Googleマップで表示させる「MEO対策」の実施を
スマートフォンの普及率は2016年で71.8%(総務省通信利用動向調査)となり、普及率73%のパソコンを追い抜こうとしています。今後も、患者が病院を探す場合にはスマートフォン検索が主流になっていくでしょう。
パソコンの画面で見やすいホームページだけでなくスマートフォン専用のホームページをつくるなど、ホームページの見せ方や検索のされ方を考えることも重要になっています。
たとえば、世界中の数百万の対象サイトを統計調査しているStat Counter Global Statsのデータによると、スマートフォンで検索をしている検索エンジンの6割はGoogleです。さらにGoogleに連動したGoogleマップによる検索を合わせると8割にもなります。このことから、クリニックをGoogleマップで表示させる「MEO対策」をきちんと行っておけば検索に引っかかりやすくなります。
[図表]MEO対策の考え方
もう一つ、スマートフォンの検索の特徴として即時性、緊急性が高いということが挙げられます。Googleの調べによると、アメリカでデスクトップパソコンやタブレットPCでお店を検索した人が来店したのは34%だったのに対して、スマートフォンでお店検索をした人は、50%がその日のうちに来店しているというのです。競合のクリニックに対して選ばれやすくするためにもスマートフォンの情報を充実させることが必要不可欠となります。
スマートフォン検索は即時性、緊急性が高いため、Googleマップで地図検索上位表示をさせると圧倒的に認知度が高くなります。
このMEOについては近年になって言われだした新しい概念で、対策にはGoogleマップの複雑なアルゴリズムを理解している必要があります。専門知識を持った業者やコンサルタントを慎重に選定して、お願いするのがよいでしょう。
閲覧数の多い外部サイトへの登録も効果的
ホームページだけではなく、外部の検索サイトへの登録も忘れずにしておきましょう。外部サイトとは、自社のホームページではなくて、多くのクリニックや病院の情報が掲載された口コミなどが掲載されているサイトです。
検索エンジンで、自分のクリニックがある地域と診療科目名で検索したときに、それらの外部サイトが出てきたら、中には登録無料の外部サイトもあるので登録をしておきましょう。
患者は医院のホームページだけではなくて、外部サイトの口コミなども判断材料として取得してから、クリニックを選ぶ傾向があります。こうした外部サイトを利用することで、より多くの患者を集めることができます。
有料のクリニック検索サイトに広告を出すかどうかは、実際にどのくらいの人がその病院検索サイトを見に来ているのかという閲覧数を調べて判断をします。見た目に良さそうな病院検索サイトであっても、閲覧数が少なければ、広告を出してもあまり効果がありません。
閲覧数の調べ方は、それぞれのサイトで閲覧数が公開されているので、その閲覧回数を見て広告を出すかどうかを判断すべきでしょう。また、無料のSEO検索サイトなどで、その病院検索サイトのURLを入れてみて、どのくらいの閲覧数があるかなどを調べてみるというのも良いでしょう。
また、実際にキーワードを入れて検索して調べてみるのをお勧めします。たとえば、「駅名と診療科」で検索される場合、「池袋内科」など実際にキーワードを入れてみて、その検索結果の上位に自分のクリニックが表示されているのかを確認してみましょう。
競合のクリニックが少ない場合には、その地域でクリニックを探している人がキーワード検索をする場合、クリニックのホームページが上位表示されるよりも、病院検索サイトが上位表示されることもあります。したがって、病院検索サイトに登録されていれば上位表示され、患者さんから見つけてもらいやすくなります。
病院検索サイトに登録する場合には、なるべく多くの写真や紹介文を掲載するようにしましょう。そうすることによって上位表示されることもあり、クリニックを探している人の目に留まりやすくなるのです。また、写真や紹介文が充実していると患者さんの口コミももらいやすくなります。
閲覧数が多いクリニック検索サイトの一例を試みに挙げてみましょう。
美容では「美容医療の口コミ広場」(https://clinic.e-kuchikomi.info/)です。口コミの数は約7万4000件以上と豊富です。症例紹介やコラムなども充実しており閲覧も多いサイトです。
