融資条件がネックになって「赤字」の場合には・・・
今回は物件自体というより、赤字経営になってしまっている人向けにお伝えしたい話です。
金融機関からの融資条件がネックになって、赤字に陥っている場合もあります。その根本原因は、融資の期間が短いこと、金利が高いこと。このふたつに尽きます。これを解消するためには、金利交渉もしくは借り換えしか方法がありません。
高金利で借りている場合に有効なのは、金利交渉です。銀行にお願いして、今の金利より下げてもらう手法です。金利交渉を行うタイミングは、購入後2年程度経過した頃がよいと思います。購入してすぐに金利交渉をしてはいけません。
金融機関の状況は細かく変わりますから、不動産業者に相談して行うのがベストです。金利交渉については、応じてくれる銀行と、難しい銀行があります。前者であれば、何期か進むと実績次第で借り換えができる可能性があります。後者の場合は他行に借り換えを試みましょう。これは金利が高い人の場合です。ただし、現状で金利が2%を下回る銀行は難しいでしょう。
もうひとつの手段は借り換えです。現在借りている銀行よりもより良い条件で借りることができれば、月々の支払いが少なくなります。借り換えを積極的に行う銀行はたくさんありますので、属性に問題がない人は、借り換えを検討してみてもよいでしょう。
住宅ローンは金利1%を切るところもあります。それに比べてアパートローンの金利は基本的に高いものです。現状では、2%から4%で借りている人が多い状況です。地主や事業規模の大きな投資家であれば、1%を切るような好条件で借りている人もいますが、それは少数派です。自己資金を一定程度入れるなどの条件で2%、それ以外であれば3%や4%台で借りている人が多いのが実情です。
そのような人は、常に借り換えを視野に入れておくべきです。ただし銀行によっては、借り換えをしたら二度と借りられなくなることもあります。そのルールは銀行によってまちまちです。ですから借り換えが無条件に優れているかといえば、そう言い切ることもできません。
物件購入時にはスピードが重視されます。審査が速い銀行では、1週間程度で結論が出ます。そのような金融機関で物件を買えるだけ買い、追って一斉に借り換えを行う人もいます。そのタイミングについては、収支の状況や相場の動きなどを総合的に見て決めていきます。
金利の高低については一定程度対策が可能ですが、融資期間を延ばすことは実質できません。それでも借り換えをすれば、その期間を延長できる可能性はあります。そのためには、物件評価の異なる銀行に交渉することです。これらすべてを検討した結果どうにもならなければ、損切りを覚悟で売ったほうがいいでしょう。
銀行を変えることでどの程度改善できるかは、試算でだいたい把握することができます。借入額次第でしょうが、さほど大きく変わらないはずです。
金利で見れば大きく差が出そうなものですが、そういうわけでもありません。たとえば1000万で10年借りた場合。金利4.5%と2.475%の違いがあったとしても、月々の返済額で言えば1万円以下です。1億円の場合にはその差は10倍になりますが、結局、大した差ではありません。
借り換えを検討するときには、今後の投資姿勢や金融機関との付き合い方などを、トータルで考えてください。借り換えられた銀行からすれば、長期借入で金利収入を得られるはずが、それができないわけですから、良い気持ちがしないのも当然でしょう。今後のことを考えれば、借り換えは極限の状態まで避けたほうが無難という考え方もあります。
手間とコストがかからないのは断然金利交渉ですが、成功する可能性が高いのは借り換えです。
ポイントは、金利交渉や借り換えでは「借入期間を延ばすことは難しく、金利を下げることが中心」になるということです。
そのため、最初の借入時には、なるべく長期間で借入をしているほうがいいでしょう。また金利交渉においては、入居状況が審査対象になります。借り換えでは一から審査を行うため、属性もしっかりしている必要があります。転職して給料が下がったり、リストラをされていると、借り換えの成功率は低くなります。
売却タイミングの目安となる「減価償却費」を理解する
減価償却費とは、経年によって建物の価値が目減りしていく分を、確定申告で経費として計上するものです。減価償却費は、建物の取得価格と、法律で決められた耐用年数に応じた償却率より算出します。
減価償却費は、キャッシュアウトがないにもかかわらず、毎年の損益計算で経費にできます。とくに築古物件は償却費が大きくなるため、節税効果が高いのです。
減価償却が終われば、経費計上もできなくなります。その分だけ所得が増えて、その結果、税負担が大きくなります。そのため減価償却が終わる頃を目安に売却を検討する人も多いわけです。
<減価償却費の計算>
建物の取得価格×耐用年数に応じた償却率=減価償却費
建物の耐用年数はその構造によって決められています。
<建物の法定耐用年数>
●鉄筋コンクリート造(RC造) 47年
●重量鉄骨造 34年
●軽量鉄骨造 27年(3㎜以下は19年)
●木造 22年
中古物件は建築年数に応じて、簡便法という方法を使って、建物の耐用年数を算出します。
<法定耐用年数を全部経過した建物>
法定耐用年数×0.2=耐用年数
<法定耐用年数の一部を経過した建物>
(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×0.2=耐用年数