今回は、日本の不動産取引の慣行にはない「インスペクション」について具体例を紹介します。ワイキキの最新ホテルレジデンスである、The Ritz-Carlton Residences Waikiki Beachの例で見ていきましょう。

担当のエージェントに委任するケースが一般的

前回は、ハワイでの不動産取引の一連の流れの中で、日本の不動産取引の慣行ではないエスクローアカウントの作成、インスペクション、公証について説明しました。

 

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第6回で概要をご説明したThe Ritz-Carlton Residences Waikiki Beach(以下Ritz Waikiki)は、今春のオープンに向けクロージング手続きがはじまっており、昨年の11月中旬からは低層階より順番にインスペクションが行われています。今回は、そのインスペクションについて見ていきましょう。

 

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Ritz Waikikiの外観

 

Ritz Waikikiの場合、インスペクションの日程は、基本的にオーナーの希望ではなく、デベロッパーから割り振られた日程で行われています。

 

インスペクションは、1週間で2フロアずつ行われていきますので、オーナーもデベロッパーから提示された日にハワイに滞在している場合は、インスペクションに参加可能となっています。ただ、その限られた日程で滞在しているオーナーは少ないため、担当のエージェントに委任をするケースが一般的です。

 

2月1週目では27、28階の部屋のインスペクションが行われており、3月上旬には全ての部屋のインスペクションが完了する予定となっています。

不具合のある場所や内容を記録し、補修を実施

では、実際にインスペクションの流れを見ていきましょう。まず、建設地の隣のビルに入っているRitz Waikikiのショールームで借りられるヘルメットやゴーグルを持ち、共用部分も含めまだ工事中の建築現場へ向かいます。

 

インスペクションは、オーナーや担当エージェントの他に、デベロッパー側から任命されているインスペクターと一緒に行うことになります。

 

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Ritz Waikikiのショールームで借りられるヘルメットとゴーグル

 

なお、Ritz Waikikiの場合は、現在登記手続き中のTower1は308室ですが、インスペクターはわずか2人で担当をしています。多い日には4件程インスペクションを行うこともあり、インスペクションが予定されている11月から3月までの5か月間は、ほぼ毎日各部屋の点検を行っています。

 

インスペクションの準備ができたら、エレベーターでインスペクションを行う階数まで上がり、部屋に着くとすぐにインスペクションが始まります。ちなみに、約40㎡のStudioタイプの場合でも、エントランスから廊下、キッチン、浴室、リビングと、クローゼットやキッチンの収納の中まで一つひとつ丁寧に点検を行っていくため、1時間ほどの時間を要します。140㎡程の3Bedroomとなると2時間前後かかり、まだエアコンが効かない室内の中で黙々とチェックをしていきます。

 

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また、このチェックを記録するパンチリストと呼ばれるレポートに、一つずつインスペクターが不具合のある場所や内容を記録していきます。そのレポートに則ってホテルのオープンまでに再度補修が行われ、最終的にはRitz Waikikiの担当者が室内を確認した上で、ホテルとしてレンタルに出される予定となっています。

 

今回は、Ritz Waikikiにて現在行われているインスペクションについて、大まかな流れを見ていきました。次回は、実際のインスペクションの様子と部屋の仕様や、部屋からの眺望などを紹介します。

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