早期引退のための事業承継は、今がベストタイミング
中小企業経営者は様々な理由や事情から、高齢になるまで社長を続けてしまいがちですが、私としてはぜひ「早期引退」をお勧めしたいと思います。50代後半、遅くても60代でスパッと今の会社の経営を引退し、後継者に任せてしまって、残りの人生40年は「家族のため」「従業員のため」ではなく「自分のため」だけにワガママに使ってしまいませんか?
会社経営に時間をとられてできなかった、自分が本当にやりたかったことにチャレンジするのもよいでしょう。もう一度「没頭できること」を見つけて、セカンドライフを充実させてみませんか?
たとえば、これまでの人脈やノウハウを活用することで、あたためていたアイデアにトライしてはいかがでしょうか?
海外に出て行って、新たなビジネスを始めることもできます。内需縮小の日本であくせく勝負しなくても、世界を見渡せば急成長している国はたくさんあります。そういう「元気な市場」に出て行って、もう一花咲かせることも夢ではありません。
こうした豊かなセカンドライフは、気力体力ともにある「早期引退」だからこそ可能になります。
早期引退をするには、会社を事業承継する必要がありますが、まさに今が非常に有利なタイミングと言えます。
その理由として、今なら事業承継にかかる贈与税・相続税をゼロにできる「特例事業承継税制」が使えるからです。これまで後継者に株を贈与・相続する際には、後継者は大きな税負担を強いられました。それがこの特例を使うと、納税猶予が受けられ、最終的には納税額ゼロになります。ただし、この特例を使うには2023年12月31日までに「特例承継計画」を提出しなければならないのです。だからこそ、今、始めなければなりません。
もう1つの理由として、かつては大企業しかやっていなかったM&Aが、中小企業でも増えています。自分の会社に対して「こんな会社、売れないだろう」と思っている社長は多いと思います。だから「自分の代で潰すしかない」という選択になってしまうのですが、今はそうではないのです。小さな会社でも気軽に売買できるM&Aのサイトがいくつも作られていて、実際に多くの会社が売買されている実績があります。
私は税理士として、中小企業の多くの事業承継に立ち会いました。スパッと子どもに会社を譲る方もいます。なかなか社長の座を譲らず今も後継者の息子から煙たがられている方もいます。M&Aで第三者に譲り、顧問として、新社長のバックアップで以前よりも生き生き忙しそうにしている方もいます。会社を譲ったとたん、病気の進行とともに亡くなってしまう方もいます。そうした場に立ち会う中で家族、社員、取引先、そして社長自身にも幸せな事業承継とはなんなのかを考えるようになりました。
そこには、幸せの事業承継をした社長の共通点があり、1人でも1社でも多くの中小企業オーナーが幸せな承継ができるお手伝いをしたいと思っています。そして今、私自身、税理士になって20年余りが経ちますが、今、かつてない事業承継の熱い波が来ていることを感じます。「今やらなくて、いつやるの」と言いたいくらい、中小企業経営者にとってはベストな承継のタイミングです。
一度きりの人生です。中小企業経営者の皆さんには、この好機を逃すことなく無事に事業承継し、やりがいに満ちた新たなステージへ進んでいただけることを願っています。
山田 知広
山田知広税理士事務所 代表
株式会社八事財産コンサルティング 代表
株式会社経営情報センター 代表
株式会社中日本エム・アンド・エー・センター 代表
名古屋税理士会所属、愛知県行政書士会所属、
TKC全国会所属
日本M&A協会理事会員、青年経営者研修塾所属 税理士・行政書士
経済産業省 認定経営革新等支援機関
M&Aシニアエキスパート
家族信託専門士