今回は、上昇直前に注目すべき値動きの型について解説します。※本連載では、投資顧問会社「林投資研究所」代表取締役・林知之氏の著書、『東証1部24銘柄でらくらく2倍の低位株選別投資術:とにかく29のルールを守るだけ』(マイルストーンズ)の中から一部を抜粋し、「低位株選別投資術(FAI投資法)」で勝つための29のルールを解説します。

底値圏ほどに明確な型を見いだすことは困難⁉

ルール 14は無視?

1段上げが最もやさしく取れる。そこに集中するだけで十分な利益を得られる、というよりも、それが最も効率がよい。だが、

 

①中段の動きについてのルールが存在する

②大局を理解することが大切

③「1段目の有利さ」について深く納得する必要がある

 

ことから、引き続きルールの説明をするとともに、実践的な売買について解説する。

 

中段では月足に決まった形が出現しにくい。つまり、確認ラインを引いたり、三角形などの集合形を見出すことが難しい。

 

【ルール 14

上げ途上のプラットフォーム(ボックスの上辺)を抜いたら5円上抜きで買い。陽線3本をみて売り手仕舞い。再び下げてきたときにプラットフォームの20円上で買い

 

このルールは、順張りの買いルールである。「中段で上値抵抗線が形成された場合、そのラインを抜いたら買え。ただし、完全に上抜いたことを確認するために“5円”を基準にする」つまり、「中段における強い傾向の変化だから順張りで買ってよし」ということなのだが、これに当てはまるケースは実際、あまり見あたらない。

 

FAIの原典にあたるルールが確立されたのは1965年ごろだったため、その当時の低位株は現在よりも水準が低く、1段上げ後の保合でも集合形が出ることが多かったのではないかと思えるが、いずれにしても現在では無視してかまわないルールといえる。

 

ただ、「傾向の変化」に注目するという理解は大切だし、安値を丁寧に拾う基本に、ちょっと順張りで乗るという適正範囲の“遊び”を入れるのも現実の売買実践だと思う。

 

三角形やボックスなど、足(線)を集合形で判断する方法がチャートの解説書によく書かれている。だが、かなり無理やりに線を引いているものが多い。

 

線を引いたり集合形を探す目的は、相場の先行きを当てることだ。ところがムリに型をつくってしまった、とってつけたような解説は、言われればなんとなく納得する、という程度のもので、実際の場面で判断するための決め手にはなりにくい。

 

実践家が「使う」情報ではなく、情報屋が「売る」ための情報ということであり、実用性に大いに疑問がある。

 

また、ちまたの解説の多くは日足や週足を用いており、月足の場合には日足の20分の1、週足の5分の1に圧縮されたものであるから、なおさら集合形ができにくい。しかし、

 

1段上げ完了→押し→揉み(保合)→再び上昇へ向かう

 

という過程において、やはり何らかの型(形)が現れると考えるのが自然であろう。

 

つまり、再度上昇に向かう手前では、1段上げの天井を過ぎて、そこまでの上昇相場の整理が必要であり、一定の時間を要することになる。また、上昇期に膨らんだ人気によってバタついていたものが、徐々に冷えていく過程が見られるはずである。

 

調べていくと、三角形と呼ぶには弱いが、それっぽく値動きの幅が次第に小さくなる保合の動きがある。また、①小動きになっていく、②値動きが均衡していく、ことから、保合末期に十字足(寄り引け同事、あるいは1円ちがい)をみせることがある。

 

だが、底値圏ほどに明確な型を見いだすことは困難であり、月足全体の流れを見て判断するようにしていくべきであろう。

「ひと相場の終り」…罫線による利食いルールとは?

【ルール 15

上放れ3陽線のあと3本目の陽線の半分以下に陰線が食い込んだら上げ幅の半分下がる

 

【ルール 23

1段上げでも、2段上げでも、陰線の両抜きが出たら(出そうでも)いったん利食い

 

まず、ルール 15について(図表1)。

 

[図表1] 上放れ3陽線

 

上放れ3陽線とある。「陽線3本」というのは、今回の冒頭で解説したルール 14、そして第4回で解説した

 

【ルール 18】

1株あたり純資産の増加は買い。3期連続増加は絶好。ただし、3連続陽線などで上げていれば売り

 

にも出てくる。陽線3本で上げたわけだから、常識的に「ひと相場終わり」と考えられる。もちろん絵に描いたように3本目が長く、いかにも「噴いた」動きでない限り、判断は難しい。

 

とくに、買いポジションを維持しながらだと、なおさらだ。それでも、「ひと相場の終わりかもしれない」と考えるのは当然であろう。

 

その状況において、次に陰線が続き、なおかつ陰線が3本目の陽線の半分以下に食い込む(実体で判断する)ということは、明らかにひと相場終わったと判断すべき状況、ということになる。

 

月足ベースでは順張りの売りになるが、手仕舞いしたうえで、あらためて買い直すことを考えるべきということだ。

 

次に、ルール 23について(図表2)。

 

[図表2]陰線の両抜き

 

両抜き陰線も「半分以下」に食い込んだということで、ルール 15に含まれるように思うのだが、別項になっている。

 

「両抜き」ということは、短期間のうちに大きく反落したわけで、「手を空かせるべき」だと強調している。

 

もちろん、状況によって判断も異なるが、一般的な罫線論では一定期間の低迷を示唆するものである。

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    本連載は、林知之氏の著書『東証1部24銘柄でらくらく2倍の低位株選別投資術:とにかく29のルールを守るだけ』(マイルストーンズ)から一部を抜粋したものです。掲載している情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。投資はご自分の判断で行ってください。また、本連載を利用したことによるいかなる損害などについても、著者、版元、および幻冬舎グループはその責を負いません。

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