不動産投資では、空室リスクをいかに低減させるかが重要なポイントとなります。本記事では、地域最安値の賃料を維持しつつ、入居者を逃さない低コスト投資術を紹介します。※本記事は、書籍『100万円からできる「地方・ボロボロ一戸建て」超高利回り不動産投資法』(日本実業出版社)から一部を抜粋したものです。

物件選びの際に捨てるべき「先入観」とは?

◆一見、無理だと思うエリアこそ、勝負する価値がある

 

よほど値崩れしていないエリア、あるいはある程度きれいな状態の戸建てなら、5万円の賃料は取れます。例えば、私が新米投資家さんにコンサルティングをした案件での話です。埼玉県のとある駅から車で20分のエリアの物件がありました。地震の影響を受けていた場所なので、最初は不安を抱かれましたが、「絶対大丈夫だから」と強くおすすめしました。結果、245万円で現金一括購入してもらい、約100万円かけて修繕し、今は6万8000円で貸し出しているということで、非常に満足していただいています。

 

その物件を購入した新米投資家さんに最初に話したことがあります。「楽をしたい人には不動産投資はすすめません。実際に1回買って学ぶために、まずは買ったらリフォームがてら、何度も物件を見に行ってみてください」とアドバイスをしました。その後、彼は何回か見に行くうちに、近所の人に顔を覚えてもらい、ちょうど隣の物件が売りに出されていることがわかりました。それで私は購入するよう彼にすすめたのです。修繕の際には、彼はDIYが好きだったこともあり、ご自身でクロスも張り替えました。

 

ただ、地震の影響を受けたエリアだったこともあり、その影響が物件に出ているかもしれないと思い、「傾きはきちんと確認したほうがいいですよ」と忠告していたのですが、彼は見落としたまま購入してしまいました。実際に、多少は傾いていたようですが、彼はジャッキを3万円くらいで購入し、自身で傾きを直していました。

 

ジャッキアップは機械が自動的に上げてくれるもので、一般の人でも使うことは十分に可能です。しかし、使いこなすには難易度は高いので、購入時にはやはり傾きにはとくに注意してください。話を戻しますが、そのエリアは新興住宅街で区画もしっかりしており、5分以内に大きなスーパーやドラッグストアもあります。駅からは距離があるものの、地方は車社会なので気にすることはありません。建物の傾きさえ直せば、十分に採算が取れる物件だと私は判断していました。

 

その後、駐車場の地面に穴が開いているのを見つけたと、後に彼から相談されました。おそらく地震の影響で地盤沈下が起こったのでしょう。できた亀裂は放っておくと傾く可能性があるので注意が必要です。しかし、これは、セメントを流すことで解決しました。

 

よく不動産投資本には「基礎に亀裂が入った物件は買ってはいけない」と書かれていますが、値下げして買えるのであればいいと思います。亀裂が入ると、なかに入っている鉄筋コンクリートが爆裂して、基礎が弱くなります。とはいえ、鉄筋部分が多少出たとしても、サビた部分にサビ止めをつけて、あとはセメントをかぶせれば大きな問題はないケースも多いです。

 

この物件は入居者がちゃんと決まりました。4LDKで90㎡の広い物件でしたが、戸建てでは、広さが重要なポイントになります。広ければ汎用性が高く、入居者に困ることはありません。

 

広すぎてダメということはありません。たとえ人数が少なくても、物置として使えるからです。この物件でも、70〜80代の老夫婦がゴールデンレトリバーを連れて入居しました。もともと地縁があったわけではなく、福島から来たそうです。そういう例は決して珍しくないと思っています。

 

最終的に、部屋が汚れてしまったとしても、そもそも300万円くらいで物件を購入していれば売却はできます。これが500万〜600万円だと、売却したマイナス分が増え、厳しいだけの話です。この物件は350万円で利回り25%近くで購入したので、4年ほど貸していればもとは取れます。

 

繰り返しになりますが、「田舎だから入居者が決まらない」「ペット可だと面倒なことになりそう」というような先入観は捨てて、まず買ってみてください。すべてはそこからなのです。

家賃の価格が高いエリアのなかから「安い物件」を買う

◆物件にほれるな! 数字にほれろ!

 

戸建ては賃料を下げれば入居者は決まります。もちろん、千葉の房総など、山や田んぼの真ん中にポツンとあるような物件は避けるべきですが、そういう物件は少数派です。90㎡くらいあって、家賃3万円台というのは私もそうそう見たことがありません。

 

ですから、まずはネットで全体的に家賃の価格が高いエリアのなかから、安い(あるいは安くできる)物件を買うことが大切です。「エリアありきではなく、物件ありきで考える」ということです。知らないエリアはそもそも探しようがないので、まずは知っているエリアから探していきましょう。少しずつ勉強して、勝負できるエリアを拡大すればいいのです。

 

重要なのは、「物件にほれるな、数字にほれろ」という考え方です。不動産選びは、いわば結婚と似ています。外見に惑わされて、中身(数字)をおざなりにしてしまうと、あとから「こんなはずじゃなかった」と後悔することになります。

 

会社員の場合、平日は仕事なので物件を見に行けるのは土日がメインになります。すると、物件を見た途端、その物件に執着するようになってしまうのです。不動産投資は、執着したら負けです。潔く売る。数字を見てよければ買う。これが肝要です。

 

不動産会社の立場で考えても、執着したお客さんは嫌がられます。知識があることを下手にアピールしすぎると、「たった3%の仲介手数料しかもらえないのに・・・うるさい人だな。この人は契約したあとからでも面倒なことをいってきそうだな・・・」と煙たがられるわけです。

 

 

黒崎 裕之

 

本連載は、2018年6月1日刊行の書籍『100万円からできる「地方・ボロボロ一戸建て」超高利回り不動産投資法』から抜粋したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

100万円からできる「地方・ボロボロ一戸建て」超高利回り不動産投資法

100万円からできる「地方・ボロボロ一戸建て」超高利回り不動産投資法

黒崎 裕之

日本実業出版社

◎現役不動産営業マン兼投資家が断言、「いま狙うべきは地方の穴場エリア! 」 現役不動産会社の営業マン兼、個人投資家が教える、「自己資金100万円からスタートできる、地方の、しかも人気のないボロ物件で収益を上げる」…

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