現実に投資家が売買するための理論の重要性とは?
【ルール 29】
3段上げは天井。3段上げで売り。3段目の5連続陽線は売り
「3段で上げる」はすんなり飲みこめるが、「3段目の5連続陽線は売り」となると、予言めいていて納得しにくい。長期のトレンドを示したルール 29について解釈したあとで「売り買い」に関係するルールの解説に移りたい。もちろん、ここまで述べてきたような、現実の売買を考慮した実践的考え方が基本となる。
長期の波動についてある程度の法則性を見出す
ことが投資法確立の第一歩であるが、
売買実践を経験したうえで具体的戦略として確立する
ことにより、あらためて投資法の基礎となる考え方を見直す、というサイクルが絶対に必要である。
理論のための理論ではなく、
現実に投資家が売買するための理論
でなければならないからだ。
さて、ルール 29の「3段上げ」とは、どういうことだろうか。
株にはいろいろな動きのパターンがある。常に一定(といっても限度があるが)のレンジ(幅)で往来を繰り返す銘柄もあるが、FAIで選定する低位株は「長期に下げた」銘柄であり、往来をみせるのではなく、「大きく育つ」銘柄である。その値動きは、
下げ→下げ止まり→底練り→(煮詰まって)→上げの兆し
となり(図表1)、
[図表1]3段下げの例
上げ始めたものは大きく「3段上げ」をみせて天井をつけ、再び下落に向かうのである(図表2)。
[図表2]3段上げの例
下げ→下げ止まり→底練り
という一連の動きはわかりやすい。なぜなら、下げて徐々に人気が冷え、一定期間以上の安値低迷によって、あきらめの売りが出尽くして煮詰まった感じが出るからである。
上げ相場は都合よく動いてはくれないが…
逆に上げ相場はわかりにくい。徐々に人気が高まり、人気量の増加によって動きが荒くなっていくからである。
底の動きが緩やかなのに対して、天井はとがっている。しかも、わかりやすく、1段、2段、3段と都合よく動いてくれるわけはない。
図表2のような動きは、あとから説明するのに都合がよいが、実際、その場で「いま何段目か」を知るのは困難である。
安い位置なら「上げに転じたようだ」「やはり上げに転じている」「まだ1段上げが完了しただけ」「2段上げに入ったところだ」と、ある程度の推測が可能だ。しかし、さらに上がれば常に高値づかみを恐れながら売買することになるし、人気化して荒くなった日々の動きが迷いに拍車をかけることになる。
「典型=例外」との発想は捨てられないものの、
3段下げ=十分下げた
3段上げ=ほぼ上げきった(可能性がある)
と大ざっぱなイメージで理解し、実践における予測にからむ部分では、
(便宜的に)3段上げで天井
と理解することになる。