石炭供給権を独占し続けるNoble社。同社のトラブルから別会社が急遽、石炭を供給しましたが、それに対して政権内から強い反発が起こりました。スリランカでの石炭を巡る疑惑と争いをお伝えしている連載の第5回です。

「他社からの供給」に対する強い反発

ランカ石炭会社はスリランカへの石炭の輸入を唯一法的に認められた企業だが、その一方でSri Lanka Shipping Corporationは輸送手段を提供するのみだ。当時の燃料動力省のChampika Ranawaka大臣は、ランカ石炭会社が常時Noble Resources社から石炭を輸入している一方で、Sri Lanka Shipping Corporationはセイロン電力庁も燃料動力省も知らないところで、Taurian Iron and Steel Companyから石炭を輸入していたと主張し、更にその石炭が要求された水準を下回る品質だった点も指摘した。

 

この問題が発生したとき、Ranawaka大臣は担当の役人を交え緊急会議を開き、石炭運送の委託を却下するよう要請した。しかし、石炭の積み下ろしは法務長官の指示のもと行なわれていたのだ。Ranawaka大臣は、更にランカ石炭会社の当時の会長であったT.M. Herath氏を解任したが、同年のうちにRanawaka大臣は交代し、結局Herath氏はセイロン電力庁の副会長として迎え入れられた。

2015年1月の歴史的な政権交代で状況が変化

2015年1月に政権交代が起こり、Ranawaka大臣が再び燃料動力省に戻ってきてから、同省のBatagoda長官は、内閣の承認なしに5億2800万スリランカ・ルピーでTaurian Iron and Steel Companyから購入された2曹分の石炭の出荷について警察に訴え出た。その訴えでは、この石炭の輸入は法律違反で、その結果、セイロン電力庁、すなわちスリランカ国家は損害を被ったという内容だった。

 

すると、警察は背任罪でSri Lanka Shipping Corporation の前会長であるKanchana Ratwatte氏・燃料動力省に務めるM.C. Delgoda 氏・財務省に在籍するR.M.K. Ranatunga氏・湾港局のRavi Jayawickrama氏の4名の当局者を逮捕し、全員のパスポートを没収した。彼ら4人は皆、セイロン電力庁のV.D.A.S. Wijepala現会長と同会の前会長であるW. Abeywickrama教授と共に、ランカ石炭会社の委員会に籍を置いていた。

 

また警察の取調べによると、この商取引は通常の手続きの範疇を超えており、内閣の承認も得ていなかったとRanawaka大臣は発言したとしている。また、Ranawaka大臣はメディアに対し、ここ10年で燃料動力セクターに見られた疑わしい取引は調査にかける必要があり、横領した者には処罰を与えるつもりだと話した。

 

一方で、逮捕されたSri Lanka Shipping Corporation のRatwatte前会長は、Ranawaka燃料動力大臣・Batagoda長官・セイロン電力庁のWijepala現会長らに対し、自身の基本的権利を侵害し違法に逮捕されたとして、200万スリランカ・ルピーの損害賠償を請求した。Ratwatte前会長は、ランカ石炭会社が取った全ての行動は、燃料動力省及びその大臣の承認の下で進められ、ランカ石炭会社の幹部には自由な裁量が与えられていなかったと主張している。Batagoda長官は、この訴訟は国際仲裁機関の利用を検討していることを明らかにした。

 

次回は、また過去に戻って4回目・5回目の入札についてお伝えします。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年10月に掲載した記事「Sri Lanka’s Coal War」を、翻訳・編集したものです。

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