本連載では、円満相続税理士法人の橘慶太税理士が、専門語ばかりで難解な相続を、図表や動画を用いてわかりやすく解説していきます。今回は、相続税の計算方法について見ていきましょう。

■なぜそんな面倒くさい方法で計算するのか?

なぜ、一度、仮に法定相続分で相続したものとして財産を振り分けるという作業が必要になるのでしょう? 実際に相続した財産に税率をかけていく方がシンプルですよね。しかし、実はこの面倒な作業を行わないと、次のような現象が起きてしまうのです。

 

たとえば、1億円の財産を3分の1(3333万円)ずつ分けたとします。この3333万円に直接、相続税の税率をかけると相続税の合計額は1400万円になります。

 

 [図表10]実際に相続した額に税率をかけたら、、、

[図表10]実際に相続した額に税率をかけたら、、、

 

しかし、1億円の財産を奥さんがすべて相続したとします。この1億円に、直接税率をかけると、相続税は2300万円となってしまいます。相続税の計算自分で3等分した場合の相続税は1400万円ですが、一人がすべて相続する場合には2300万円の相続税となってしまいます。遺産の分け方次第で、相続税が非常に大きく変わってしまうことになります。

 

 [図表11]1億円の財産をすべて奥さん一人が相続したら、、、

[図表11]1億円の財産をすべて奥さん一人が相続したら、、、

 

このようなことを防ぐために、一度、仮に法定相続分で相続したものとして財産を振り分けて、そこに税率をかけて、家族全体での相続税を計算することとしています。これであれば、どのような分け方にしても、家族全体での相続税は変わりません。

 

結局のところ、違う論点があるので、財産の分け方によって相続税は何倍も変わってしまうのですが、また別の機会に話します。

 

■夫婦間の相続は最低でも1億6千万円まで相続税はかかりません

上記のように相続税は計算をしていくのですが、夫婦間の相続(夫が亡くなって妻が相続する場合、妻が亡くなって夫が相続する場合)には、一定額まで相続税を課税しないこととされています。その金額は、最低でも1億6千万円。財産規模の大きい人は1億6千万を円超えても非課税になることもあります。

 

[図表12]夫婦間の相続は最低でも1億6千万円まで相続税はかからない
[図表12]夫婦間の相続は最低でも1億6千万円まで相続税はかからない

 

夫婦の財産は、夫婦で一緒に築き上げた財産です。そのような財産に相続税を課税するのは酷な話なので、非常に大きな非課税の枠が用意されているのです。ちなみに、全財産が1億6千万円以下の人が、全財産を配偶者に相続させた場合、相続税はいくらになると思いますか?

 

正解は、0円です。1円も相続税を払わなくてもいいのです。

 

しかし、この場合、相続税は0円ですが、相続税の申告は必要になります。申告をすれば0円になります。この話をすると、多くの人が次のように考えます。

 

 

 

夫婦間には相続税がかからないので、できるだけ多くの財産を配偶者に相続させて、相続税を少なくしよう!という考え方です。しかし、残念なことに、この相続のさせ方が、結果として最も不利になってしまうケースがあります。それは、一次相続で配偶者が多くの財産を相続し、次にその配偶者が亡くなり二次相続が生じた場合です。一次相続と二次相続とでは、仮に、同じ金額の財産を相続する場合でも、圧倒的に二次相続の時の方が相続税が割高になってしまいます。この話は、次の機会に詳しく話をします。

 

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