今回は、コインランドリーをフランチャイズによって経営するメリットと、利便性の高い店舗作りのノウハウを解説します。手間なし、人材要らず、低リスクで稼ぐことが可能なコインランドリー経営。本連載は、株式会社ジーアイビー代表取締役である鈴木 衛氏の著書『デキル経営者だけが知っている “稼ぐ”コインランドリー経営』より一部を抜粋し、経営者のあらゆる悩みを払拭する「洗濯ビジネス」を紹介します。

出店交渉は、経験・実績のある企業に任せたほうが有利

中小企業が個別に商業施設などと交渉し、敷地内にコインランドリーを建てるのはおそらく難しいだろう。やる気があり、資金が調達でき、ビジネスモデルに優位性があったとしても、出店場所がなければ事業にならない。

 

そこで私が目を向けたのが、フランチャイズの仕組みだった。私たちがフランチャイズの本部となって、出店可能な商業施設を全国規模で探す。商業施設の売上、来場者数などを調べ、商圏の需要調査もする。出店候補となる商業施設との交渉も行う。中小企業が単体で交渉するより、すでに開店実績がある私たちが交渉した方がうまくいく可能性が高い。

 

そこまでやって収益性が見込める優良な出店候補地を絞り込む。その上で、出店希望者を募る。すぐにでも出店できるパッケージ型事業として提供することで、出店者はいきなりスタートラインに立つことができるわけだ。出店を検討している経営者は、やるかやらないか意思決定するだけで良い。

 

 

やると決めた場合、自分で調査してスタートするよりも事業の成功率も高くなるだろう。未知の市場について独自の調査を行い、良さそうな出店場所を選ぶのは難しい。見知らぬ土地に店を出すのはリスクが大きいし、売上予測も立てづらい。しかし、私たちはすでにいくつも出店を手がけている。より正確に市場分析や売上予測ができるため、私たちが選んだ場所に出店する方が成功する可能性が大きくなる。

これまで手がけてきたフランチャイジーのデータを活用

出店場所が決まったら、次は建築工事と機器の設置だ。どんなデザインにするのか、建築会社の選定も重要だ。デザイン料も建築設計費用もかかるし、一番安くてしっかり建ててくれる建築業者を探すのも大変だ。いい加減な建築業者では、せっかく商業施設に出店できるのに、商業施設とのトラブルになりかねないし、まったくコインランドリーを作った経験がない業者では後々トラブルが多発する可能性もある。機器の種類はどのようなものにするのか、初めて作るのだから全くわからないだろう。

 

つぎに開店後の店舗運営はどうだろう。開店後は、広告のデザインや内容はどうすべきで、何が効果的か、備品は何がいるのか、価格設定はどうすべきか。

 

また、営業中の利用者からの問い合わせにどう答えるのか、夜中に電話がかかってくるかもしれない、どうしても現地に行って対応しなければならないこともある、集金はどうする、機械のトラブルの対処法はどうするのか、とやることはかなりたくさんある。

 

とくに本業と異なる市場に参入する場合は、開店後に想定していなかった課題とぶつかるものだ。マシンのトラブルが起きることもあるだろうし、利用者からクレームを受けることもある。

 

どの業種でもクレームはあるだろうが、業界が違えば対応方法も変わる。またこのクレームにしっかり対応することもリピート客を獲得することになる。ノウハウ、経験、マニュアルがない状態でそのような課題を乗り越えていくのは難しい。

 

私たちには、これまで手がけてきた複数の加盟店(フランチャイジー)のデータがある。1店舗での情報と50店舗での情報では、あらゆる情報が50倍になる。その情報を集め運営の効率化に活かしていく。様々な運営上の情報と対策をパッケージ化して提供できる。このような情報は、異業種から新規参入する会社が独自に集めるデータより情報量とスピードが違う。

 

これらを考慮すると、出店はできたとしてもその後の運営が大変である。そこで私たちは、開店準備から日々の運営まで全ての業務を本部で請け負うことにした。

 

オーナーさんは、インターネットでいつでも現状の売上が確認でき、ウェブカメラから店内をいつでも確認できる。集金も本部が行い報告書とともに、売上金をオーナーに振り込む。

 

つまりオーナーは、資金を投資するだけで効率のいい利回りを得るだけというスキームにしたのである。

常駐スタッフあり、遠隔操作で機械トラブルにも対応

現場のトラブルの対処は、迅速であればあるほど良いに決まっている。

 

例えば、私たちの店舗には、お店で利用者が困ったときやトラブルがあった場合、本部に直通で24時間つながる電話機が設置されている。また、各店舗のマシンはインターネット上のシステムで管理し、遠隔操作できるようになっている。

 

このようなフォロー体制を作っておくことで、例えば、お金を入れてマシンが動かなかったときなどに受話器を取るだけで本部に連絡ができ、遠隔操作でほかの機械を無料で動かすとか、投入したお金を返金するなどしてその場で解決ができる。通常のコインランドリーは無人であるため、どこに連絡すればいいのかわからないし、連絡が取れても即時対応は無理だ。利用者が泣き寝入りするようなことになれば、二度と来店してくれないだろう。

 

 

また、これまでのコンサルティングの経験から、どのような店舗であっても、その店のことを自分ごととして考える人がいなければならないと考えている。アルバイトだけで回している飲食店はそれなりの店だし、気持ちの入っていない店はすぐにわかる。

 

私たちの店舗も、他店のように店内清掃や機器のフィルターの掃除などを外注にするかどうかの検討を行ったが、やはり本部の意向を理解した人間が現場に少ない時間でもいなければならないという結論に至った。そこで各店舗に、365日9時から12時までの3時間、パートのスタッフを常駐させることにした。

 

この狙いはまちがいなかった。パートさんたちには、本部から私たちの事業のテーマである「コインランドリーのあるライフスタイルの提案」をすり込んでいるため意識が違う。また、主婦の目線から店舗内のことや利用者のニーズによく気がつく。

 

本部とパートさんはグループのLINEでつながっていて、出勤日ではないパートさんとも情報共有を毎日行っている。パートさんたちには毎月一定の金額のプリペイドカードを配布し、自ら利用者としてコインランドリーを使ってもらいニーズを引き出す。その経験を生かして、お客様にコインランドリーの利用方法をアドバイスする。

 

私たちの店舗には忘れ物ボックスはなく、忘れ物ごとにきれいにたたんでビニール袋でパッケージしてある。ここには書ききれないが、パートさんを常駐させた相乗効果は非常に大きい。

 

[図表1]店舗内の忘れ物コーナー
[写真1]店舗内の忘れ物コーナー

 

 [図表2]ランドリー利用者へのアンケート

[写真2]ランドリー利用者へのアンケート

 

 

 

鈴木 衛

株式会社ジーアイビー代表取締役

 

デキル経営者だけが知っている  "稼ぐ"コインランドリー経営

デキル経営者だけが知っている "稼ぐ"コインランドリー経営

鈴木 衛

幻冬舎メディアコンサルティング

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