2019年、日本の投資家が描く「不動産投資の戦略」をリサーチ

不動産投資家の投資戦略の把握を目的に毎年実施している「投資家意識調査」の最新版から一部抜粋し、日本の投資家が国内外の不動産マーケットに対してどのような戦略を描いているのか見ていきます。※ロサンゼルスを本拠とする世界最大の事業用不動産サービス会社のシービーアールイー株式会社(CBRE)。本連載では、そのリサーチ部門が世界の不動産市場の最新情報をお伝えします。

「世界的な経済ショック」は不動産投資市場の脅威

■不動産投資市場における最大の脅威

日本の投資家は、「世界的な経済ショックによる影響」を最大の脅威と回答した(35%)。また「予想を上回る急速な金利上昇」と回答した投資家は28%となり、前回調査(2018年1月実施、同25%)を3ポイント上回った。

 

日銀が2013年に「異次元の金融緩和」を導入して6年が過ぎた。インフレ目標達成の見通しは立っておらず、金利上昇の懸念は低いと考えられる。その一方で、米国、中国を中心に債務は増加傾向にあり、想定外の事象を引き金に金利が急上昇することを市場は懸念しているようだ。

 

[図表1]2019年の不動産投資市場における最大の脅威(出所:CBRE Investor Intentions Survey 2018, 2019)
[図表1]2019年の不動産投資市場における最大の脅威(出所:CBRE Investor Intentions Survey 2018, 2019)

 

「リスク許容度」はやや低下したが「取得意欲」は旺盛

■リスク許容度と取得意欲

日本の投資家のリスク許容度はやや低下している。リスク許容度が「相当高まる」または「高まる」と回答した投資家は9%で、前回より3ポイント低下した。

 

一方、取得意欲は依然として旺盛だ。2019年の取得額が「昨年より増加」または「昨年と同じ」と回答した投資家の割合は91%で、低下幅はわずか1ポイントだった。特に「昨年より増加する」と回答した投資家は31%で、前回より2ポイント増加した。さらに、米中貿易摩擦が与える影響について質問したところ、投資家の69%が「取得活動に影響はない」と回答した。

 

[図表2]リスク許容度(出所:CBRE Investor Intentions Survey 2017, 2018, 2019)
[図表2]リスク許容度(出所:CBRE Investor Intentions Survey 2017, 2018, 2019)
 

 

[図表3]昨年と比較した今年の取得額(出所:CBRE Investor Intentions Survey 2019)
[図表3]昨年と比較した今年の取得額(出所:CBRE Investor Intentions Survey 2019)

 

[図表4]米中貿易摩擦が投資戦略に与える影響(出所:CBRE Investor Intentions Survey 2017, 2018, 2019)
[図表4]米中貿易摩擦が投資戦略に与える影響(出所:CBRE Investor Intentions Survey 2017, 2018, 2019)

 

2019年の投資額は伸び悩みか?

■売却意欲

一方で、日本の投資家の売却意欲は昨年よりやや減退したようだ。売却予定がある投資家のうち、「昨年より売却額は増加する」と回答した投資家は26%で、前回調査の34%から8ポイント減少した。資金調達環境が良好でリファイナンスが依然として容易なことや、物件の入れ替えが難しく、運用資産額を減らしてまで売却を急ぐ必要がないことが背景と考えられる。

 

CBREは2019年の投資額は昨年と同水準にとどまると予想している。理由は売主と買主の価格目線の乖離による流動性の低下である。現状の低金利が続く限り、売主が価格目線を下げる可能性は低い。さらに、買主の意欲は引き続き高いものの、より慎重になってきていることも調査結果からは浮かび上がっている。

 

[図表5]昨年と比較した今年の売却額(出所:CBRE Investor Intentions Survey 2017, 2018, 2019)
[図表5]昨年と比較した今年の売却額(出所:CBRE Investor Intentions Survey 2017, 2018, 2019)

 

CBRE日本法人は、不動産賃貸・売買仲介サービスにとどまらず、各種アドバイザリー機能やファシリティマネジメント(FM)などの18の幅広いサービスラインを全国規模で展開する法人向け不動産のトータル・ソリューション・プロバイダーです。CBREの前身となった生駒商事が1970年に設立されて以来、半世紀近くに亘り、日本における不動産の専門家として、全国10拠点で地域に根ざしたサービスを展開してきました。

企業にとって必要不可欠な「ビジネスインフラ」として認められる不動産アドバイザリー&サービス企業を目指して、国内約1,100名を超えるプロフェッショナルが、最適かつ的確な不動産ソリューションを中立的な立場で提供いたします。
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CBREグループ(NYSE:CBG)は、「フォーチュン500」や「S&P 500」にランクされ、ロサンゼルスを本拠とする世界最大の事業用不動産サービス会社です(2018年の売上ベース)。全世界で90,000人を超える従業員、約480カ所以上の拠点(系列会社および提携先は除く)を有し、投資家、オキュパイアーに対し、幅広いサービスを提供しています。不動産売買・賃貸借の取引業務、プロパティマネジメント、ファシリティマネジメント、プロジェクトマネジメント、事業用不動産ローン、不動産鑑定評価、不動産開発サービス、不動産投資マネジメント、戦略的コンサルティングを主要業務としています。

写真は、リサーチ エグゼクティブディレクターの大久保寛氏。
CBREのリサーチ部門の責任者として、オフィス、物流施設、商業施設の賃貸市場ならびに売買市場のリサーチ業務を統括。製鉄会社および投資銀行勤務を経て1997年から2013年まで証券アナリストとして株式リサーチ業務に従事。2000年からはJREITを中心に不動産セクターを担当。UBS証券、ゴールドマンサックス証券、マッコーリーキャピタル証券、みずほ証券を経て、2013年10月より現職。

著者紹介

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