この20年で、中小企業経営者は「20歳」高齢化
帝国データバンクの調査によると、中小企業経営者の年齢分布は、1995年には47歳がピークでしたが、2015年には66歳がピークとなっています。この20年の間に20歳近く中小企業経営者の高齢化が進んだということは、この20年間、若い世代に事業承継が行われていないことを示します。
また、東京商工リサーチ「2017年『休廃業・解散企業』動向調査」を見てみると、70代以上の高齢の経営者で、休廃業・解散を選択する割合が高くなっています。
高齢の経営者が休廃業や解散を選択するパターンには、大きく2つあります。1つは、かつては羽振りのよかった時代もあったものの、長年事業を続けているうちに競争力が衰えていき、徐々に経営が悪化して会社を続けられなくなってしまうパターンです。経営者が高齢になるほど新しいことにチャレンジをしにくくなり、成長よりも現状維持に重点を置く傾向があることが分かっています。人口減少などによる国内需要低下の時代にあって、チャレンジしない企業が生き残っていくことは至難の業です。
もう1つは、後継者が見つからず、仕方なく休廃業や解散を選んでいくパターンです。経済産業省の調査でも、2025年までに70歳以上の引退適齢期を迎える中小企業経営者が約245万人いる中で、約半数の127万人が「後継者未定」と答えています。つまり、現状のままいくと、2025年には127万社の中小企業が休廃業や解散をするかもしれないということです。
これが現実になれば、2025年までに累計で約650万人の雇用が失われ、約22兆円のGDPが失われる可能性があります。今や中小企業経営者の高齢化は、日本経済の未来を左右する最重要課題でもあるのです。