経済成長が続く「カンボジア」は不動産投資でも注目
「海外不動産投資」に興味を持つ投資家が増えていますが、インターネットや書籍では最新の情報が得られず、国内不動産投資に比べて、リスクが高いように感じる方が多いようです。今回は、カンボジアについて熟知している筆者が、海外不動産投資のなかでも、まだ知名度が低く参入している人も少ない「カンボジア」での不動産投資について紹介していきます。
■カンボジアの基本情報と成長性
海外不動産投資で多くのキャピタルゲインを得るには、投資する国の成長余力の大きさがポイントになってきます。そう考えたときに、1人当たりGDPが1,000米ドルを超えたばかりのカンボジアの潜在力に惹かれるのは当然のことです。2009年にリーマンショックで落ち込んだカンボジアの経済成長率は、翌年2010年からコンスタントに優秀な数値を示し、最近では平均7%程度です。
その成長エンジンは内戦から回復しつつあった民間消費でした。なお特記すべきは、同時期の外国資本流入のほとんどが「不動産投資」だったという点です。リーマンショック以前の建築投資により、カンボジアにも一時期不動産の高騰が起こり、それがリーマンショックにより大暴落。その後は、実体経済の需要に基づいた不動産建設が行われています。
■最新のカンボジアの不動産市場
経済成長が続くカンボジアは日本企業や海外企業の進出も活発化し、首都プノンペンの不動産投資市場は盛り上がりを見せています。
(1)カンボジアの不動産市場が成長するカギは?
カンボジアの不動産投資の成長のカギとなるのは、中国人観光客や投資家です。カンボジアを訪れる中国人はますます増えており、彼らがカンボジアの不動産業界の成長を助長しているともいえるでしょう。
また首都のプノンペン及びシアヌークビルは近年高成長を遂げており、今後伸びていくことが期待されています。経済発展を強力に後押しするのは資本投下です。簡単にいえば、多くのお金が注ぎ込まれることで経済成長が起こり、さらに多くのお金が投資されることで経済がさらに成長するという繰り返しが起こっているのです。
カンボジアは現在も決して豊かな国ではありませんが、かつてはそれ以上に貧しい国でした。そんな状況では国内には投資に回す資金的余裕はありませんし、投資対象としての魅力に欠けるので外国からも資金は入ってきません。その結果、この国は貧しいままに取り残されてきました。しかし、今やその環境は一変したのです。
(2)東南アジアのなかでカンボジア不動産の価格競争力が強い理由は?
投資したコンドミニアムを賃貸で運用した際のインカムゲインを仮に計算した場合、利回りは、賃貸料÷物件価格で割り出されるので、賃貸料が高いか物件価格が安ければ、結果として想定利回りは高くなります。
高利回りが狙えるという結果をみれば容易に予想できることですが、実は東南アジアで不動産投資の対象となる代表的な国と比較して、カンボジアの不動産の価格競争力は大変強いものです。その理由も大変簡単な計算式からわかります。それは利回り計算の場合と変わりません。
不動産の価格は、次の4つの要素の総和です。
①労務費
カンボジアはASEANのなかでももっとも安いグループに属します。
②土地代
2005〜2008年のバブル期に倍以上になるという急激な上昇を経験しましたが、しかし、リーマンショックによってカンボジアの不動産価格は半値以下に暴落しました。その後の経済復興に伴って値を戻しつつあるとはいえ、プノンペン中心部の商業地で80%程度、住宅エリアではせいぜい70%程度にしか回復をしていません。さらに、この価格はASEAN各国の首都と比較しても安価なので、相対的な値頃感はさらに高まっています。
③建材と材料費/④利益
他国の不動産と比べて、たとえ建材・材料費、利益が変わらないとしても(実際にはそのどちらもカンボジアの方が安価であると考えられます)、最終的な物件価格は抑えられたものになります。実感値でいえば、現在、アジアで最も不動産価格が高騰しているのはシンガポールで、相場観的には東京をはるかに超える価格です。マレーシアのクアラルンプールでさえ、 東京と同等か安くとも3分の2程度であるのに比べ、カンボジアでは首都の一等地に立つ100m2の最高級コンドミニアムで25万米ドルで(約2,700万円)程度。バーゲン特価のようにさえ思われるほどです。
ちなみに同等の物件を探すとすれば、クアラルンプールで3,500万円、シンガポールや香港なら1億円を超える販売価格がついてしまうでしょう。
米ドル決済ができる安定した投資環境
カンボジア不動産投資の魅力
(1)東南アジアで唯一米ドル建てで所有できる
カンボジアは実質的に米ドルが流通し、米ドル決済ができます。そのため安定した投資がが行える点が、カンボジア不動産投資の最大の魅力です。家賃収入や売却益などを米ドル建てででき、そのまま世界中に持ち出しできるメリットがあります。
一方、カンボジアを除く東南アジアのすべての国の不動産は、自国通貨建ての資産です。「国際決済通貨」ではないので、自国内や周辺諸国以外では価値を持ちません。カンボジアは基軸通貨である「米ドル決済が可能な東南アジア唯一の国」です。世界の基軸通貨である米ドルの流通量は90%以上ともいわれ、通貨の価値が急変する心配は、ほぼなくなりました。投資で得た利益も米ドルで受け取ることができるので、通貨変動に収益を左右されず、安心して利益を上げることが可能です。
