不動産投資では、空室リスクをいかに低減させるかが重要なポイントとなります。入居者を逃してしまう最大の要因となり得るのが「部屋内部の汚さ」です。本記事では、地域最安値の賃料を維持しつつ、入居者を逃さない低コスト管理術を紹介します。※本記事は、書籍『100万円からできる「地方・ボロボロ一戸建て」超高利回り不動産投資法』(日本実業出版社)から一部を抜粋したものです。

家賃の1か月分ほどかかる「仲介手数料」を免除に

◆入居者負担と賃貸リスクを合わせて考える

 

意外に知られていないのが、仲介手数料の免除です。仲介手数料はだいたい家賃の1か月分かかりますが、これをオーナー負担にするのです。

 

ただ私の場合、敷礼ゼロにして、前家賃を1か月分だけもらうようにしています。私が見つけてきた入居者は仲介手数料を半額にしており、火災保険料は入居者負担にしています。家賃4万円の物件だったら、入居者の初期費用は5万円くらいのイメージです。

 

お金がない入居者の場合は分割にすることもあります。ただ、こうした場合は保証会社からの承諾がほしいところです。保証会社が認めれば賃料は間違いなく入ってくるからです。

 

また、保証会社を嫌がる入居者の場合(年収300万円くらいだと年間1万〜2万円は大きいので、避けたがる人も多いです)、保証会社へのお金をオーナー負担にすることもあります。ただ、そういう人の場合、電話連絡も通じなかったり、家賃を滞納したりなど、入居者の質が悪い傾向があります。とくに地方は家賃が安い分、お金がない人が入りやすいので注意が必要です。

 

◆ジモティーで集めた情報を管理会社と共有する

 

ジモティーなどで募集をかけると、「今すぐ引っ越したい」という入居候補者から連絡がくることがあります。大家に直接お願いすれば入れてもらえるんじゃないかと思っているのか、突然電話がかかってくることがあります。

 

この場合、私はそういった人の情報を集めて管理会社に渡しています。これは宅建業法的にも「自己発見取引」に該当するため、問題ありません。ただ、自己発見取引を禁止する会社もあるので注意が必要です。

 

また、入居者に「私を経由して契約してくれれば謝礼をあげます」というのもいいでしょう。私はこれまでマンション営業も経験しているので、いかにお客さんを見つけてくるのが大変かを知っています。ですから、ジモティーから仲介会社にパスするのは何らおかしいことはありません。

 

ただ情報を渡すときは、名前や電話番号はもちろん、来訪日時などをあらかじめ聞いておきます。そうすることで、不動産会社にも迷惑がかかりません。HOME'Sやアットホームなどに載せる場合、あまりに安いと掲載不可になりますが、ジモティーの場合はオーナーが直接入居者を探せるので、思い切った値引きができるのが魅力です。

大切なのは「建物に合った手入れ、改善」

私がおすすめする、田舎の築古物件を運用していく投資法について、「こうしなければ満室にならない」という先入観を持たれることは少なくありません。

 

クロスが少しでも汚れていたらダメ、クッションフロアのデザインが古かったらダメなど、「自分が入居者だったとしたら嫌だな」という視点で思い込んでいるのです。しかし、築古物件にどんな層の人が住むのかがしっかり想像できていれば、先入観を払拭できます。 

 

例えば、家賃が安いことを最優先にしている、しかもペット可の物件を探している人であれば、CFを新調する必要はまったくありません。その代わりにカーペットを敷くことで、防音ができたり、汚れを防いだりできます。

 

田舎の築古物件だと、家賃を大きく上げることは難しいです。そのため、私の場合、犬を飼っている人だったら敷金を1か月分上乗せしたり、猫は犬よりも室内が荒れやすいので2か月分上乗せしたりします。

 

犬はまだ大丈夫なのですが、猫はいろいろなところに引っかき傷を残しがちです。柱がボロボロになったり建具に傷が付いたりすることもあります(引っかき傷はニスを塗ることで傷を目立たなくさせる方法があります)。

 

ここでいいたいのは、修繕は入居ターゲットに合わせて最低限でいいということです。入居者のターゲットの把握ができておらず、むやみに修繕をすすめてくる管理会社もいるのは確かです。しかし、部屋をきれいな状態にしておくことは、都会エリアに住む、ある程度の家賃を支払っている人の目線です。もしそれでも自信がないのなら、現状の写真を撮って「きれいなほうがいいなら張り替えますが、いかがしますか? ただ新調する場合、その分の費用は家賃を上げることでご負担いただきます」と紙に書いて部屋に貼り付けておき、入居者に判断を仰げばいいのです。

 

もし入居希望者に新調したいといわれたら替えましょう。量産クロスのカタログを置いておけば、さらに話がスムーズに進みます。ただ、多くの場合(とくにペット可の物件の場合)、「現状のままで構いませんが、汚しても原状回復しないでいいですか?」と聞かれることが多いです。

 

原状回復とはもとの状態に戻すことで、基本的には入居者は退去時にきれいな状態に戻さなくてはいけません。とくに室内でペットを飼っている入居者の場合、現状のままで退去できるほうが費用は安くすみます。それに対して「いいですよ」と回答するわけです。これによって、オーナー側もクッションフロアの張り替え費用を節約できますし、入居者も気がねなく暮らすことができます。

 

同じように、クロスについても自分で拭いてきれいにすれば、多少黄ばんでいても問題ありません。私の場合、セスキ炭酸ソーダと車のウォッシャーブラシを使って洗浄しています。 

 

部屋の状態は、転売するのならきれいにしておくべきです。しかし賃貸に出すなら、入居者は自分の所有物だと思っていないので、退去時にお金がかからないほうを選びます。ですから、「こんなに汚かったら誰も借りてくれない」と思い込まず、本当に必要な箇所のみ修繕するという考え方が大切です。

 

 

黒崎 裕之

 

本連載は、2018年6月1日刊行の書籍『100万円からできる「地方・ボロボロ一戸建て」超高利回り不動産投資法』から抜粋したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

100万円からできる「地方・ボロボロ一戸建て」超高利回り不動産投資法

100万円からできる「地方・ボロボロ一戸建て」超高利回り不動産投資法

黒崎 裕之

日本実業出版社

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