給料が安いため、アルバイトで稼ぐ医局勤務医
専門医資格を取得した後、大学病院で医局に所属すると最初はだいたい年収300万〜700万円前後になると言われています(厚生労働省資料より)。しかし、アンケートなどを取ってみると、大学卒業後1〜5年ぐらいは年収500万円未満の医師も多いと言われています。年収だけを聞くと外資系金融機関などのサラリーマンと比べると給料が低い感があります。ただし、医局から紹介される半日5万円程度の当直や健診のアルバイトなどをこなすと、副収入だけで毎月50万円ぐらいになることもあります。
アルバイトですので、収入には毎月バラツキがありますが、副収入だけで年間500万円になることもあり、年収で1000万円を超えることは珍しくありません。
ただし、アルバイトをどれだけこなすかによって、その月の収入が大きく変わり、不安定です。何より自分が通常以上に働かなければ大きな収入が得られない、というところに大きな問題が存在します。特にアルバイトのために土日を削らなければいけないこともあり、休みがほとんど無くなってしまうケースが大半なのです。
大学病院の医局では、その後もあまり収入が得られません。助教になっても年収は530万円程度、だいたい35歳前後で就任する講師で630万円程度、40歳代半ばで就任する准教授で720万円、40代後半から50代後半で就任する教授で900万円です(人事院職種別従業員数、平均年齢及び平均支給額資料2015)。
ただし、医局に所属することのメリットは、最先端の医療や研究の環境が整っていること、海外臨床や研究留学の機会があること、医師人脈の構築や社会的尊敬、名誉を得られること等があります。
国立病院機構や公立病院に勤務する医師の年収も、大学病院の医師の年収とほとんど変わりがありません。ちなみに都市部の立派な大病院ほど採用がしやすく、結果として勤務医の年収が低いという傾向があります。
市中病院は役職なしでも1200万円、開業医は経営次第
一方、医局を脱して自分で就職活動をした先生方はどのような医療機関に勤めているのでしょうか。
厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師調査」(2016年)の調査によると、医師の数は全国で約31万人。その医師の約15万人は市中病院やクリニックなどに勤務しています。
市中病院の給料は一般的に大学病院より高額です。役職がなくても1200万円程度になります。さらに、35歳前後で就任する診療部長クラスの医科長で1500万円、40歳代半ばで就任する部長で1800万円前後、40代後半から50代後半までで就任する病院長で2000万円以上となっています。
では、開業した場合の懐事情はどうなのでしょうか。ここから詳しく解説していきますが、専門医の資格を取得した後に開業医になると、診療科によって差はありますが年収1800万円から3800万円ぐらいが平均となるケースが多いようです。
ただ、開業医は経営者なので、オーナーである自分の手取り収入は自分で決めます。経営がうまくいけば稼ぎは青天井となり、美容外科などでは年収が億単位になることも珍しくはありません。
藤城 健作
ウェルス・コンサルティング株式会社 代表取締役社長