「収益性・資産性・返済リスク」の観点で優れている
不動産投資をこれから始める方にとって、第1回で述べた(関連記事『どちらが儲かる⁉ 不動産投資「新築」と「中古」の明確な違い』参照)それぞれの投資方法のメリットやデメリットがわかりますと、それではどのような投資法がよいのかと悩まれるかと思います。
私は、初めて投資用不動産を所有するのであれば、新築アパートを自らつくり上げるのが一番よいと思います。
新築アパートがよいという理由は、収益性・資産性・返済リスクの観点で、他の不動産投資方法より優れていると感じているからです。
それでいて、インターネットを駆使することで、誰でもゼロから土地を探して新築アパートをつくり上げることができるのです。
初めての不動産投資としてお勧めする最も大きな理由は、収益性の観点です。投資額に対するキャッシュフロー率、3%を実現することができるからです。
キャッシュフローは、簡単にいうと家賃収入から経費や金融機関への返済金額を引いて、「最終的に手元に残った金額」のことです。その金額を物件金額で割った時の割合がキャッシュフロー率です(精緻に計算する際は税金についても考慮しますが、物件ごとに異なるため、本書では加味していません)。
普段、「表面利回り」を基準に物件を探している方には、キャッシュフローといわれてもピンとこないかもしれません。
表面利回りは、年間の家賃収入を物件価格で割ったもので、その利回りの高さがイコール手元に残るお金ではありません。キャッシュフローは、手元に残るお金です。
どんなに表面利回りが高くても、賃貸に関する経費が多くかかってしまっては手元にお金は残りません。また、融資を受けている場合は、融資の金利と期間によって返済金額が多くなると、やはり手元には残りません。ここでキャッシュフローを理由にしているのは、利回りで見る家賃収入の部分だけではなく、家賃収入から返済額や経費を引いた後に残るお金のメリットをいいたいからです。
9%の利回りの物件をつくり上げるためのエリア選択
不動産業者に聞いてみると、最近の不動産投資市場では、キャッシュフローは投資額の1.5~2%が普通だといいます。少ないキャッシュフローでうまく運営していければよいのですが、初めて不動産を購入する方や、現在なかなか収益が上がらないと嘆いている投資家さんにとって、この程度のパーセンテージのキャッシュフローではリスクがあると感じます。
[図表1]「表面利回り」と「実質利回り」
自らが新築アパートをつくり上げるということは、自分で納得のいく土地を見つけ、高い家賃をもらえるような部屋を工夫することで、納得のいくキャッシュフロー/利回りで不動産投資を始めることができるのです。
新築アパートが投資額の3%以上のキャッシュフローを残せるのは、「長期間かつ低金利の融資を受けられること+低いコストでのアパート運営」を行うことができるからです。
では、キャッシュフローの計算を実際にしてみたいと思います。
物件価格が1億円で、表面利回りが9%のアパートを想定します。
9%の利回りの物件をつくり上げるために、例えば都内で安い土地を見つけることは難しいですが、東京に近い神奈川県・埼玉県・千葉県などであれば、十分可能です。
私が購入した土地は、神奈川県の川崎市と横浜市で、神奈川県では人口1、2位の都市です。
図表2を見てください。1億円の物件価格に対して、金融機関からの借入はフルローン(物件価格すべての金額を借り入れるローン。本書『サラリーマンの僕がやっている稼げる「新築アパート」実践投資』148ページ参照)で、金利は1.5%、返済期間30年とします。
[図表2]キャッシュフロー(CF)の計算例
経費については、ざっくりと率で計算することとし、20%で見ておきます。
経費の内訳は、管理費用3%、税金4%、修繕・募集費用3%、空室率5%、家賃下落率5%としています。
この経費率20%というのは、1棟目の融資を受ける際に金融機関の担当者が収支計算で実際に使っていた数字のため、計算に用いるのに妥当だと思います。
とはいえ新築なので、これらの経費のうち修繕費用は3%もかからないのが現実であり、空室率も新築で5%も発生するようでは入居付けの活動ができていない証拠で、実際はもっと経費率は低くなるはずです。
このシミュレーションでは、利回り9%、キャッシュフロー3.05%の物件となっています。