台風被害の「責任」は誰にあるのか?
「955hPa(ヘクトパスカル)を舐めてはいけない!」「いつもの台風と同じように考えないほうがいい」……Twitter上では天気予報士の警告ツイートが拡散された。JR東日本は8日の午後には、9日朝の全線運休を決めた。
ジェット機のような轟音だった。東京湾岸では、9日未明より突然風が強まり、明け方から朝にかけて、窓を揺らした。
首都圏を中心に猛威をふるった非常に強い台風15号は、月曜朝の通勤を足止めしただけではなく、街に大きな爪痕を残していった。
今回のように、台風によって物件等に損害が生じたとき、それが「賃貸物件」の場合には、「誰の責任」で、「誰が修繕費を払う」のか? 窓ガラスが割れてしまったケースを例に、解説する。
その窓ガラスは「なぜ」割れたのか?
賃貸物件の修繕に関して、民法には「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」(第606条第1項)とある。賃貸人、すなわち、貸している側の不動産オーナーに義務があるとされる。
割れた窓ガラスを直すのは、もちろん「賃貸物の使用に必要な修繕」であるから、基本的には、貸している側の不動産オーナー、大家さんが窓の修繕費を支払う義務があると考えることができる。
しかし、借主(物件を借りている側)の責に帰すべき事由の場合は、それが故意でも過失でも、借主に損害賠償義務が生じる可能性がある。
台風で窓ガラスが割れてしまったケースを考えてみよう。実際は個々事案によって異なるのが前提だが、もし、ベランダなどに物を置きっ放しにしていて、強風で吹っ飛び、窓を破損したならば……それは借りている側が損害賠償義務を負う可能性が高い。雨戸がついているにも関わらず、それを閉めずにいた結果、窓が割れてしまった場合も同様である。
台風が接近しているにも関わらず、必要な対策を怠った場合においては、借主の過失となることが多いのだ。しかし、もし、その物件に雨戸がついておらず、どこからともなく飛んできた瓦などで破損したならば、それは借主に責があるとは考えにくく、貸主が修繕費を支払う義務を負うのが一般的である。
その窓ガラスは「いつ」割れたのか?
台風で窓ガラスが割れたのであれば、賃借人は、なるべく早く、不動産オーナーや管理会社に連絡することが重要だ。そんな人はあまりいないとは思うが、窓ガラスが割れてだいぶ時間がたってから連絡をすると、「これは、本当に台風で割れたのか?」と疑われる可能性もある。
借主の過失とならなければ、基本的には賃貸物件の修繕費は貸主負担なので、台風で窓が割れた場合には、素早く貸主に連絡をしよう。