全国の病院の口コミサイトとして閲覧数が多いのは、「Caloo(カルー)」(https://caloo.jp/)です。2010年からサービスを行っている老舗口コミサイトで、1日に27万人、月間で800万人の人が訪れているサイトです。
月1000万人が活用するクリニック検索サイトとしては、「病院なび」(https://byoinnavi.jp/)があります。まるで問診票のように細かい検索ができるのが特徴です。
産婦人科、小児科の診療科目であれば、女性の妊娠、出産、育児の悩みや料理の口コミのサイトの「ウィメンズパーク」(http://women.benesse.ne.jp/)を活用するのがお勧めです。ウィメンズパークはベネッセが運営しており、信頼性が高いということと、登録の会員数は約597万人。その中で年間約143万人が病院検索をしています。
こうした閲覧数の高い外部サイトに登録したり、広告を出したりすることで、効果的に集患することができます。
SNSの広告効果は、診療科によって違いがある
FacebookやツイッターなどのSNSの広告効果は、クリニックに関しては、自分の診療科によると考えています。
一般的な診療科はプライバシーを重視するコンプレックス産業であり、実名と結びつくようなオープンなやりとりが歓迎されていないということがあるからです。たとえば、Facebookなどで、投稿者がどこどこのクリニックに診療を受けに行って来たなどとの投稿をすることはあまり見かけないと思います。そのような情報はできれば秘密にしておきたいし、人に知らせるものではないと考えている人が多いからです。
実名が尊ばれる媒体にクリニックの投稿や広告を出したりしても、その投稿した記事が拡散されたり、いいねを押されたりすることは少ないと思います。美容外科はこの限りではありませんが、保険診療科目は広告効果が薄いと考えざるを得ません。
また、匿名性が高いツイッターでは拡散されやすいことはありますが、保険診療のクリニックは高額商品を販売するビジネスとは違い、単価が低く費用対効果が合わないことが多いものです。このことから、SNSは手間や費用を掛けてもさほど効果は得られないと考えた方が良いと思います。
一方で美容外科などは、この限りではありません。患者さんのなかには、美しくなった自分を多くの人に見てもらいたいと考えるからです。自分を美しくしてくれたクリニックはどのクリニックかということを投稿する人もいるでしょう。また、その投稿を見て、クリニックを受診しようとする人もいるはずです。このように診療科によって異なるということが言えるのです。
HPの滞在時間を増やすため、動画・漫画を活用する手も
自分のクリニックのホームページも魅力的にして、注目度が集まるようにしておけば、他のホームページやブログなどからリンクされたり、紹介されたりして、上位表示に繋がるきっかけとなります。では、どのような方法で注目度が集まるようにすれば良いのでしょうか。
まず、基本的なデータである診療時間や休診日、所在地などは一目でわかりやすく表示されていることが重要です。また、迷わずにクリニックに患者が辿り着けるように、見やすい地図をホームページ内で表示しておくことも大事です。ホームページを訪れた患者をスムーズに来院につなげるため、WEB予約の仕組みを整備するのもいいと思います。
また、ホームページは文字情報が重要だと思う人が多いのですが、多くの人は文字情報よりも動画や漫画などで疾患の情報や診療の内容、診療の流れなどが表示されている方がわかりやすく感じるものです。
動画や漫画をホームページに挿入することがなぜ良いかというと、ホームページの滞在時間が大きく伸びるからです。滞在時間とはユーザーがどれだけそのページを見ているかということを表すものですが、ホームページが文字だけで書かれていると、滞在時間は数秒になることもあります。数秒というのは、見ていないということです。
上位表示にはこのページの滞在時間も加味されるので、動画や漫画で滞在時間を増やすことは重要なことなのです。
動画や漫画を挿入するのには、もう一つ意味があります。それは、多くの患者は体調不良のために病院探しを最小限の時間で行いたいと思っています。短時間でより多くの情報が得られるという観点からも動画や漫画で見ることができるというのは、とてもメリットが大きいのです。積極的に動画や漫画をホームページに取り入れていきましょう。
近年では一部、テレビ会議や画像診断などの遠隔診療への導線を作っているクリニックもあるようです。
藤城 健作
ウェルス・コンサルティング株式会社 代表取締役社長