不動産投資では、空室リスクをいかに低減させるかが重要なポイントとなります。本記事では、地域最安値の賃料を維持しつつ、入居者を逃さない低コスト投資術を紹介します。※本記事は、書籍『100万円からできる「地方・ボロボロ一戸建て」超高利回り不動産投資法』(日本実業出版社)から一部を抜粋したものです。

管理会社へのヒアリングを済ませ、物件調査の準備を

◆最低賃料を必ずチェックする

 

よくやってしまいがちな失敗は、相場賃料を調べ、それに合わせて賃料を決めてしまうことです。相場で貸そうと思うから、不必要なリフォームをしたり、無駄な空室期間が出たりするのです。相場よりも「最低賃料」を必ずチェックするようにしましょう。

 

最低賃料をチェックする際は、SUUMOとHOME’Sで検索します。確認するのは、あくまで「賃料」のみで、それ以外の情報を確認する必要はありません。

 

そして一番重要なのは、管理会社・客付会社にどう動いてもらうかです。最終的に入居者を付けられるかどうかは、データも大事ですが、営業マンの感情によって決まります。そのため、ネットの情報はあくまで参考程度に考えてください。

 

賃料だけ確認して大丈夫だと思ったら、管理会社に電話でヒアリングを行ないます。大手フランチャイズから優先的に電話をすることをおすすめします。というのも、大手フランチャイズは対応が親切だからです。地元業者だと忙しいケースが多く、対応を間違えると相手にされないことが大半です。

 

もし大手フランチャイズがないエリアの場合、アットホームで地元業者を探しましょう。あるいはウェブで「○○(最寄駅)不動産賃貸」と検索すると、簡単に見つかるはずです。

 

空室対策は学ぶ必要はありますが、そもそも大家業とは、難しいビジネスではありません。「安く買う」、これだけで勝てるビジネスなのです。

 

ただ、安く買えるのは、今の不動産市場では築古の「戸建て」「小規模なアパート」程度かと思われます。あと2〜3年後であれば、RC造や鉄骨造といった一棟物件もさらに価格が落ちて安く買えるかもしれません。

 

しかし、今資産を築きたいのなら、築古の「戸建て」「小規模なアパート」が勝てる可能性が高いでしょう。そして、安く買える戸建ては、今後規模を大きくしたい人たちにとって、ちょうどいい練習台になると思っています。

 

◆不動産の適性は運用しながら知っていく

 

今、不動産投資の中上級者は、物件を買わない人も多いです。なぜだと思いますか?

 

それは、今が売りどきであって、買いどきでないことを知っているからです。もちろん、日々新しい手法を模索しながら、最前線で売ったり買ったりする一流投資家もいます。私はどちらかというと、購入時に一目ぼれをしたら失敗すると思っているので、必ず数字に置き換えて判断するようにしています。物件を好きになってしまいそうになったら、逆に買わない理由を探してしまうほどです。

 

ここまで何度もお伝えしていますが、まずは「所有する(買う)」ことがすべてのスタートになります。不動産は学ぶべきことが非常に多いので、いつまで調べていても、すべてがわかる状態になることはあり得ません。だからこそ、まず小規模の物件を購入し、小さい失敗をしながら学んでいくという姿勢でないと、初心者は成功できないと断言できます。

 

例えば今、利回り10%の物件と、1年後に利回り12%になる物件があったとしたら、私は間違いなく前者をおすすめします。1年間、投資家として経験を積めることは、大きな財産になるからです。

 

物件を買うようになってくると、「この物件の売りはここだったのか」「次はこういう視点で選んでみよう」と思うようになります。購入してはじめて「すべての戸がきれいに閉まるか確認してなかったな」「基礎にクラックがあるか見るのを忘れてたな」などといったミスにも気付けるようになります。

不動産営業マンと「時間差」で大工を連れて行く

◆物件調査と見積もりは時間差で行なう

 

物件調査では、屋根の確認が重要です。私は、200万〜300万円の安い物件では屋根を厳密に確認しませんが、それ以上の高い物件はチェックしています。私のやり方は、営業マンと時間差で大工を連れて行き、確認するようにしています。もしそのとき、屋根が割れているのを発見したら値下げ交渉をします。

 

屋根の確認のタイミングとしては、物件の概要を精査して、不動産会社と電話でヒアリングを行ない、現地へ内覧を行なったあとです。なお、売買仲介業者に会いに行くときは、事前に物件を見ておき、質問項目をまとめておきましょう。写真もたくさん撮っておくことをおすすめします。不動産会社と物件を見に行くときは、あくまで室内だけ確認しましょう。この段階で細かいことばかり質問すると、相手にネガティブな印象を与えてしまうためです。大工は、帰るふりをして物件にもう一度行くときに連れていきます。

 

また、すでに売買仲介会社と仲よくなっているのであれば、「リフォームの見積もりをしたいので、鍵を置いていっていただけますか?」と聞きます。ここで了承をもらえたら、ゆっくり確認できるのでラッキーだといえます。

 

さらに、よく「リフォーム業者を連れて行って見積もりを取ってもらいましょう」と指南する投資家がいますが、これはあまりおすすめしません。仲介会社が嫌がるケースが多いからです。というのは、リフォーム業者を連れて行っても、仲介会社からしてみると、ネガティブな部分を見つけられたら重要説明事項に書かなければならないケースもあり、「面倒な人だな」と思われるだけだからです。そのままだったら、説明する必要がなかった部分が表沙汰になることを非常に嫌がるのです。ですから、しばらくは何も知らないふりをして、ライバルがいないとわかった時点で指摘(指値)するぐらいがベストでしょう。

 

また、リフォームの明細を見ても、初心者だとそれが適正な値段なのかが判別できないことも多いです。だからこそ、私は戸建ての物件からはじめることをすすめているのです。そうやって、クロスやキッチンの修繕を自分で考えて調べて経験していくと、どの程度が適正価格なのかがわかるようになります。

 

リフォームの経験を重ねると、原価が見えてきます。購入後、半年も経てば学べることはたくさんあるはずです。ですから、最初はとにかく安く買うことを優先しましょう。クロスや畳が汚れていても気にすることはありません。お客さんに「○○を付けてくれませんか?」と要望を受けたら、「可能ですが家賃が1000円上がります」などと交渉すればいいのです。こうした注意事項は、A4のラミネートの機械が3000円くらいで購入できるので、内見者用にポップを作って手書きでメモを残しておけば十分です。

 

不動産投資はチーム戦です。できるだけ友だちを増やし、その友だちがどういうスタイルで投資をしているのか学ぶことが大切です。

 

最近、高額だからという理由で建具を付けていない人がいますが、実は建具を付けなければ平米で換算できるので、畳数を広く表記できたりします。こういった話も大家の同士のコミュニティに入ると自然と入ってくるので、ぜひ積極的に情報収集してください。

 

 

黒崎 裕之

 

本連載は、2018年6月1日刊行の書籍『100万円からできる「地方・ボロボロ一戸建て」超高利回り不動産投資法』(日本実業出版社)から抜粋したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

100万円からできる「地方・ボロボロ一戸建て」超高利回り不動産投資法

100万円からできる「地方・ボロボロ一戸建て」超高利回り不動産投資法

黒崎 裕之

日本実業出版社

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