得税の調査等において、違法性があるものは26万3,000件。申告漏れ合計所得金額は7,885億円で、追徴税額は1,132億円にものぼりました。

 

国税庁は、令和元年度において、富裕層に実地調査※を実施しました。その数4,463件(前年度5,313件)。

※高額・悪質な不正計算をしていると見込まれるものを詳しく調べること

 

結果、申告漏れ所得金額は1件当たり、1,767万円(前年度1,436万円)。申告漏れ所得にかかる、1件当たりの追徴税額は581万円(前年度383万円)となりました。申告漏れ所得金額は、全体の1,190万円(前年度1,045万円)と比べると1.5倍、追徴税額は全体の222万円(前年度180万円)と比べると2.6倍となっています。

 

国税庁 令和元事務年度 所得税及び消費税調査等の状況より
国税庁 令和元事務年度 所得税及び消費税調査等の状況より

 

申告漏れ所得金額の総額は789億円(前年度763億円)、追徴税額の総額は259億円(前年度203億円)と過去最高値を更新しました。特に、今回の調査で申告漏れが発覚した、「海外投資等を行っている富裕層」の1件当たりの追徴税額は1,571万円(前年度914万円)と、全体の222万円に比べ7.1倍。極めて高額な結果となりました。

富裕層に限らず「海外投資を行う投資家」を見てみると

国税庁は経済のグローバル化に対応するため、海外投資の情報収集に努めています。また、海外投資を行う個人投資家や海外資産を保有している個人などに対して、国外送金等調書、国外財産調書、租税条約等に基づく情報交換制度のほか、CRS情報(共通報告基準に基づく非居住者金融口座情報)などを活用し、積極的に調査を実施することで、申告漏れの資産の発見体制を強化中です。

 

そして、国税庁は令和元年度に、海外投資を行う投資家や資産を持つ個人を対象にして、3,942件(前年度4,375件)実地調査を実施しました。

 

結果、1件当たりの申告漏れ所得金額は、2,406万円(前年度1,941万円)。1件当たりの追徴税額は627万円(前年度375万円)となりました。

 

所得税の実地調査全体の1,190万円と比べ2倍に、追徴税額に関しては全体の222万円と比べ2.8倍となっています。また、申告漏れ所得金額の総額は948億円(前年度849億円)になり、追徴税額の総額は247億円(前年度164億円)に上ることになりました。

 

国税庁 令和元事務年度 所得税及び消費税調査等の状況より
国税庁 令和元事務年度 所得税及び消費税調査等の状況より

 

新型コロナウイルスの影響で調査件数が前年比85%になりましたが、1件当たりの申告漏れ所得金額は増え、総額も前年比103%になりました。そのなかでも、海外投資を行う富裕層の申告漏れについては、件数が前年比110%、総額が前年比125%と、際立った数値を記録しています。さらなる資産の申告漏れ対策の強化が求められます。

 

 

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