(2)非居住者でも口座開設ができる
非居住でも口座開設することができるのも魅力です。
銀行口座の開設を行う場合、東南アジアの他の国では、非居住者では開設ができないよう規制を強めているのが現状です。現在、非居住者であっても銀行口座の開設や定期預金を組むことができますが、最近は厳しくなってきており、不動産購入の契約書や現地企業の雇用証明書などが必要になった銀行もあります。つまり、今後できなくなる可能性が出てきているので、口座開設したいと考えている人は、できるうちに現地の信頼できる会社に聞き、開設する事をお勧めいたします。
カンボジアで口座を開設する場合、現地に直接行く必要がありますが、大手の銀行であれば日本人の担当者がいる場合があるので、安心して手続きができます。定期預金で4%以上の金利がつく銀行もあるので、日本の金利と比較すると大きな差であることから、不動産投資をするときに開設をする人が増えています。
(3)海外送金は無制限
2010年の法改正に伴い、非居住者の外国人でもコンドミニアムを保有することが可能になりました。また、賃貸収入や不動産売却代金をカンボジア国外に送金する際、銀行に届け出をする以外規制が存在しない為、投資で回収した資金を自由、かつスピーディーに海外に持ち出すことが可能です。
■カンボジアで不動産投資を行う際の注意点
投資は購入してからが始まりだといわれます。特に不動産は金融商品と違い、インカムゲインやキャピタルゲインを得るためには実際に活用しなければなりません。日本国内の不動産であれば、土地勘のないエリアの物件を買ったとしても、言葉は通じるし、同じ国のなかにあるから、何かあったらいつでも見に行けます。海外となるとまた違うリスクが出てきます。以下、カンボジアで不動産投資を行う際の注意点について説明します。
(1)仲介会社を選ぶときの注意点
経済成長が著しいカンボジアでは、コンドミニアムの建設も増えており、収益性の高い物件を探すためには、現地の信頼できる企業から最新情報を入手する必要があります。セミナーなどである程度知識を得たあとは、現地に詳しいエージェントや不動産仲介会社の協力が必要不可欠になります。その際は、日本人スタッフが対応できる日系の仲介会社を選ぶと安心でしょう。
不動産仲介会社は、購入者に代わって、開発会社や販売業者と交渉したり、物件契約におけるリスクチェック、住宅ローンの相談などを行ってくれます。カンボジアでは英語も使えますが、細かな内容を精査する場合には現地人同士での会話が必要になります。そのような場合に備えて、信頼できるエージェントを探すことが大切なのです。
(2)視察ツアーの注意点
知らない国の不動産を買うわけなので、現地を視察することをおろそかにしてはいけません。視察ツアーでは物件の良し悪しをチェックすること以上に、物件にかかわる現地の人たちと会うことが大切です。
(3)プレビルドに注意
物件のチェックは視察ツアーの重要な目的であることは間違いありませんが、ただし、その内容は日本で考えられるものとはずいぶん違っているかもしれません。なぜならば、カンボジアで販売する物件の多くが 「プレビルド」であるからです。
プレビルドの場合、不動産物件は建築途中がほとんどで、プノンペンまで出かけても実際に目にできるのは完成模型程度ということもあり得ます。むしろ、物件所在地を確認して立地上のメリットなどの情報を集めたり、街の発展状況を知ることに主眼を置くべきです。
不動産の価値は物件そのもの以上に立地に大きく左右されます。たとえ実物が見られなくても現地で周辺環境を肌で感じることで、日本で渡される厚い紙の資料の何十倍もの情報が得られるのです。
もちろん、良心的な業者であれば、建築途中の工事現場の視察をセッティングし、完成後は見ることのできない骨組みや施工の様子を確認できるようにすることもあったり、同じディベロッパーが手がけた別の完成物件の見学などを手配することもあります。
ただし、リスク管理という点ではそれ以上に不動産物件にかかわる人たちと会うことが重要です。また、プレビルドで物件を購入する場合、工事の進捗に応じて支払いが発生します。プレビルドで物件を購入する際のメリットとして、価格が安く、値上がりの可能性が高い点は魅力ですが、一方で物件の建設が完了しない場合は、頭金や中間金が戻ってこないリスクがあります。
カンボジアの不動産市場は、まだ法律がしっかりと整っていません。経験が少なく小さなディベロッパーの開発案件の場合、資金繰りの悪化などにより工事が中止される可能性が考えられます。そのため、信頼できる大手ディベロッパーや、日系ディベロッパーの開発物件を選ぶことが非常に重要なポイントになります。
海外では、日本国内不動産を購入するときのように誰でもどんな物件でも購入できるというわけではありません。つまり、海外不動産投資では、現地の不動産投資事情について、現地に拠点を置く不動産業者に頼ることが大切なのです。カンボジア不動産投資に興味がある方は、ぜひ信頼のできるエージェントに問合せしてみてください。