Norochcholai発電所への石炭供給権を、大統領からの後押しを受けて手にしたNoble社。続く入札でもやはり政治的な力が加わって、同社が継続供給することになります。スリランカでの石炭を巡る疑惑と争いをお伝えしている連載の第4回です。

当時の大統領からの「再度の圧力」とは・・・

ランカ石炭会社とセイロン電力庁は、2011年5月に3回目の入札を告知した。その入札には11社が参加し、そのうち6社が希望価格の開札へと駒を進めた。インドの会社であるTaurian Iron and Steel Companyが最安値で入札したが、法務長官は同社が正式な手順を踏まなかったことからその入札を却下した。そこで審査委員会はLiberty Commodities社とUttam Galva Steel社によるジョイント・ベンチャーを推薦し、入札監理委員会はその提言を受け入れた。

 

しかし、またもや裁定委員会がその2つの委員会による推薦を却下し、Taurian Iron and Steel Companyに落札させるよう提案した。その後、内閣は入札を中止し、大統領は現供給者であるNoble Resources社と価格交渉をするように薦めた。それに応じたランカ石炭会社は内閣の了承のもと、当初は220万トン分だった取り決めに、更にもう100万トンを追加して契約を更新したのだ。

Noble社に拒否された石炭の回収

2012年9月、Noble Resources社の石炭の一部を積んでいた2曹の船がNorochcholai Lakvijaya発電所がある港に到着したが、荒天につき、その石炭を運び出すことが出来なかった。セイロン電力庁はこの石炭分の代金を既にランカ石炭会社に支払い、またランカ石炭会社もNoble Resources社にその分を支払済みだった。

 

しかし、ランカ石炭会社と港から発電所まで石炭を輸送するSri Lanka Shipping Corporationは、Noble Resources社に対し、その石炭とともに引き返し天気が良い時に戻ってくるよう指示した。Noble Resources社はこれを拒否したが、石炭に着火する危険性があるため、それらの出荷分を船に置いておくことは出来なかった。

 

そのため他の供給業者に、代わりにその石炭の撤収と再度の出荷を引き受けてくれないか頼み回った。すると、Taurian Iron and Steel Companyがその肩代わりをすることに承諾し、運び出せなかった石炭を回収し、後日、同量の石炭を同じ価格で供給するという同意書をSri Lanka Shipping Corporationと締結した。

 

更にTaurian Iron and Steel Companyには、損害分を埋め合わせるために、Noble Resources社との契約と同じ条件で、全5曹分の石炭の出荷に対する臨時入札の落札も認めることになった。

 

次回は、このTaurian Iron and Steel Companyとの契約が、後に問題視されたことをお伝えします。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年10月に掲載した記事「Sri Lanka’s Coal War」を、翻訳・編集したものです。

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