融資審査にも影響がでる手元の「キャッシュの状態」
不動産投資では積算価格を重視する方が割安で買える可能性が高いという話をしましたが、不動産投資でもっとも投資家が期待しているもの、それは何でしょうか?
それは毎月のキャッシュフローです。
ただ安く買えたとしてもキャッシュフローが出ていなければ、財布のお金は増えていきません。大谷さんは融資に関心が高いようでしたが、キャッシュの状態は融資審査にも影響を与えます。
わたしたち不動産投資家が経済的自由を手に入れるには、キャッシュフローの出る物件を買い集め、そして買い続けることです。
ですので、ここではキャッシュフローの話をしますが、一般的な世界で言うところのキャッシュフローとは次のようになります。
①現金収入-現金支出=キャッシュフロー
またはこのように表現されることもあります。
②税引き後当期純利益+減価償却費=キャッシュフロー
どちらの式も正しいのですが、わたしたち投資家には①の式が合っているのではないでしょうか?
わたしたち投資家は、このキャッシュフローをいかに最大化させるか、という点に血道を上げているわけです。
ですので、キャッシュフローが出ない物件はそもそも買う価値がないと考えて問題ありません。
キャッシュフローを最大化するという議論は、購入前も購入後も続き、最終的な売却価格を決める際にも影響してきます。
つまり、投資をしていくなら最初から最後まで影響してきますので、とても大事な考え方となるのです。
では毎月のキャッシュフローをプラスにしてくれ、しっかりと利益を出してくれる物件はどの程度の利回りが必要なのかというと、個人的には表面利回りが新築で10%、中古で15%は必要かと考えています。
ローンの返済比率を30%以下に抑えるべき理由
返済比率とは何の指標かというと、賃貸経営の安全度を示す指標と考えるとわかりやすいと思います。
フルローンを組むとどうしても返済比率は上がってしまいますが、最低でも返済比率は50%以上にすべきではないと考えています。
というのも返済比率が高いと、手残りのキャッシュフローがほとんど出てこないからです。
できれば、手元の現金を多少使ってでも返済比率は30%以下にすべきです。
そうすれば、手残りのキャッシュフローも十分残り、次の物件取得に弾みがつきます。
常に満室という状態はなかなか難しいですから余裕を持って経営していかないと、長期間の賃貸経営をやっていく上でつまづきやすくなります。
返済比率30%以下にするということは、つまり、家賃収入に対する銀行返済額(金利も含む)を30%以下にするということになります。
この返済比率が60%超となってくると、手元のキャッシュフローがなかなか貯まりません。
例を挙げましょう。
返済比率30%の場合と、返済比率60%の場合を比べてみます。満室の家賃収入が月100万円だとします。経費率が15%、空室率が10%という条件だとすると表のようになります。
返済比率30 %の場合は手残りが45万に対して、返済比率60%の場合は手残りが15万になってしまいます。
毎月100万円も入ってくるのに手残りが15万円だと年間180万円しか手元のキャッシュフローは増えないということになり、経営内容としてあまりよくありませんね。
もし、空室率が上昇し、2部屋、3部屋と空室が出た場合、15万円のキャッシュフローでは客付けの広告費や修繕費の捻出が厳しくなってきます。
このような結果の差が表れるため、返済比率は非常に重要なポイントとなります。
そして、返済比率を低くするポイントは、収益性の高い物件を選ぶこと、割安で手に入れること、自己資金を入れること、となります。
購入前はもっとも気持ちが高ぶっているときですので、収支を甘く見がちになります。
過度な幻想を抱かず、しっかりと現実を直視する必要があるのです。
[図表]返済比率60% では手残りがほとんど残らない