本記事では、任意後見人として「子供がおすすめできない」理由について見ていきます。

弁護士でも任意後見制度に詳しいとは限らない

【ステップ2 弁護士を選ぶ】

 

明子さんと相談した上で、一夫さんは任意後見契約を結ぶのを前提に、弁護士を探すことにしました。現役時代に勤めた会社の顧問弁護士や、弁護士の知人などに頼んでもいいかな、とも思いましたが、任意後見制度はまだあまり広く知られていないため、彼らに十分な知識があるかどうかをはかりかねました。

 

そこでまずは法律相談というかたちで出向いて、相手の弁護士のこの制度に対する知識と経験や人柄を確認しようと、電話帳をめくって見つけた、自宅から2駅先の弁護士事務所に連絡を取り、まずは会って話を聞いてもらうことにしました。

 

しかし実際に会った弁護士は、自分たちと同年代の気難しい感じの人で、任意後見制度について詳しい知識を持っているという印象も受けませんでした。

 

2人とも「この人に自分たちの老後を託したい」という気持ちにはなれなかったのです。また相手が同年代ということは、自分たちが弱るのと同時に、相手の健康状態にも問題が生じ、契約が実行されなくなる可能性が高いということに気づきました。

自分の子どもと同年代の弁護士に依頼するほうが・・・

最初に法律相談というかたちで弁護士に会いに行ったのは、非常にいい方法だったと思います。相手の経験や知識、人柄などを知ることができますし、もし期待にそぐわなかった場合は、任意後見契約の依頼をしなければいいだけの話です。

 

なお、日頃からパソコンを扱い慣れていて、インターネットを使いこなせるようであれば、「弁護士 任意後見制度」などのキーワードで、最初から適切な弁護士を探し出すことができます。

 

全ての弁護士が気難しいわけではありませんが、気難しい人の割合が比較的高いことは、中にいる私自身も感じています。一般の方にとって、法律事務所や弁護士は、なじみがなく敷居の高い存在に感じられることでしょう。

 

勇気を出して出向いた先で、あまり親身にもなってもらえないのでは、相談する気が失せるのも無理はありません。

 

任意後見契約を結ぶということは、自分たちの財産も含めた生活状況について、全てを弁護士にさらすことになるため、弁護士との相性は重要視した方がいいと思います。

 

また、弁護士の年齢を考慮に入れるというのは、大切なことです。高齢の自分たちと同年代ということは、相手も病気をする可能性が高いということです。複数の異なった年代の弁護士のいる事務所であれば、他の弁護士に引き継ぐことができますが、個人事務所で本人が倒れてしまったら、また新たな弁護士を探し出し、一から契約を締結しなくてはなりません。

 

一般的に言って、自分の子どもと同世代の弁護士に依頼するのがいいように思います。

本連載は、2015年11月25日刊行の書籍『老後の財産は「任意後見」で守りなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

老後の財産は 「任意後見」で守りなさい

老後の財産は 「任意後見」で守りなさい

眞鍋 淳也

幻冬舎メディアコンサルティング

昨今、高齢者を狙った詐欺や「争続」が新聞やテレビなどのメディアで盛んに取り沙汰され、老後の財産管理に対する不安が高まっています。高齢になると判断能力が低下してしまい、望まないかたちで財産を失ってしまうケースは多…

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