底値から上げに転じる「前兆」の9パターン
次に掲げる9つのルール は、すでに解説したものだが、月足で見た場合の底値(長期の大底)から上げに転じるときのパターンとして、FAI投資法において重要である。
【ルール 4】
三角形に注意。切り上がり、二等辺、切り下がり、各三角形のうち切り上がり三角形が最も強い。
とくに2~3年あるいはそれ以上かかって形成された三角形は大きく上伸する
【ルール 5】
三角形の先端陰線下部の十字は直ちに買いルール 62番底の陰線下部の十字は直ちに買い
【ルール 7】
安値に来ての5連続陽線は買いの準備。
次の2連続陰線をみてから買い
【ルール 8】
底練りの中で小動きになったあとの兆し陽線に注意。
そのあとの陰線2本をみて買い
【ルール 9】
底練りの中で過去4~5本を一気に上抜く陽線は上げの兆し
【ルール 10】
保合、または安値からの長大陽線は、そのあとの3分の2押しで買い
【ルール 11】
W型、M型後の切り返し(両抜きも)は上げのはじめ
【ルール 12】
6~12カ月(またはそれ以上でも)の上げ下げが90度前後のとき、その下げトレンドを上抜く陽線は上げの第一歩
具体的な売買を考えると「1段目が最もカンタンで効率がよい」のだが、月足での判断においても安値圏の観察がラクなのである。
それに対して「1段目から2段目」「2段目から3段目」に移る段階では、なかなか決まった形が出ない。すでに人気が盛り上がりつつあり、市場参加者の感情で値が動き始めているのだから当然である。
しかし、一般投資家は動いてこないと買わないのである。動いてきた銘柄に飛びついて一喜一憂する。苦労して損を出しながらも、そこから抜け出せない、というよりも、動いてきた銘柄を対象にする以外に、具体的な方法を思いつかないのだろう。
しかし、月足を正しく分析していけば、「こんなにカンタンに効率よく安全に利益を狙える場所があったのか」と思えるほど、1段目を狙う戦略はやりやすい、誰にでもできる売買なのである。
FAI投資法の成功者たちは、この1段上げを中心に売買をした。高い位置に手を出す場合でも、決して趣味的な楽しみに興じることなく、根気よく基本を守り続けたのである。
あらゆる投資法に通じる「シンプル」な考え方
世の中にはさまざまな罫線論があるが、多くの理論は「底を当てよう」「天井を当てよう」という試みである。前述したようにチャートは2次元であるから、「底」「天井」と、タテ軸の価格だけに目を向けた1次元的感覚は排除したい。
2次元で正しく考えた場合の基本は、「上げ」「下げ」という傾向であり、実践に有用なレベルに進むと、それは“傾向の変化”ということになる。
同じ「上げ」でも、緩やかな上げ方が急騰に移るのは、広い意味で、実践者が気にするべき「傾向の変化」である。
FAIのルールをあらためて見れば、すべて傾向の変化について書かれたものであることがわかる。
●上げ相場は買いポジションを持てばいい
●下げ相場は売りポジションを持てばいい
●わからないときは休めばいい
これが相場のすべてであり、そのために具体的な投資法・戦略が存在し、また道具として罫線や場帳が出てくるのである。
個人投資家の話を聞いていると、1次元的にしか見ず、「傾向の変化」という感覚が欠落している人が多い。難しい理論や知識はいらないから、大底からの傾向の変化、つまり「上げの兆し」を注意することに意識を集中させてほしい。傾向の変化について、微妙な部分まで捉えようとする感覚は、あらゆる投資法に通じるものだ。
「FAI投資法とはどういう売買法なのか」そして「なぜそのようなルール になっているのか」を説明するために詳しく書いているのだが、世の中のゲーム(勝ち負けのあるもの)で相場ほど単純なものはない。「上げと下げ」「売りと買い」しかないからである。
●買って上がると儲かる
●買って下がると損をする
これは、決して幼稚な考えではなく、高等な数学で判断しようが、高度な理論で複雑なポジションをつくろうが、基本中の基本である。そして、現在の傾向は直近の動きによって「上がっている」「下がっている」とわかるから、その傾向が続くか否か、つまり「傾向の変化」を考えることが最重要なのである。
混乱したときは、この基本に戻ってシンプルに考えることで、迷いを絶ちきることができる。