政権交代によって、これまでの歪んだ石炭供給状況を改善する機運が高まったスリランカ。果たして健全な入札体制は導入できたのでしょうか。スリランカでの石炭を巡る疑惑と争いをお伝えしている連載の最終回です。

現供給会社との関係を絶つための臨時入札

2015年9月中旬には石炭供給が尽きると予測されている中で、石炭供給業者の決定の遅は、これまで通り現供給者と契約更新することをランカ石炭会社に強るかに思われた。

 

これを避けるために、燃料動力省のBatagoda長官は法務長官と内閣から、臨時入札を行なう許可を得た。「現供給者から仕入れるという選択肢しかまたもや残されていませんでした」とBatagoda長官は説明した。「長官としてこれは避けたかったのです。ですから入札に問題が発生するや否や、臨時に再入札が行なえるよう許可をもらいました。」

 

ランカ石炭会社は、1ヶ月分の石炭の入札を行なうにあたり、過去5年間の入札に参加した17社に声を掛けた。過去の入札では、入札者はそれぞれの石炭の評価表とともに販売希望価格を提示し、それぞれの評価項目がランカ石炭会社の要求する水準をどれだけ満たしているかに応じて、委員会がその価格を調整するという手順が取られてきた。

 

しかし今回の臨時入札に関しては、ランカ石炭会社は入札者に希望水準が分かる評価書を渡し、その水準に適した価格を提示するよう要求した。入札者に渡された評価書にはサイズの条件は含まれていなかった。

唯一の評価対象は「価格」

入札は8月10日に開札され、1トンあたり69ドルの価格を提示したLiberty Commodities社の落札が入札監理委員会により決定した。前回、問題となった入札では、Noble Resources社が83ドルで入札していた一方、Swiss Singapore社の提示価格は82ドルだった。臨時入札は2週間もかからずで必要な手続きが終了した。Sena Vithanage外国人雇用長官は、Batagoda長官がメンバーでもある入札監理委員会を率いている。

 

もしこの臨時入札がうまくまとまらなかったとしたら、ランカ石炭会社はNoble Resources社から石炭を購入し続けていただろう。「その方向で話を進めることは簡単だったでしょう。しかし、私たちは厳しい道を選んだのです」とBatagoda長官は話した。

 

そしてBatagoda長官は将来、似たような臨時入札による契約が結ばれるだろうとした。ランカ石炭会社は石炭供給業者に対し、公認供給者としてリストに登録したい場合には8月末までに詳細を提出するよう告知している。そのリストに載ることになる供給者は、3、4ヶ月に1回、入札に参加するよう声が掛かり、その中で最も低い価格を提示した業者が落札するのだ。

 

「揉め事は起きないはずですし、どの供給者も必ず落札できるようになっています」とBatagoda長官は説明した。「これまでのことは白紙に戻すのです。この新たなシステムでは人的影響を最小限にできます。技術的評価や財務評価は取り払ったので訴えられることもないでしょう。供給者はただ私たちが要求する評価書に即して石炭を提供してくれさえすればいいのです。唯一の評価対象は価格となります。」

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年10月に掲載した記事「Sri Lanka’s Coal War」を、翻訳・編集したものです。

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