不投資家とエージェントを繋ぐマッチングサービス「Estate Luv」を運営する八木チエ氏が、売れにくいマンションの特徴と、それでも売却する方法について説明します。※本連載では、資産運用や不動産投資の専門家が、投資初心者に向けて不動産投資の基本を分かりやすく解説しています。

売れにくい要素があっても正直に伝えることが大切

保有するマンションが思うようにが売れなかったという経験をもつ不動産オーナーは、珍しくありません。せっかくマンションを売却するのであれば、できる限り短期間で、少しでも高い金額で売りたいもの。そこで今回は、物件の売却で悩んでいる方に、売れにくいマンションの売り方について説明していきます。

 

■売れにくいマンションの8つの特徴

 

まず最初に、売れにくいマンションの特徴を確認していきましょう。

 

(1)雨漏り、水回り設備の故障など修理が必要な物件

 

(2)すぐ入居できないほどボロボロの物件

リフォームなど内装工事が必要な物件は、売れにくい物件といえます。

 

(3)家賃滞納のある物件

 

(4)エレベーターなしの4階以上の物件

築年数が古いマンションの場合、エレベーターがない物件もあるでしょう。エレベーターなしで毎日階段を利用する場合、一般的には4階以上の部屋は売れにくいといわれています。

 

(5)修繕積立金が不足していて、大規模修繕時に一時金が出る物件

物件の修繕積立金や修繕計画などは、管理会社から重要事項説明書を請求すれば調べることができる情報です。なお、自主管理物件の場合は、取得ができないケースもあります。物件の資産価値を担保していくには、定期的に修繕が必要になっており、修繕積立金の積立ができていない物件は、管理会社がきちんと管理していないとされ、売れにくい物件といえます。

 

(6)借地権の物件

借地権の物件は、同じエリアにある所有権の物件より割安ですが、嫌がる買主も多いため、売れにくいマンションともいえます。

 

(7)駐車場が確保できない物件(地方・駅遠限定)

都内であれば車のない方は珍しくなく、駐車場も必須条件にならない場合が多いですが、地方など最寄駅から遠い物件の場合、車が主要な移動手段になるため、駐車場の確保ができない物件は売れにくいです。

 

(8)事故物件

殺人、自殺など事故が起きた物件は事故物件といわれています。事故物件の場合、買主に事前告知をし、重要事項説明書に「告知事項」として記載する必要があります。一般的に事故物件は敬遠されがちです。

 

■売れにくいマンションを売る8つの方法

上記で書いたように、売れにくい物件は不可抗力である場合が多いため、正直対策を立てることは難しいです。たとえば、設備など室内はリフォームなどで直せますが、家賃滞納などは売主では対処できないケースがあります。

 

しかし、方法がないわけではありません。結論からいうと、マンションの売却は「買主」が納得をして金額が折り合えば売れます。筆者は上記の(1)~(8)のマンションを扱ったことがあるので、その売却方法を見ていきましょう。

 

(1)雨漏り、水回り設備の故障など修理が必要な物件

買主が納得すれば売れます。修理費用など買主から交渉されるので、自身で手間ひまかけて対応するより、多少売買価格を安くすることによって売ることができます。

 

(2)すぐ入居できないほどボロボロの物件

こちらも(1)同様で、物件のリフォーム費用分を安くすることによって売ることができます。しかし、そのリフォーム費用をいくらにするかは交渉する必要があります。自身で値引きできるラインを決めておくといいでしょう。

 

(3)家賃滞納のある物件

入居者に退去していただくか、滞納分を精算してもらう必要があります。しかし、その場合の交渉がかなり難航することが予想されます。承知のうえで購入してくれる業者に買ってもらうのがベストです。

 

(4)エレベーターなしの4階以上の物件

エレベーターがないのは不便ですが、若い年代層をターゲットにした売却がいいでしょう。また、エレベーターがない以外は似たようなスペックの物件より、少し価格を安く設定することができれば、売却することができるでしょう。

 

(5)修繕積立金が不足していて、大規模修繕時に一時金が出る物件

修繕積立金は不足しているけど、それを一人で負担するわけではなく、同じマンション内の住民、全員が負担することになるので、出費するであろう金額を安くすることによって、物件を売ることができます。

 

