年収1000万円が目標だが、「残業したくない」社員への対処法

会社がいくら理念や目標を掲げても、それが社員一人ひとりの考えとつながっていなければ絵に描いた餅に終わります。本記事では、人間の基本欲求にもとづく個人の目標と企業の目標を統合して、明確な「企業理念」を作り上げるためのポイントを紹介します。※本連載では、アクセスグループ代表、税理士法人アクセス代表税理士・鈴木浩文氏の著書、『親父いつ社長やめるの? ―創業者があなたに事業承継しない決定的な理由―』(アチーブメント出版)から一部を抜粋し、人財・理念承継のポイントを解説します。

人間がもつ「5つの基本欲求」を会社の目標に変換する

個人の人生理念は、人によってさまざまです。それぞれの個人理念を叶える舞台に会社がなるかどうか。これが大切なのです。

 

個人の理念と企業の理念。個人の目標と企業の目標。これらが統合されて、はじめてOSとして機能するわけです(関連記事『肉バル運営…ライバル2社の明暗を分けた「企業理念」の違い』)。

 

それではどうやって個人の理念と企業の理念を統合するのか。

 

私はアチーブメント社のノウハウを使ってコアシートというものをつくって、ビジュアル化しています。

 

まず、個人の理念に基づいて、個人の中期目標と今年の目標を設定します。このとき、人間が持つ基本的な欲求それぞれの目標を設定します。

 

アメリカの精神科医ウイリアム・グラッサー博士が提唱した選択理論心理学において人間がもつ基本的な欲求は「生存」「愛・所属」「力」「自由」「楽しみ」の5つと定義され、私たちの誰もが遺伝的に持っているものです。

 

[図表1]5つの基本的欲求

©Copyright 1997,2018 Achivement Corp., All rights reserved.
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次に、5つの基本的欲求のそれぞれを会社での目標に変換します。

 

さらに、それらを企業理念や行動指針とつなげます。

 

最後に、企業理念と個人理念を統合するのです。コアシートでは、反時計まわりに進んでいきます。

 

[図表2]企業理念との統合

 

[図表3]コアシート

©Copyright 1997,2018 Achievement Corp., All rights reserved.
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10人10通りの「個人理念」に、どう対応すべきか?

このときポイントが2つあります。

 

1つは、会社の目標設定が先ではないこと。最初に個人の目標を設定するのです。この順番が肝心です。

 

経営者は、社員個人の5つの欲求を知るべきです。というのも、5つの欲求には相反する部分が出てくるからです。

 

たとえば愛・所属の欲求と力の欲求。この2つは両立しないことがあります。力の欲求を満たすために会社で卓越した成績を残そうと思ったら、プライベートを犠牲にしなければならないこともあるでしょう。その場合、奥さんの理解を得られないかもしれません。昨今は共働き世帯が多いので、なおさらです。共働き世帯なら、夫にもお風呂当番や夕飯当番といった家事の役割があるでしょう。

 

逆に、愛・所属の欲求を満たすために家族を大切にしようとすると、力の欲求を犠牲にしなければならない場面が出てくるのです。それを経営者は理解すべきです。

 

専業主婦が家庭を守っていたひと昔前なら「今から飲みに行こうか」も通用しました。しかし今はそうはいきません。社員が奥さんに電話して「社長から言われたから、ちょっと飲みに行くわ」と言うのは、1回や2回だったら平気かもしれません。しかし、それが続くと、奥さんは「当番があるのに、全部私にやらせているじゃない」と怒ってしまいます。

 

社員個人がどんな価値観なのか、中小企業の経営者は知るべきなのです。

 

あるいは社員が「年収1000万円」という目標を設定しているとします。それなのに、愛・所属の欲求を満たすために家に早く帰りたいと言っていて、実現できるでしょうか。単に長時間働けという意味ではありません。しかし、勤め人が年収1000万円に達するには、人並み以上の能力や自己研鑽が必要です。個人がどんな目標を掲げるかは自由ですが、その会社でどうすれば実現できるかをアドバイスするのが経営者の役目です。

 

2つ目のポイントは、個人の理念と企業の理念を統合するとき、個人理念を企業理念に寄せていくこと。社員が10人いれば、10通りの個人理念があります。それに会社の理念を寄せていっては、収拾がつきません。個人の理念をその会社でどう実現していくのか。あくまでも、会社の理念との整合性を取るようにします。コアシートで言うと、一番上の欄は右から左に寄せていきます。

 

こうして個人理念と企業理念を統合できると、社員にとって会社が幸せに生きるための人生の舞台になります。

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アクセスグループ代表
税理士法人アクセス 代表税理士
一般社団法人財務コンサルティング協会 理事長
日本相続知財センター大阪中央支部 理事 

1970年生まれ。関西大学経済学部を卒業後、元マルサ税理士に師事。日本有数の会計事務所系の専門家グループである税理士法人マイツに転じて
企業再生・M&Aなどの財務コンサルティングの経験を積む。
年間100件ペースで相続税申告や事業承継対策をおこない、現場主義を貫いている。
現在は大阪・京都に事務所を開設し幅広く活躍。飲食チェーンの監査役や出版社・自動車教習所の社外取締役として経営実務にも携わっている。
アクセスグループ http://act-cess-souzoku.jp
事業承継診断チェック http://act-cess-souzoku.jp/shindan/

著者紹介

連載事業承継を真の成功に導く「人財・経営理念」の引き継ぎ方

親父いつ社長やめるの? 創業者があなたに事業承継しない決定的な理由

親父いつ社長やめるの? 創業者があなたに事業承継しない決定的な理由

鈴木 浩文

アチーブメント出版

経営者の平均年齢は66歳・・・ 「うちの親はいつになったら引退するつもりなの?」 後継者のあなたはそう思っていませんか? 2028年まで事業承継税制「特例措置」によって自社株の贈与・相続に税金がかからなくなりました…

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