「世界的な経済ショック」は不動産投資市場の脅威
■不動産投資市場における最大の脅威
日本の投資家は、「世界的な経済ショックによる影響」を最大の脅威と回答した(35%)。また「予想を上回る急速な金利上昇」と回答した投資家は28%となり、前回調査(2018年1月実施、同25%)を3ポイント上回った。
日銀が2013年に「異次元の金融緩和」を導入して6年が過ぎた。インフレ目標達成の見通しは立っておらず、金利上昇の懸念は低いと考えられる。その一方で、米国、中国を中心に債務は増加傾向にあり、想定外の事象を引き金に金利が急上昇することを市場は懸念しているようだ。
「リスク許容度」はやや低下したが「取得意欲」は旺盛
■リスク許容度と取得意欲
日本の投資家のリスク許容度はやや低下している。リスク許容度が「相当高まる」または「高まる」と回答した投資家は9%で、前回より3ポイント低下した。
一方、取得意欲は依然として旺盛だ。2019年の取得額が「昨年より増加」または「昨年と同じ」と回答した投資家の割合は91%で、低下幅はわずか1ポイントだった。特に「昨年より増加する」と回答した投資家は31%で、前回より2ポイント増加した。さらに、米中貿易摩擦が与える影響について質問したところ、投資家の69%が「取得活動に影響はない」と回答した。
2019年の投資額は伸び悩みか?
■売却意欲
一方で、日本の投資家の売却意欲は昨年よりやや減退したようだ。売却予定がある投資家のうち、「昨年より売却額は増加する」と回答した投資家は26%で、前回調査の34%から8ポイント減少した。資金調達環境が良好でリファイナンスが依然として容易なことや、物件の入れ替えが難しく、運用資産額を減らしてまで売却を急ぐ必要がないことが背景と考えられる。
CBREは2019年の投資額は昨年と同水準にとどまると予想している。理由は売主と買主の価格目線の乖離による流動性の低下である。現状の低金利が続く限り、売主が価格目線を下げる可能性は低い。さらに、買主の意欲は引き続き高いものの、より慎重になってきていることも調査結果からは浮かび上がっている。