(6)借地権の物件

同じエリアの物件より安く買えるのであれば喜ぶ買主もいるので、そのような買主を見つけることが重要です。特に投資用マンションの場合、借地権の物件だと安く購入でき、相場家賃で家賃収入を得られて高い利回りで運用することもできるので、投資用マンションとしてのニーズは高いといえるでしょう。

 

(7)駐車場が確保できない物件(地方・駅遠限定)

基本売買価格を安くすることで売ることはできます。なお、すでに車の運転をしていない高齢者向けに売却することも一つの選択肢といえるでしょう。

 

(8)事故物件

基本、事故物件は資産価値が低くなるので、最初から価格が安くなるケースがほとんどです。なかには、安く買えるなら気にしない方もいるので、そのような買主を見つけることができれば売れます。

 

とはいえ、一般的には事故物件を嫌がる買主が多いので、事故物件の売却にノウハウがある業者に依頼することが重要です。事故物件を探されている方もいるので、そういう物件の売却を専門的に取り扱っている業者に依頼をされるといいでしょう。

 

「売れにくいマンションを売る8つの方法」の(1)~(8)を読めばわかる通り、基本的には買主が納得をすればどんな物件でも売却は可能です。ただその際に偽ったり、隠したりすると必ずトラブルになるため、どんな小さなリスクやデメリットでもしっかりと伝えることが大切です。

 

■知っておきたい正しいマンション売却の手順

 

効率よく売却するには、その手順が重要です。そこでマンション売却の正しい手順を紹介していきます。

 

(1)売却物件に関連する書類を用意する

売却図面の作成など売却をスムーズにするため、事前に関連書類を用意しましょう。関連書類は、大きく以下が挙げられます。

 

●登記済権利書・登記識別情報

●評価証明・公課証明

●不動産売買契約書

●毎月の管理費・修繕積立金額の分かる書類

●部屋の間取り図

●リフォーム済の場合は、内装工事の明細や写真 など

 

(2)一括査定などを利用して概算価格を知る

具体的な売買価格の設定は、売却の業者と相談して決めることになりますが、その前に売却予定のマンションの概算価格を把握しておきましょう。その場合、無料で依頼できる一括査定サイトがたくさんありますので、活用してみてください。

 

しかし、なかには査定額を高く設定し、物件を集めているだけの業者もあります。金額だけで判断するのではなく、担当者ときちんと話して「どんなお客様に」「どのように」物件を売っていくかを確認をし、イメージを共有するほうがいいでしょう。

 

(3)売却業者を選ぶ

不動産会社でも得意と不得意があり、それによって売却を依頼する業者を選ぶことがポイントです。マンションを売却したい場合は、マンション売却のノウハウが豊富な会社に依頼することで、よりよい条件で売却できます。たとえば、事故物件の場合、事故物件を専門とした業者に売却を依頼するといいでしょう。

 

(4)買主との交渉などを対応する

売却がスタートすると、買主からの価格や引き渡し時期など、交渉がスタートします。誠意を持って対応しましょう。

 

(5)売買契約を締結する

買主と売却条件の合意が取れたら、売買契約を締結して売却手続きを行います。

買取業者に売却するのも一つの選択肢

■買取業者に売却するのも一つの選択肢

売れにくい物件を売却するときは、売買価格を下げないといけなかったり、売却期間が長引いたりと、悩む場面が多いもの。その場合、個人の買主を探すより、買取業者に売却するのも一つの選択肢です。

 

(1)買取業者に売却するメリット

買取業者に売却する最も大きなメリットは、「短期間に売却できる」ことです。また、業者に売却する場合、瑕疵担保責任が免除されるので、売却後に万が一瑕疵が見つかった場合でも、売主は一切責任を負わなくてもよい、というメリットがあります。

 

(2)買取業者に売却するデメリット

一方、デメリットとしては「売買価格が安くなる」可能性があることです。とはいえ、売れにくい物件は元々相場より安くするケースが多いため、手間をかけずに業者に売却することが最もいい選択肢ともいえるでしょう。また、エンドユーザーよりもよい条件で購入してもらえるケースもあります。

 

 まとめ 

売れにくいマンションを効率よく売却するには、売れにくいマンションを扱ったことのある業者に任せるのが得策です。さらに買取業者というプロに買い取ってもらうのも一つの手です。その際は「売買価格が安くてもいい」と踏ん切りをつけることが大切です。

 

本連載は、株式会社エワルエージェントが運営するウェブサイト「Estate Luv(エステートラブ)」の記事を転載・再編集したものです。今回の転載記事はこちら

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