今回は、集患の手段として有益な、インターネットのSEO対策について見ていきます。※医師を取り巻くキャリア環境が激変しています。医局に頼ってきた従来とは異なり、自らキャリアを形成し、開業医を目指す医師が増えているのです。しかし、安易な開業が取り返しのつかない失敗を招く場合もあります。本連載では、開業医を志す医師に向け、開業を成功に導くポイントと、開業を磐石なものにする資産形成の方法を解説します。

上位表示させるためには「SEO対策」が不可欠

以前、クリニックをインターネットで検索する人はパソコンで検索をしていましたが、総務省の情報通信白書によるとスマートフォンの普及率が2010年に9.7%だったのが2016年には71.8%になり、幅広い世帯にスマートフォンが浸透しています。いまでは病院探しでもスマートフォンで検索する人が多くなっているのです。

 

そのため、スマートフォンのインターフェースでどのように表示されるのか、ということにも注意してホームページを作成したいものです。

 

さらに、自社のクリニックを上位表示させるためには、SEO(Search Engine Optimization:サーチ・エンジン・オプティマイゼーション)対策を取る必要があります。SEOとは、検索エンジンの検索結果で、特定のウェブサイトが上位に表示されるようにウェブサイトの構成などを調整することです。

 

検索上位に表示されるためには、検索連動型広告(Pay Per Click・PPC)、検索エンジンの最適化(SEO)、Google Mapに対する地図検索エンジンの最適化(Map Engine Optimization・MEO)、の3つの方法が必要になります。

有料の「検索連動型広告」を活用

最初は「検索連動型広告」です。リスティング広告とも呼ばれるこの広告は、グーグルやヤフーなどの検索エンジンでキーワードを検索した際にその検索結果の広告ページ部分(検索結果ページよりも上にある)に連動して表示される広告のことです。

 

広告ページ部分にはホームページのリンクが置かれ、そのリンクを検索している人がクリックされるごとに、1クリックで50円から200円前後(科によって異なる。医科は安く美容は高い)の広告料がかかるような仕組みになっています。自分のクリニックが検索されるときに頻出するキーワードで有料広告を出しておくと、自分のホームページが検索ページのトップに出るので、来院に繋がるというわけです。

 

どのキーワードが頻出されているのかを調べるには、グーグルキーワードプランナーを確認します。また、「グーグルアナリティクス」では、どんなキーワードでサイトにアクセスしたかというだけでなく、閲覧回数も掲載されるので、より効率的に広告を出すことができます。

 

とはいえ、どのようなキーワードで広告を出して良いか迷う場合には、「自分のクリニックがある地域名+科目名」や「沿線地域の駅名+科目名」というキーワードで広告をだすと良いでしょう。自費診療や美容医療の場合は、施術名や機器名をキーワードにすることも視野に入れます。

病院のHP内容を充実させ、検索エンジンの最適化を狙う

次に「検索エンジンの最適化」です。

 

これは、広告ではなくて検索エンジンでキーワード検索をしたときにホームページを上位表示するための対策になります。検索エンジンがロボットと呼ばれる独自のシステムで評価することによって上位表示するのですが、どのような条件で上位表示されるのかは公開されていません。同じキーワードで検索しても表示される順番に差がついてきます。

 

ただし、次のような対策を打てば上位表示に繋がるとされています。まずは、ホームページのページ数が多く、内容が充実しているかどうかということです。クリニックの紹介や診療内容、設備、患者の声、アクセスなどだけではなく、写真なども充実させることが必要です。また、病気や症状についてのページも充実させると良いでしょう。

 

病気の種類は原因、症状、検査の方法や治療法、注意点などが掲載されていれば、その情報を多くの読者が閲覧することになります。ここでは、文字数もそうなのですが、文法的に間違っていないかということも重要です。

 

また複数のサイトからリンクをされているのかということも重要なポイントになります。検索エンジンのロボットは、複数のサイトからリンクされているサイトは信用度が高いと判断をします。そのため、より多くのサイトからリンクされているかどうかも上位表示をさせるには非常に重要な要素になるのです。

 

また、クリニックのホームページはできるだけ早く制作しましょう。ホームページの歴史の長さも上位表示される条件になります。古ければ古いほど信用があると判断され、上位表示されることになります。ですので、SEO対策上、ホームページは開業と同時期にリリースするなど、早急に対応することをお勧めします。

「Googleマイビジネス」に施設情報を無料登録

最後は「マップ検索エンジンの最適化」です。グーグル検索でクリニックを検索するときに、多くの人は「地域名」に「診療科目」や「施術項目」を入れて検索をすると思います。グーグルで検索をすると、検索結果に施設の情報と地図が表示されるのですが、この地図表示を上位表示させるための対策をMEO対策と呼びます。

 

施設情報と地図を上位表示させるためには、まず施設を登録する必要があります。登録方法は「Googleマイビジネス」(https://www.google.co.jp/business/)に施設情報を登録することです。登録は無料です。

 

ちなみに、Googleマイビジネスとは、店舗ビジネスのオーナーが無料で利用できる店舗情報登録サービスのことです。このサービスを利用して、クリニックの情報や電話番号、ルート、クリニックの写真などを詳しく掲載します。これによって地図表示を上位表示することができます。

 

Googleマップに掲載される情報は、まるでウェブページのように編集することができます。「Googleマイビジネス」には電話番号、診療時間、クリニックのホームページといったデータを登録するだけではなく、クリニックの美しい写真などを掲載しておくことが大事です。写真は複数掲載することができます。理事長のプロフィール写真やクリニックの外観や内観などが掲載できるので、クリニックの雰囲気がうまく伝わるような多くの写真を掲載するようにしましょう。

 

Facebookやツイッターのように投稿機能がついているので、日々の出来事やクリニックに関する情報などを投稿して認知度を高めることも可能です。また、Googleマップ上のウェブページでは、患者さんとコミュニケーションを取ることができる機能もつけられています。クリニックへの口コミも患者さんが自由に投稿をすることができます。

 

ただし、誹謗中傷の類も多いので、不適切な口コミがあれば、削除してもらうようにGoogleに伝える必要があります。口コミを放置していると認知度が上がっている分、風評被害でマイナス効果を生むことになるからです。

 

 

藤城 健作

ウェルス・コンサルティング株式会社 代表取締役社長

 

勤務医の「キャリア&資産形成」戦略

勤務医の「キャリア&資産形成」戦略

藤城 健作

幻冬舎メディアコンサルティング

医局の影響力が弱まった、新研修医制度の施行ーー以降、医師のキャリアを取り巻く環境が激変しています。本書では、勤務医が今後のキャリアを考えるために役立つ情報を提供するとともに、著者の豊富なコンサルティング事例から…

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