本連載では、円満相続税理士法人の橘慶太税理士が、専門語ばかりで難解な相続を、図表や動画を用いてわかりやすく解説していきます。今回は、相続税の計算方法について見ていきましょう。

 

今度は4200万円が基礎控除の金額となります。先ほどの父のときと比べると、基礎控除が600万円少なくなっています。法定相続人の人数が一人減っているので、その分、基礎控除の金額も少なくなってしまうのです。ちなみに、亡くなった人が残した財産を、すべて合わせても基礎控除を超えないご家庭には、相続税は発生しません。この場合には、税務署に申告しなくてOKです。

 

ただ、最近は、基礎控除を超えているかどうかは関係なく、亡くなった日から半年後に、税務署から「相続税についてのお尋ね」という封筒が届くことがあります。これが届くと焦りますよね。「うわ!うちはやっぱり相続税かかるのか。そして税務署からもマークされている!!」と多くの人が不安になります。ですが、実はこの手紙は、亡くなった人の情報をもとに、税務署が何らかの基準に基づいて送っているものなので、必ずしも基礎控除を超えている人にだけ届くものではありません。これから相続税の申告書を提出する人は、このお尋ね書は無視してOKです。一方で、基礎控除以下となるため申告をしない人は、念のため、「財産が基礎控除を下回りますので、相続税の申告はしません」と返信していた方が無難ですね。

 

■財産の評価額はどのように計算するのか?

亡くなった人の財産は、亡くなった日における時価で計算することとされています。現金や預金についてはシンプルです。亡くなった日における残高で計算していくことになります。これは余談ですが、亡くなる直前に預金口座から引き出した現金は、亡くなった瞬間には、手許に現金として残っていたことになります。こういった現金はしっかりと申告しないとダメなのです。税務調査が入った場合には、必ずといっていいほど、亡くなる直前の現金引き出しはチェックされます。ここは気を付けましょう。その他の財産も、基本的には「もし、今、これを売ったらいくらになるのか?」と考えて時価の金額を計算していきます。

 

ただ、不動産については、不動産鑑定士でもない限り、正しい時価を把握することは困難です。そこで国税庁は、誰でも簡単に不動産の評価額を計算できるように、「路線価」というものを公表しています。これを使えば、誰でも簡単に計算できますので、是非、一度試してみてください。

 

 

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