「全機運用停止」で広がる混乱
ボーイング737 MAXの2件の墜落事故では、合わせて346人の犠牲者がでた。2機とも離陸後10分以内に墜落しており、乗客乗員全員が死亡した。
該当機は現在「全機運用停止」となっており、航空会社はボーイング社へ補償請求を行なっている。また、引き渡しが延滞となった機体の駐機費用は「1機2,000ドル/月」とブルームバーグが報じ、ネットには機体が“車用”の駐車場にあふれる写真も出回った。
ボーイング737 MAXの運用停止にあたり、製造社であるボーイング社、機体を運航させる航空会社だけではなく、「航空機投資」を行なう投資家たちも影響の拡大が懸念される。
ボーイング737 MAXを発注しているJIAの状況は?
日本の投資家にとっても、ボーイング737 MAXの運用停止は他人事ではない。
航空機投資の手法のひとつである「オペレーティングリース」の取扱いでは日本最大級である株式会社ジャパンインベストメントアドバイザー(以下JIA)は2017年8月17日に「ボーイング737 MAX8」10機の購入契約締結について発表していた。カタログ価格は約1,232億円だという。
JIAは今年3月10日の墜落事故を受け、3月14日に「ボーイング737MAX8 の墜落事故による当社グループの状況に関するお知らせ」をIRニュースで発表。
「当社グループが現時点で展開する航空機オペレーティング・リース事業において、ボーイング737MAX の取扱いはございません」、「既報のとおり、当社グループはボーイング737MAX8 10機を発注し、2021年から2022年にかけて順次納入される予定です」とした。
7月22日には「業績予想の修正に関するお知らせ」を発表したが、修正の理由のなかで、737 MAXについては、
「他にも、直接的な業績には影響を与えていないものの、当社が発注しているボーイング社 B737Max の2度の墜落事故による飛行停止、当社は保有しておりませんが、エアバス社A380 製造終了の発表等は、当社を含む航空業界関係者の時間と労力が削がれることとなりました」と言及している。
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知られざる航空機投資や船投資の世界
一般の人にはあまり馴染みがないかもしれないが、世の中には「航空機」に投資している富裕層や企業オーナーは多くいる。
ボーイング737 MAXに関して、JIAは3月14日時点で「オペレーティング・リース事業において取扱いなし」としていたが、その分(カタログ価格で10機約1,232億円)、投資先が少なくなってしまう可能性もある。
なお、オペレーティングリースは航空機のみならず、船、船舶コンテナなどでも組成されている投資商品であるが、いずれも交通や物流の根幹を担う資産を支える金融システムであり、一般の人も間接的にそのメリットを享受している。例えばLCCはオペレーティングリースなしでは経営は難しいともいわれる。
航空機投資や船投資が人気と聞くと、「世の中にはそんなにお金がある人が多いのか」と驚かれるかもしれないが、資産家にとって資産は運用するものであり、企業オーナーであれば特に、決算という時間軸も意識する必要があるので、大きな額を短期間で投入できる金融商品への需要は、常に一定数存在するのだ。